【対談】Psycho le Cému × cali≠gari、「僕らが知ってるヴィジュアル系ではなかった」

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結成20周年を迎えたPsycho le Cémuが『20th ANNIVERSARY PROJECT「TWENTY STORY」』と題した“全20章”におよぶアニバーサリー企画を展開中だ。音源リリースやライブなど、スケジュールはあまりにも過密で精力的。20周年への感謝と賭ける意気込みが伝わってくるようでもある。<Live Battle「ライバルズ」>と題した対バン企画は、そのうちの第6章〜第8章を成すものであり、8月から11月に掛けて全7公演の規模で行われる。

◆Psycho le Cému × cali≠gari 画像

主催ツーマンの開催は自身初。これまでコンセプチュアルなワンマンを主戦場としていたPsycho le Cémuだが、同シリーズでは絆や因縁の深いアーティストとバトルを繰り広げる。先ごろ公開したLM.Cとの第一弾対談では20年来のつながりや秘話が赤裸々に語られ、対バンシリーズ中、最も世代の若いアルルカンとの第二弾対談ではそれぞれの悩みを暴露。第三弾となったメリーは同世代ならではの赤裸々なトークが展開された。そして、第四弾となるのがcali≠gariだ。

Psycho le Cémuにとっては先輩格にあたるバンドであり、対バンは初。しかし共に2000年代をひた走り、バンド活動を休止した過去も共通項のひとつ。Psycho le CémuからDAISHIとseek、cali≠gariから桜井青を迎えて行われた対談は、互いに自身の個性を貫いてきたバンドだからこその音楽カルチャー観をはじめ、毒舌トークや掲載不可能なマル秘トークまで、実に深く楽しいものとなった。9月13日(金)にTSUTAYA O-EASTで開催される<Live Battle「ライバルズ」>も波乱の予感しかない両バンドのトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■インパクトがものすごかったから
■なんでこういうのが?邪魔だわって

──Psycho le Cémuとcali≠gariは今回が初の対バンではないか?ということなんですが、まずはお互いのバンドを認識されたタイミングと、その時の印象を聞かせてください。

桜井:あれは確か、音楽雑誌『SHOXX』で広告を見て、“めんどくせえ奴らが出てきたな”と。

──その“めんどくせえ”とは、どういう意味ですか?

桜井:cali≠gariというブランドを立ち上げるにあたって、当時Da’vidノ使徒:aL(1997年〜1999年活動のV系バンド)というめんどくせえバンドが出てきて、それがいつの間にかいなくなったと思った矢先に出てきたんです。姫路はやっぱり余計なことをする。僕は姫路が大っ嫌いなんですよ。

▲Psycho le Cému

──始まって1分も経たない間に多方面を斬りつけてますが(笑)。

桜井:しかも中途半端にいいバンドが多いんですよ、姫路は。

seek:中途半端に(笑)。

DAISHI:正統派が多かったイメージなんですけどね。

seek:TRANSTIC NERVEとか。

桜井:TRANSTIC NERVEもそうだし、今も普通に聴いちゃうバンドが多かったんですよ。その中でPsycho le Cémuは一番売れたバンドじゃないですか。緑塗りで、しょっぱなからインパクトがものすごかったから、“なんでこういうのが出てきたの? 邪魔だわ”って。

seek:それを青さんが『SHOXX』のコラムで書いてくれてたっていう。

桜井:次から次へとシーンを揺るがす奴らが出てきやがって、って。

──cali≠gariの地位を揺るがす存在だと思っていたと?

桜井:うちって、PIERROTとかDIR EN GREYとかの王道がいるメインストリームに対して、ちょっとずれた隙間産業みたいなところだったんですよ。デリヘルで言うなら、ブスなデリヘルのほうが確実に採算が取れるみたいなところがあるじゃないですか。そういうポジションでいようと思ったら、次から次へと上位互換みたいなバンドが出てくるわけですよ。

seek:たぶん時代的に、そういう時代だったのかなあと思いますけどね。ヴィジュアル系が王道のほうで一回飽和している時代というか。その中で僕らは、人がやってないことを、何か新しいことをっていう匂いがあったと思うんですよ。

桜井:Da’vidノ使徒:aLは確かに頭ひとつ飛び抜けてすごかったんですよ。アルバム全部持ってますから(笑)。だけどPsycho le Cémuはそれに輪をかけてきたなと。体張りすぎだろ、これは、って。

▲DAISHI [Vo / Psycho le Cému]

DAISHI:僕はどんな手を使ってでも売れたかったんですよ(笑)。僕はその前に3年ぐらい正統派をやってて売れなかったんで、やっぱりここはちょっともう、汚いことしてやろうと思って。

桜井:でも、汚れ役は両脇じゃないですか。

DAISHI:アハハハハハ。

seek:僕らはそれぞれの個性というよりは、戦隊ヒーローとしての各々の担当をやりきります、っていうスタイルだったから。

DAISHI:当時からビジネス感がすごかったからね。

桜井:それは感じた。cali≠gariだったら、なんとなく良さそうなもの、高そうなものを古着屋で買えばなんとかなっちゃうけど、Psycho le Cémuの場合はオートクチュールじゃない? 最初にムカついたのはそこで、“バックはどこ?”って思った(笑)。

DAISHI:面白いね(笑)。

seek:青さんの目線がね。

DAISHI:僕らからすると、cali≠gariさんは先にインディーズシーンでトップを取ってるバンドっていう感じだったんで。

桜井:でもヴォーカルが抜けて、一度何もかも失っちゃってるから。集客もガンと下がったし。一緒にイベントに出たのって、名古屋だっけ?

seek:いや、cali≠gariさんとはまともにやった記憶がないんですけどね。イベント<SHOCKWAVE>に出演したのもムックとかの世代になるから。cali≠gariさんはもう一つ上の世代だったんで。

DAISHI:先に行ってたなっていう感じですよ。

seek:ただ、デビューの年が一緒なんですよね。さっき言ったみたいに、時代の流れとして王道がひとしきり飽和状態になっていて、そこに何かやらかしたろかなっていうcali≠gariとPsycho le Cémuがデビューしたっていうのは、ヴィジュアル系シーンにおいて象徴的やったかなと。

桜井:確かに、ちょっと違うものが出てきたなって。2002年って、そういう年だったと思う。

DAISHI:だから直接対決はムックとした感じで、cali≠gariはいわゆるそのボス的な感じがしてたんで。

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