【インタビュー】KREVA、ノンストップで攻め込む待望のオリジナルニューアルバム『AFTERMIXTAPE』

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■心のままにトラックを作って聴こえてくる言葉をそのまま形にしていく
■そういう作業ができたのはこれはMIXTAPEだからって思っていたから


──それを聞いて安心しました。そもそも今作はなんでMIXTAPEだったんですか?

KREVA:9カ月連続リリースの最後は新曲でってことになって。「じゃあアルバムを」って話が出たときかな? アルバムは、今はないなと思ったんですよね。

──えー、なんでですか?

KREVA: 6月にベスト盤(New Best Album『成長の記録~全曲バンドで録り直し~』)が出て、そのすぐ後にアルバムっていうのが全然面白いと思えなくて。「でもMIXTAPEならいけるな」ってあるときに思って。MIXTAPEって、そもそもヒップホップとそれに付随する音楽だけのものだと思っているんですけど。アルバムでもEPでもシングルでもなく、他のジャンルのアーティストは持ち得ないMIXTAPEという表現形態がヒップホップにはあって。昔はほとんどがブートレッグだったんだけど、最近ではオフィシャルMIXTAPEがどんどん増えてきてて。グラミー賞もとっちゃうし(2017年Chance The Rapperが第59回グラミー賞最優秀ラップ・アルバム賞をMIXTAPE『Coloring Book』で受賞)。自分もMIXTAPEやってみたいなと思って始めたんです。(小林雅明著書『ミックステープ文化論』を見ながら)この本のまとめを見て、まさにそれだと思ったところがあって。自分はMIXTAPEが持っている“自由さ”が欲しかったんですよね。アルバムに入れるってなると、トラックもちゃんと選んで、テーマはこれで、人の文句とかいうと聴いていて気持ちよくない人もいるからやめようとか考えるけど、MIXTAPEならそういうのは一切なし。

──言い切りましたね!

KREVA:何回も言いますけど、心のままにトラックを作って、聴こえてくる言葉をそのまま形にしていく。そういう作業ができたのは、これはMIXTAPEだからって思っていたからなんですよ。

──となると、アルバム制作にとりかかるときとの心持ちもいつもとは。

KREVA:全然違いましたね。本当に何回もいうけど、心のままに。いいトラックできた、じゃあ歌おうとか。そんな感じで進めていきました。


▲『AFTERMIXTAPE』【初回限定盤】


▲『AFTERMIXTAPE』【通常盤】

■ウチにアレクサはいないけどね(笑)
■いないけど音ででてきたんです


──それではここからは今作を紐解いていきたいと思います。オープニングの「MIX/TAPE」。カセットテープのキュルキュルキュルキュ~、ガシャンという音と一緒に入ってる音はなんの音なんですか?

KREVA:ジャケットの撮影でコーヒーの焙煎所に行って。コーヒーを焙煎してる音を録っている写真を撮ってたんです。その音ですね。

──「敵がいない」はあの“敵がいない”の中毒性の高いフック。あれは誰が歌ってるんですか?

KREVA:俺です。俺の声のピッチ上げてます。

──KREVAさんのライブをイメージして歌詞を書かれたんですか?

KREVA:そうです。歌詞は時間がかかったほうです。この“敵がいない、敵がいない、敵がいない国”のフレーズは5~6年前から思いついてて。それはもっと悲しげな曲だったんですけど、これにハマるなと思って。それで、いまおっしゃってくれたみたいに、ライブは全員が楽しみに来てるからここは“ほぼ”敵がいない国、そういう感じで書きました。

──ワンマンライブはファンしかいないんだから敵がいない国状態ですもんね。

KREVA:それは分からない。運営者がこっちのことを「前来たときにアイツらステージドリンクぶち撒けやがって」って恨んでるかもしれないし(笑)。だから“まるで”敵がいない国だねってこと。

──おぉー。「One feat. JQ from Nulbarich」のコラボ作はしなやかにバトルを展開してOneになっていく感覚ですか?

KREVA:バトってはないです。去年、<908 FES 2018>に向けて曲を作ろうって話になってミーティングしたときからJQは俺にはとにかく強い感じでいって欲しいといってたんです。自分が綺麗なメロディでいったらものすごくハードで強い感じできて欲しいと言ってましたから。

──1+1で大きなOneになるまでにかなりのやりとりをされたということでしたが。

KREVA:そうですね。JQの入れた音とウチのバンド、俺が打ったビートも入ってるし、スタジオもビクタースタジオ、自分のスタジオ、JQがボーカルを録ったスタジオ、ミックスしてもらったスタジオとか完全にハイブリッドで。それが一つになっていったという感じですね。

──「S.O.S.が出る前に」は“アレクサ”は支えてはくれないけど、KREVAさんにこんな言葉をかけられたら心の支えになりますね。

KREVA:ウチにアレクサはいないんですけどね(笑)。いないけど、音ででてきたんです。曲調がドラムンベースみたいになってるなと思ったんですけど、そこもとめずにいっちゃいましたね。

──「アイソレーター」はどんなふうに生まれたんですか?

KREVA:これはいつも使ってる機材じゃないもので作っていったら、こうなった感じですね。ヒップホップみたいな音楽でイギリスのアンダーグラウンドミュージックに“グライム”というジャンルがあるんですけど。その影響だと思います。あとから気づきました。


■銀座線の中吊りに“Dr.コパの~”って書いてあって
■そのノリでDr.KREVAってつけたのが始まり


──「リアルドクターK」はタイトル、ライブに来てくれるお客さんを患者さんに例える発想が面白かったですね。KREVAさんが“ドクターK”と言われるようになった由来は?

KREVA:雑誌の連載をやることになったときに全然タイトルが思いつかなくて。その頃裏原でバイトしてたから、そこに行くまで銀座線の中吊り見てたら“Dr.コパの~”って書いてあって。そのノリで“Dr.KREVAの~”って付けたところからドクターKになった感じですね。

──「人生」は「今夜はブギーバック」のアフターソングなのかなと思ったんですか。

KREVA:いや。全然考えてなかったですね。この曲は最初に英語のフレーズがメロディつきで出てきて。いつもだったら日本語に置き換えるんですけど、MIXTAPEなんでそのまま活かしました。

──「Don’t Stop Y’all,Rock Rock Y ‘all」は今作のなかでどんな存在なんですか?

KREVA:MIXTAPEだから作為的なことはないって言ったんですが。決めてたこととして30分なんだけど10曲以上入ってること、トラックがガラッと変わるものが作りたいというのは決めてて。この曲がそう。

──「もしかしない」で、もしかしては存在しないという現実を見せて、そこからの「無煙狼煙」。もうイントロから最後まですべてがスリリング! 15周年を代表する曲だと思ってます。

KREVA:嬉しいですね。これだけずっとハードにラップしてて、この緊張感、この形の音楽って、フェスにしているような他のミュージシャンから出てくる可能性は極めて低いと思うんです。出てこないっていいきってもいいぐらい。

──これをライブでやるときはKREVAさんのなかでも緊張感はかなり高まる訳ですか?

KREVA:気持ち的な問題よりもフィジカルの問題ですね。本気ででかい声を出さないとこの歌は成り立たないので。ラップの用語で、ボーカルマイクに唾がかかるぐらいデカい声でラップするスタイルを“スピット”するというんですけど、それをライブではパフォーマンスしながらやるので、本気で挑まないと成り立たない曲ですね。

──「それとこれとは話がべつ!feat.宇多丸、小林健太郎」は、フィーチャリングゲストが凄すぎます。

KREVA:自分の中での2大パイセンですから。2大文系アーティスト最高峰、勝てる気がしないから絶対にディベートしたくないチーム。みたいな。構想3~4年、“それとこれとは話がべつ!”というフックもあって。ずっとやれるタイミングをうかがってました。

──そうして、「君の愛 Bring Me To Life」。モノでは満たされないもの、それが君の愛でうまるという歌詞がきますね。

KREVA:モノで満たせるものもあるんです。だから、実際に俺も服を買ってみたりするんだけど、感じてる寂しさや物足りなさは、愛をもらって始めて埋まる気がしますね。お金をつぎ込んで機材とかガンガンに揃えて良い曲作っても、誰も聴いてくれなかったら何にも満たされないですからね。誰かが「良い」っていってくれなければ。、だからこのアルバムもみんなに届けて、みんなにヤバいって言わせたい。そういってもらって完成する気がします。

──となると、そのためにもツアーは…?

KREVA:もちろん。

──では、9月26日に行なう<908 FESTIVAL 2019>。今年は武道館ではなく横浜アリーナ開催ですが、どんなものになるんですか?

KREVA:908 FESが908 FESであるためには?と、いろいろ考えた結果、エクスクルーシブな曲満載。それだなと思ったんで。そこは変わらないです。

──最後に読者のみなさんへKREVAさんからメッセージをお願いします。

KREVA:どれかは引っかかってくれるんじゃないかなと思うので、聴いてみてほしいです。

取材・文●東條祥恵

リリース情報

ニューアルバム『AFTERMIXTAPE』
2019年9月18日(水)発売
初回限定盤A<CD+Blu-ray+特殊ジャケット>
VIZL-1628 \4,908 + 税
初回限定盤B<CD+DVD+特殊ジャケット>
VIZL-1629 \3,908 + 税
通常盤<CD>VICL-65233 \2,908 + 税
<収録曲>
01. MIX / TAPE
02. 敵がいない国
03. One feat. JQ from Nulbarich
04. S.O.S.が出る前に
05. アイソレーター
06. リアルドクター K
07. 人生
08. Don't Stop Y'all, Rock Rock Y'all
09. もしかしない
10. 無煙狼煙
11. それとこれとは話がべつ! feat. 宇多丸, 小林賢太郎
12. 君の愛 Bring Me To Life
<特典Blu-ray/DVD収録内容>
1. 敵がいない国(Music Video)
2. One feat. JQ from Nulbarich(Music Video)
3. 敵がいない国, One feat. JQ from Nulbarich & AFTERMIXTAPE Shooting(Making)
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて9月18日より配信
https://jvcmusic.lnk.to/aftermixtape
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music

LIVE Blu-ray&DVD 「完全1人ツアー2018 at Zepp Tokyo」
2019年9月4日(水)リリース
Blu-ray VIXL-275 ¥5,908+税
DVD VIBL-949 ¥4,908+税
<収録曲>
01.Intro/02. トリートメント feat. DABO, CUEZERO /03. 神の領域/04. Change my mind/05. Changing Same/06. 王者の休日/07. THE SHOW/08. 国民的行事/09. 想い出の向こう側/10. これでよければいくらでも/11. あえてそこ(攻め込む)/12. 居場所/13. Revolution/14. 健康/15. 俺の好きは狭い/16. 基準/基準早口完全攻略講座/17. ひかり/18. 百人一瞬/19. 存在感/20. Tonight/21. You're the NO.1 (Hey DJ) feat. BONNIE PINK/22. ma cherie/23.瞬間speechless/24.最終回 /25.希望の炎/26.音色 ~2019 Ver.~
-Bonus Tracks-
Live at Zepp DiverCity 28th January 2019
1.基準/2.アグレッシ部

ライブ・イベント情報

<908 FESTIVAL 2019>
9月26日(木)横浜アリーナ
出演アーティスト:KREVA / 三浦大知 / s**t kingz / DEAN FUJIOKA / BONNIE PINK
お問合せ:DISK GARAGE 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)

<KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」>
12月13日(金)宮城 チームスマイル・仙台PIT
12月16日(月)愛知 ダイアモンドホール
12月17日(火)大阪 なんばHatch
12月19日(木)福岡 DRUM LOGOS
12月23日(月祝)東京 豊洲PIT
and more…!!
敵がいない国ツアー特設サイト:
http://www.kreva.biz/tekigainai_19_20/

9月15日(日)岡山「桃太郎フェス~岡山から元気を」マスカットスタジアム
9月21日(土)福岡「宗像フェス~Fukutsu Koinoura~」恋の浦 夕日の丘 野外ステージ
9月28日(土)J-WAVE「INNOVATION WORLD FESTA 2019」六本木ヒルズ(六本木ヒルズアリーナ / ヒルズカフェ etc…)
10月28日(月)SSTV「LIVE YEAH!!! Vol.1」パシフィコ横浜 国立大ホール

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