【インタビュー】Sunrise In My Attache Case、キラキラポップと骨太ロックが融合した明るくハッピーな3rdアルバム『Fireworks』

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聴けば世界がキラキラ輝きだす。ポップスの魔法にかかった超キャッチーなメロディと、どこかレトロなぬくもりのあるダンスロックサウンド。爽やかな海辺の風を運び込む、ドライブサーフミュージックと称されるSunrise In My Attache Caseは、年代もジャンルも飛び越えるタイムレスな魅力を放つバンドだ。Redbull主催バンド・コンテスト「Redbull Live On The Road 2016」で優勝し、一躍注目を集めた後、幾度かのメンバー・チェンジを経て完成した3rdアルバム『Fireworks』。キラキラポップと骨太ロックの融合、シティポップもダンスミュージックも呑み込む明るくハッピーな音作りには、一バンド一ジャンルの確かな存在感がすでにある。SIMACとはどんなバンドなのか? あらためての自己紹介からインタビューを始めよう。

■「ドライブで、こういうところを走る時に聴いたら最高やな」と
■まずはそういうところを重視して作っていきます


──もう何年になりますか。このバンドは。

Kazuya:何年やろ?

和希:オリジナル・メンバーはKazuyaだけなんですよ。

Kazuya:カナダのバンクーバーに留学している時に出会ったメンバーと日本に帰ってから始めました。たぶん7年ぐらい経ちますね。岡Pが入ったのが3年前で、和希が2年、SHUNYAが…。

SHUNYA:今年の5月。新人です。

Kazuya:みんな別のバンドをやっていて、解散して吸収して、みたいな感じです。元のメンバーが仕事の関係で辞めなきゃいけない状況もあって、うまく揃いました。

──1曲目のイントロの懐かしい感じの電子ドラムのフレーズを聴いて、絶対80'sのシンセ・ポップとかが好きなんだろうなと思ったんですね。でもそういう音って、今はすごく若い世代のバンドもやったりしてるから、若いのかキャリアがあるのか音だけでは年齢不詳だったんですよ。で、今、顔見てもわからないんですけど(笑)。

Kazuya:けっこう行ってますね(笑)。

和希:アラサーです。

──音楽的なルーツでいうと?

Kazuya:僕はポップ・パンクが大好きで、最初にハマったのがフォール・アウト・ボーイ。グリーンデイとかは聴いてましたけど、洋楽は全然知らなくて青春パンクばっかり聴いていました。GOING STEADYやガガガSPがめっちゃ好きやった。最初はそういうバンドをやっていたんですけど、洋楽にハマり出してパンクから落ち着いていって、ミシェル・ブランチとかの方向に行って、カントリーに流れて、最近やったらTHE 1975が好きです。逆に、古いものはあんまり通ってないですね。どっちかというと最近のアーティストを聴いて取り入れる感じです。

──そうなんだ。ちょっと想像と違ったかも。古いものをマニアックに掘っていくタイプかと。

和希:最近すごくやりたい音がそれだったという感じですかね。アメリカで流行ってる音がそういう音だったりするので。そういうものと今やりたいことがたまたま繋がった感じです。


──年代とかじゃなくて、ウキウキ、キラキラしたポップスをやりたいバンドなのかな。

Kazuya:そうですね。ポップスをやりたいです。その中に、たまにロック色のある曲をぶち込んだりして、ライブはもっとロックなほうに寄せてやっています。

和希:アルバムの中の曲もけっこう色が違いますよね。「Reason」とか、クリスチャン・ロックを意識して作ったんで。サーティー・セカンズ・トゥー・マーズがすごい好きで、あのオルガンがかっこいいなと思って、「Reason」にオルガンを入れたりして。だから、曲を作った時期によって違いますね。「Reason」の頃はクリスチャン・ロックが好きで、「Freedom」を作った時期は80'sや90'sの音が好きだったりとか。パッとインプットしたものを、パッとアウトプットしたくなるんで。

Kazuya:すぐにやりたくなるんですよ。

──ミーハーなんだ。良い意味で。

Kazuya:それを僕なりに解釈してやるんですけどね。「Freedom」は、最初はネタのつもりやったんですよ。このイントロ聴いたら、みんな「どないしたんや?」って笑うだろうと思ったら、案の定その反応で、でも曲に入ってパッと変わるから。

和希:かっこいい!と。

Kazuya:それで採用されました。「Freedom」は賛否両論になると思って隠してたんですよ。でも聴かせたら…。

岡P:否定なんか一個もなかった。

Kazuya:それから仕上げて、めちゃくちゃええやん!ということになった。

──アルバムは、冒頭の「Freedom」から「Fireworks」への流れが最高。基本、ハッピーなメジャーコードの曲が多いですね。

Kazuya:そうですね。ポップに行きたいのでメロディはマイナーに寄らないようにしています。ダークになるのが嫌なので。昔はめっちゃ好きやったんですけど、今は明るくポップに行ったほうが気持ちいいので。


▲Vo.Kazuya

──それは自分の中の流行りなのか、時代の流れなのか。

Kazuya:最近の流行りも入れたいんですけど、そこはあんまり意識してなくて単純に「いい」と思えばいいし、新しいこともするけど、「これ古いよね」というものもあえてやったりとか。気にしてないよね?

和希:あんまり気にしてないです。

Kazuya:どっちかというと、景色感のほうを気にしてるんですよ。たとえば、曲を聴いた時に「朝の曲」「夕方の曲」とか、そういうイメージを一番大事にしていて、「ドライブで、こういうところを走る時に聴いたら最高やな」とか、まずはそこを重視して作っていきます。


▲Gt.和希

──BGMとかいうと、悪い意味にとらえる人もいるかもしれないけど。生活の中のバックグラウンドになりたいみたいな。

Kazuya:そうですね。僕らが音楽を聴く時も、そういうタイプなので。

和希:だから自分たちで、ドライブ・ソングと銘打ったりしていて景色感は大事にしてます。「この曲、海、山、どっち?」とか、そういう話もするし。「About Time」は映画を見て作った曲なんですよ。「About Time」っていう僕の好きな映画があって、Kazuyaに見せたら、「めっちゃいい」ということになって、その2日後ぐらいですかね。「新曲できたよ」って。タイトル見たら「About Time」やった。「この人速いわ!」と思った(笑)。

Kazuya:影響受けると、すぐ出したくなるんですよ。

和希:だから、映画の景色がすごく見えてくるんですよね。ハッピーやなーと思います。

──映画見てみますね。「About Time」ってラブストーリー?

和希:ラブストーリーと家族愛も兼ねていて、主人公の家族がタイムスリップで過去へ戻れる家系なんですよ。モテなかった過去を変えて幸せになっていくんですけど、そのうち親父が不治の病にかかっていることがわかって…。

岡P:すっごい、いい映画やな。

和希:最初はコメディっぽいんですけど、途中から真面目になる。親父の言葉がめちゃいいんですよ。という映画です。ハッピーです。


──そういうところから、曲のヒントをもらうこともある。

Kazuya:そうですね。前に出した「The Wall」という曲も、海外ドラマの『ウォーキング・デッド』の、グレンとマギーというカップルがいるんですけど、二人の恋愛を見て書いた曲です。

岡P:Kazuyaからその話を聞いて、僕も『ウォーキング・デッド』を見たんですけど、基本的にゾンビの話なので、「The Wall」という超ラブソングのバラードは、『ウォーキング・デッド』を見ても絶対生まれないと思うんですよ。

和希:全然イメージちゃうよな(笑)。

岡P:ほんまにこれ見て書いたんか?と思った(笑)。確かに、ゾンビがおる絶望的な世界で、奇跡的に出会えるというのは、いいシーンではあるんですけど、ここまでのバラードは生まれへんやろと。その感性がすごいです。

和希:そこにグッときたんやな、Kazuyaは。

Kazuya:そうそう。もう、出会う瞬間がハンパない!と思って、「これは来たわ」と。

──他にあります? 元ネタのエピソードがあるとか、モデルがいるとか、そういう曲は。

Kazuya:何かあるかな…あ、「Like The Waves」は、プロサーファーの山中海輝くんという人がいて、奈良出身で、サーフショップが奈良にあるんですけど…。

──ちょっと待った。なぜサーフ・ショップが奈良に。

Kazuya:それがあるんです(笑)。そこに買い物をしに行ったんですよ。そこは海輝くんのお父さんがオーナーで、その時たまたま海輝くんがいて。お父さんから「うちの息子、プロサーファーやで」って紹介されて、「サインもろうとけ」って言われて、せっかくなんでサインをもらって。

──あはは。おもろい親父。

Kazuya:そこで僕らの音源を渡して、という出会いがあって。去年の7月に「湘南オープン」というビーチフェスで再会して、いろいろやり取りするようになって。海輝くんの応援ソングを作ろうという話になり、和希がトラックを作って持ってきた時に、「これは海輝くんや」とピンと来て、それを思って書いた曲ですね。

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