【速レポ】<中津川ソーラー>シアターブルック、「俺たちは、ここを守るぜ!」

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今年で7回目を迎える<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>が、いよいよスタートした。天気は朝から曇り空だが気温は快適で、何より緑あふれるこのロケーションは曇り空でも芝生や木々が鮮やかで眩しく、開会式に立った<THE SOLAR BUDOKAN>のオーガナイザー佐藤タイジも開口一番、「おはようございます。気持ちいいですね、清々しいですよ」と語る。

◆シアターブルック 画像

そして、開催地中津川市の青山市長の挨拶の後に改めて佐藤が、「今年のテーマは、Art、Music、Children。岡本太郎の名言を引用します、“芸術は爆発だ!”。<THE SOLAR BUDOKAN>、ここに開催いたします」と開会宣言をすると、そのまま「ワン、ツー、スリー!」とカウントして、佐藤タイジ率いるシアターブルックのステージを幕開けた。




1曲目の「ドレッドライダー」からグルーヴィなビートを転がしながら、ふくよかなサウンドを響かせるシアターブルック。沼澤尚(Dr)、中條卓(B)、エマーソン北村(Key)に加え、DJとエレクトリックデッキを加えた6人編成でのアンサンブルに、観客は心地よく体を揺らし、また歓声を上げピースサインを掲げて応える。続く「あふれ出すばかり」では、ピアノにギター様々な音響が重なったエキゾチックなサウンドが、野外の風と気持ちよく絡む。この<THE SOLAR BUDOKAN>では、ステージ含め運営に関わるすべての電力を太陽光発電でまかなっているが、ソーラー電源による柔らかでクリアな音は耳に心地好い。「あふれ出すばかり」での、細やかな音響が生きた繊細で濃密なアンサンブルはまさに、その醍醐味を味わえるものだ。

「今のやつも久々のやつやってんけど、次の曲もだいぶ久しぶりです。ゲストを紹介しようかな。吉祥寺のサックスの人を紹介しようかな」という佐藤の声で登場したのは、古い仲間だというマービン。ガムラン的なバンドのセッションに合わせ、サックスを頭に乗せて陽気に踊りながらの登場である。そしてプレイした久しぶりの曲「瞳孔は開かないか」では、客席に大きな骸骨や鬼のパフォーマーが登場してサウンドとのコラボを繰り広げた。親子連れもとても多いこのフェス、クネクネと動く骸骨にビックリしたちびっこもいたと思うが、ポップでシュールなそのダンスにハレのムードが高まって最高だ。のびのびとした環境で、フレンドリーに音楽と戯れて、自然と笑顔が生まれていくこの祝祭感は、<THE SOLAR BUDOKAN>ならではだろう。



「みんな朝早くから集まってくれてありがとうな。<THE SOLAR BUDOKAN>が(日本武道館から数えて)8年目というのはものすごい感慨深いですよ。うちの娘と同い年やから、一緒に成長してるのよね。みんな8年分成長してるし、老けたし(笑)。ええ感じやんか。ロックフェス大好物やから育ってるのが楽しいし、新しい仲間ができるのも超楽しい。フェスは、20世紀の最大の発明やと思う。ここだけは、守ろう」──佐藤タイジ

オーガナイザーでもある佐藤タイジは、何しろいちばん楽しそうである。「まばたき」では、自ら「ギター!」を叫びステージ先端でギターソロを披露し、チョーキングや速弾きで盛り上げながら、なお指揮者のように腕を振り回してアンサンブルと観客の手拍子を盛り上げ、シアターブルックの真骨頂たるディープなサウンドを響かせて、満面の笑みで締めくくった。



後半にはゲストを呼び込んでのセッション。まずは「(忌野)清志郎さんの曲を今からやるんねんけど、ヴォーカルに俺の友達のママを呼んでしまいました。俺の友達はヘコんでる。だからママを呼んで頑張ってもらおうかなと。みんなで応援しようかなと」という佐藤の紹介で呼び込まれたのは、金子マリ。ソウルフルな歌声で「彼女の笑顔」を歌い、その歌とハーモニーを奏でるように歌心あるギターを奏でると、続く「ありったけの愛」ではさらにパーカッションの辻コースケも呼び込んで、パーカッションとリズミカルに刻まれるギターと金子マリのスキャットで、軽やかに曲をスタートする。

「1995年リリースのオリジナルの「ありったけの愛」は、畏れ多くもマリさんと一緒に歌っているんです。ここにきて、オリジナルの「ありったけの愛」をみんなに聴いてもらいます。聴いてもらうん違うわ、踊ってもらいます。みんなが踊ってる姿が見えるフェスが好き、俺が好きなのはそういうこと!」──佐藤タイジ


途中、ミニー・リパートンの「Lovin’ You」を交えて、観客にシンガロングを煽り、さらにもう一度「俺たちは、ここを守るぜ!」と叫んだ佐藤タイジ。いつの間にか雲の間から、眩しい太陽が顔を出している。目の前に広がるのは、これぞ<THE SOLAR BUDOKAN>たる光景だ。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎平野大輔/高橋良平

【シアターブルック セットリスト】

1. ドレッドライダー
2. あふれ出すばかり
3. 瞳孔は開かないか Guest.マービン
4. まばたき
5. 彼女の笑顔 Guest.金子マリ
6. ありったけの愛  Guest.金子マリ/辻コースケ

■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>

9月28日(土) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ

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