【速レポ】＜中津川ソーラー＞THE BAWDIES、熱量が目に見えてわかる最高のライブ

ROY（Vo、B）が挨拶代わりのシャウトを決め、MARCY（Dr、Cho）、TAXMAN（G、Vo）、JIM（G、Cho）もそれに続くように一斉にノイジーな音をかき鳴らしてスタートしたTHE BAWDIES。「お祭りをはじめる準備はよろしいですか。声を出していきましょうか」（ROY）と言うや、スリリングなスピードと爆音による「KEEP ON ROCKIN'」で、会場を沸かせていく。

◆THE BAWDIES 画像

THE BAWDIESのライブの旨味が凝縮されたような曲で、間奏パートではTAXMAN、JIM、ROYがステージ中央で競うようにプレイして観客の興奮に燃料を投下し、手拍子を煽り、コール＆レスポンス…と、のっけからフルコースで盛り上げる。そのコール＆レスポンスも、大声を出すのはちょっと恥じらいがある人に「まずは小さい声から、そして中間、で、気がつくと振り切れている。これでどうでしょう」（ROY）と、演奏と一緒に徐々に音量のメモリを上げていく手法で、その声を大きくしていく。さすがのうまさで、1曲目にしてボルテージはマックスだ。


「遅れないでついてきて。遅れるとこうなります…「IT'S TOO LATE」！」とROYがまくし立て、馬力あるアンサンブルで観客を高くジャンプさせるなど、冒頭からノンストップで加速。ラストに超ロングトーンでそのハスキーな歌声を響かせるROYに、会場から拍手喝采が起こった。

「暑い！　自分で選んでおいてなんだけど、長袖はなしだよ」（ROY）
「涼しいっていうのは嘘だったね」（TAXMAN）

クールなスーツ姿で決めた4人だったが、今日は天気予報に反して晴れた上に夏のような気温。2曲ですでに汗だくである。

結成15周年を迎えたTHE BAWDIESだが、アニバーサリー・イヤーの祝祭気分に浸ることなく11月にはニュー・アルバム『Section #11』がリリースされる。そこに収録される曲で、いち早く配信リリースされた「LET'S GO BACK」で観客を躍らせると、続いては60'Sポップスのような甘美なグッドメロディとコーラス、印象的なギターフレーズが冴える「HAPPY RAYS」でうっとりとさせ、「KEEP YOU HAPPY」で手拍子とシンガロングを巻き起こしていく。さまざまな音楽の楽しみ、ロックンロールの楽しみを体現させるTHE BAWDIES。そして、クールなかっこよさばかりでないロックンロールショーの楽しみを教えてくれるのもまたTHE BAWDIESだ。




「初めて観る人がショックを受けるといけないので。ええと、これから「HOT DOG」という曲の準備をさせていただきます」（ROY）と断わりを入れ、THE BAWDIESのライブではお馴染みであるホットドッグ劇場（という茶番）がスタート。本日は“スターウォーズ”ネタで、ROYがスーク・スカイウォーカー、TAXMANはダース・ベイダー、JIMがヨーダ、そしてMARCYがC-3POに扮して、あの壮大な物語がなぜかホットドッグにつながっていく奇想天外さで観客を笑いで包むと、一気に攻撃的なリフでテンションを上げ「HOT DOG」で歓喜の声を上げさせた。


後半はニュー・アルバムからの新曲で「BLUES GOD」。ROYは、感じるままにのれば大丈夫というと、JIMがスライドギターを響かせる。と言っても渋くブルージィな曲というよりは、アッパーなビートでノイジーに炎をあげていくようなロックロールだ。ライブでの掴みも抜群で、観客の高い反応にいROYはピースサインで応える。そのいい流れから、「SING A SONG」でシンガロングのボリュームを上げると、ラストは「JUST BE COOL」。「最高の音楽の祭典に打ち上げ花火をあげたい」（ROY）と、ROYの渾身のシャウトと濃厚なアンサンブルで、観客を打ち上げ花火のごとくジャンプさせていった。遠目でもわかるくらいにメンバーのスーツは汗で色が変わり、すでに途中でジャケットを脱いでいるMARCYのシャツも同じく湯気でも出ていそうなほどぐっしょりと濡れている。気温のせいばかりでない、演奏の高い熱量が目に見えてわかる最高のライブだった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎木村泰之