【インタビュー】植田真梨恵、5周年YEAR集大成のZepp公演で新フェーズへ「変化や変身がテーマ」

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■今までの私とは違う変わっていく象徴
■として「Stranger」をリリースした

──では、この流れで10月に配信リリースとなったシングル「Stranger」のお話も伺いたいのですが。この曲は、打ち込みのビートとアコースティックギターによるカッティングのループに、グルーヴ感のある歌が乗ったとてもいい温度感のある曲で。北欧ポップスのようなタッチもありながら、とても新しさが飛び込んでくる曲です。この曲は、商業施設・新宿Flagsの21周年記念のテーマソングでもありますが、何か先方からオーダーもあったんですか。

植田:新宿Flagsさんのテーマソングとして店内で流れるというのがわかっていたので、ビル内でかかっているのを想像しながら作りました。私の心の中のテンションとしてはちょっと温度を上げるくらいの気持ちで。ひとりの時間をうまく使うような、ひとりの買い物の時間がちょっと楽しくなるみたいなイメージでできたらっていうのはありました。もともと、こういうテイストのものを作りたいというイメージだけがずっとあったんですよね。生ものの音をどんどん入れるというよりは、どちらかというとあまり聞いたことがないテイストにしたかったんです。私もかなり手探りで、アレンジャーと一緒に作っていった感じでしたね。「バッキングはアコギでいく? ピアノでいく?」とかひとつひとつ試したりしながら。私のイメージでは、アコギが頭から最後までずーっと鳴っているんだけど、生ドラムは鳴っていなくて、ずっとサンプリングみたいな音が鳴っているような感じがあったので。エフェクトをいろいろ試しながら作っていきました。


──ループ感から、徐々に上がっていく感覚が特に気持ちいいものになってます。

植田:よかったー。本当にただワクワクするものだけで構成したんです。「“普通だね”、みたいな感じになったらやめよう」って言いながら作っていきました。

──音的にも序盤のシンプルなものから、ドリーミーな間奏、ファンキーな後半にかけてどんどん増えていって、曲が変化する、その楽しさもありますね。ただ、音は増えるんですけどボリュームは上げすぎずに心地よい、いいバランスに貫かれている。この心地よさっていうのが、かなり追求された感じです?

植田:嬉しいです。間奏以降は音がどんどん増えていきますね。外国の男の子たちが地下鉄みたいなところで走り回って遊んでいるような音のサンプリングとか(笑)。あとはフックになるような椅子のギーっていう音とか、缶を蹴る音とかが入っていたり、<F.A.R. / W.A.H.>ツアーで使った鉄琴も使ったりしていますね。心地よさと、あとは枠にとらわれずに楽しかったり、面白かったり、ワクワクする方向で音作りをした感じでした。

▲植田真梨恵 × 新宿Flags

──それはこのタイアップということからそういう発想だったんですか、それともずっとこういうサウンドをやってみたくて機会を伺っていたものが、いいタイミングでやってきた感じなんですか。

植田:<F.A.R. / W.A.H.>ツアーが終わってからは、“ワクワクするもの、聴いたことのないものが作りたい”っていうのが漠然と心の中にあったんです。で、実際に「Stranger」みたいなメロディができて。“メロディは奇妙なんだけど、きれい”みたいな曲を今はいっぱい書きたい気分なので、アレンジがそうやってまとまっていったんです。なんか、ビルの中で曲が流れたときに、ちょっと“なんだろう?”って思うような感覚というか。

──心地よくも違和感があるような?

植田:気持ちいいような、気持ち悪いような感じのメロディがいいなと思いながら作っていました。とにかく歌い心地が気持ちのいいものを、今は作りたい気分なんです。悲しいような、きれいなような、みたいな感覚ですね。

──歌詞はメッセージ的なところもありますが、どうアプローチしていったんですか?

植田:歌詞は割と苦戦しましたね。あまり“元気出して”っていうものにしたくはないんですけど、行き過ぎない感じでナチュラルに上がるものっていう。まさに今、自分が思っていることがシンクロした歌詞がちゃんと生まれてはいるんですけど、わりと啓発的っていうか(笑)。でもあまり暑苦しく歌いたくないので、自分を鼓舞する気持ちで作ったものでした。

▲配信シングル「Stranger」

──この曲に「Stranger」というタイトルをつけたのは?

植田:この曲自体、私もワクワクするものであり、今までの私とは違う、変わっていく象徴として、この曲をリリースしたんです。これから先に会う自分が、自分でも知らない人になっているような、そういうイメージでつけたものでした。

──今回は曲だけでなく、イメージモデルとしてヴィジュアル的にも打ち出された、自身初の試みになります。音とヴィジュアルとで、また新たな客層もとらえられそうだなとも感じますが、今回なぜやってみようとなったんですか?

植田:本当にいい機会に出会えて。“まさか私がこういうポジティヴなイメージのものに選ばれるとは!?”というのはありましたけど(笑)。選んでいただいたので本当にありがたいなって。普段は曲に合わせて、頭の中のイメージで、服もそうですしメイクも自分で考えてきたので、とても新鮮でした。

──これまでセルフでスタイリングやメイクをしてきましたからね。

植田:そうです。今回はFlagsさんのイメージで、Flagsさんにあるお店のお洋服でスタイリストさんが衣装を何パターンか組んでくれて。そこから似合うものを選んで、髪もメイクもヘアメイクさんがいらっしゃって。そこに私のイメージもちゃんと汲んでくださるという状況だったんです。

──新鮮で、でもテイスト的には植田さんらしいものに仕上がりました。自分で見ても、ストレンジャーな感じっていうのはある?

植田:はい、違いますね(笑)。

──そういうことでもずっとワクワクが続いているんですね。

植田:続いていますね、面白いです。

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