【ライブレポート】ロックとアイリッシュウイスキー「ジェムソン」が紡いだ、一夜限りのスペシャルナイト

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もはや風物詩となった仮装もちらほら目につき、ハロウィンを翌日に控えてすっかりハロウィンモードな渋谷。そんな渋谷の中心地にあるSHIBUYA WWWにて、アイリッシュウィスキーのJAMESONが主催する音楽プロジェクト<JAMESON HALLOWEEN FES 2>のフィニッシュを飾る<JAMESON HALLOWEEN LIVE>が開催された。2018年に続き2回目となる今回は、グッドモーニングアメリカ、DATS、FINLANDSの3組が集結。サウンドもキャラクターもそれぞれ個性的な3組が、ハロウィンとジェムソンのお酒という魔法を介して繋がる、一夜限りのスペシャルなイベントとなった。

会場ではジェムソンを使用したカクテルがふるまわれ、DJのセレクトした音楽を楽しみながら、オーディエンスはリラックスしたムード。アンバサダーによって豪華プレゼント企画の説明がされるなど、パーティのような雰囲気はこのイベントならではだ。


そして19:00、塩入冬湖(Vo、G)率いるFINLANDSが、トレードマークのファー付きコートを纏ってステージに登場、「ゴードン」でライブをスタートさせた。アンニュイなロックに塩入のハイトーンボイスが映える1曲で、さっそく会場の空気を変えていく。そして「よろしくどうぞ」と挑発的に叫ぶと、次はサイケデリックなギターリフから始まる「バラード」で加速。2019年3月にオリジナルメンバーのコシミズカヨが脱退して新体制となったFINLANDSだが、歩みを止めるどころか、新たなグルーヴを獲得して前進していることが伝わる熱量に圧倒される。なんと言っても今夜は、新体制初のワンマンツアー<REMOTE CULTURE TOUR>の9か所を走り抜け、残すところリキッドルームでのファイナルのみという絶好のタイミングだ。4人の一体感と暴れっぷりが、脂の乗り切った現在進行形のFINLANDSの強さを証明している。


間のMCでは、塩入が2年連続出演となったことに感謝を述べて「ジェムソンのみなさんが、音楽を聴きながらお酒を飲むのは素晴らしいことだっていうことを信念を持ってやってくださるイベントで。参加できて、とても嬉しいと思っております」と語りながら、その一方で渋谷の喧騒に少々毒づいてみせるのが塩入らしい。「衛星」や「ガールフレンズ」のポップなメロディも、「call end」のスピード感溢れるロックンロールも、一貫してどこか突き放すような、媚びないスタイルがFINLANDSだ。


「どうもありがと」とそっけなく言い放ったあと、ラストの「ウィークエンド」では、塩入がマイクを握り、マイクスタンドが倒れても気にせず、身を乗り出すようにして熱唱。強烈な存在感とギターの残響を残して、4人はステージをあとにした。


▲FINLANDS

FINLANDSの熱狂を受けて次に登場したのは、トラックメイカーのMONJOE(Vo、Syn)を擁する4人組ロックバンドDATS。MONJOE以外の3人によるパーカッション・セッションという意表をついたオープニングから、なめらかにリズムを繋いで「Mobile」へ。ジャンルレスで自由なビートに、オーディエンスがさっそく気持ち良く揺れ始めると、MONJOEが「みなさん調子はどうですか?楽しんでますか?」と問いかける。肩肘張らない言葉にふさわしく、リアルタイムでシーケンスを操りながら、肉体的なリズムと融合させて生み出すグルーヴがたまらなく心地いい。


「Memory」では手拍子が巻き起こるなか、コール&レスポンスを求める場面もあり、まさにお酒が進むムードを作り上げて巻き込んでいく手腕はさすがだ。メロウな「404」を終えると、MONJOEがジェイムソンが入ったカップを手に「みなさん、ジェイムソン飲んでますか?せっかくだし、乾杯しませんか?僕はハイボール好きなのでハイボールで。乾杯!」と笑顔でコール。音楽もお酒も大好き、という共通点を再認識し、会場全体のテンションに火をつけたところで、後半戦は、ギターリフのイントロが印象的な「オドラサレテル」から、骨太なロックサウンドとポップなメロディで牽引していく。タイトルどおり踊らずにはいられない極上のグルーヴを支えるのは、淡々としていながら情熱的な大井一彌のドラムと、ぐいぐいと引っ張っていく早川知輝のベース。2018年にギタリスト吉田巧が加入し、より高まった一体感が爆発している。洗練されたエレクトロニカだけでなく、実力派メンバーによるこのバンドサウンドもまた、DATSの大きな魅力だ。


そのまま現在放送中のTVアニメ「ノー・ガンズ・ライフ」のエンディングテーマを務める最新曲「Game Over」から、2018年のシングル「Message」収録の「Heart」へ続き、キャッチーなメロディの強さでもしっかりとオーディエンスの心を掴んでいく。MONJOEがハンドマイクで語りかけるように歌う場面も挟み、DATSの開かれた新しいモードを体感できるライブだった。


▲DATS

転換中には再びアンバサダーが登場し、プレゼント企画の当選者が発表されるなど、会場のテンションも最高潮を迎える中、残すはグッドモーニングアメリカのみ。待ち構える会場に恒例のたなしんによるハイテンションな前説が響き渡り、なんとうしろの扉からたなしんが登場。フロント部分にしっかりとジェイムソンのラベルが貼ってあるボトル型の着ぐるみを着込み、さらにジェイムソンのボトルを片手に、オーディエンスと乾杯を繰り広げる。ステージに上がったあとも「ウィスキーといえばチョコレートでしょ!」とチョコレートを撒くサービスに、ライブスタート前にもかかわらず会場は大盛り上がり。続いて登場したメンバーもみんな笑顔だ。


10月15日にバンド活動休止を発表した後のライブだと言うのに、しんみりした空気は一切なし。いつもどおりのグドモがそこにいた。1曲目は「青春みたいに 飲み明かす仲間が居て 最高だな」という歌詞が今夜にぴったりな「Tonight Tonight」。そこから「光となって」「アブラカタブラ」と畳み掛ければ、オーディエンスは拳を掲げ、シンガロングが巻き起こり、一気にハッピーなグドモワールドが広がっていく。活動休止前のラストシングルとして発表されたばかりの「フルスロットル」も、迷いを振り払うような力強いツービートで突っ走る。わざわざ言葉にしなくとも、彼らが前を向いて進んでいくことが、音からも、歌からも伝わってくるようだった。


MCではたなしんの「ファイヤー!」が炸裂し、渡邊幸一(G)も「最高!お酒飲むとちょっと本当の自分になれるから。俺は今ほんとに嘘偽りなく楽しいです」と感動を口にする。金廣真悟(Vo。G)は「俺はお酒めちゃめちゃ好きで。お酒飲んだらカラオケ行きたくなる(笑)」と明かし、「結局歌いたくなって、またお酒飲んで、それでずっとずっとハッピーなの。そのひとかけらでも、みんなと共有できたら幸せだと思います」と語った。続いて披露された初期の名バラード「花」では、その言葉通り、金廣の歌の力が会場を包み込んでいくさまに息を飲む。ラストはキラーチューン「未来へのスパイラル」で、会場をひとつにするシンガロングが響き渡った。


アンコールでは再びたなしんがホールに現れて乾杯し、ステージ上で他のメンバー3人も「やっと飲める」とジェムソンを堪能。ピースフルな空気で迎えたフィナーレに贈られたのは、「そして今宵は語り合おう」だった。2010年の楽曲だが、「遥かな未来を描いて 明日も生きていくよ」という歌詞が今の彼らとリンクして胸に刺さり、グドモが放ち続けてきたまっすぐな歌とメッセージは、これからも決して色あせることはないと確信する。「いい夜でした、ありがとう」と言葉を残した金廣を筆頭に、ステージを下りる4人は笑顔のままだった。



▲グッドモーニングアメリカ

バラバラの音楽性を誇り、まったく違うパフォーマンスでオーディエンスを魅了した3組。間違いなく今夜だけの顔合わせに、新しい音楽に出会えた人も多いだろう。お酒の縁で、普段は聴かないジャンルにも素直に触れられた人もいたかもしれない。そして何より、ステージに立ったアーティスト自身もまた、この空間を楽しみ尽していたに違いない。お酒と音楽の幸せな関係を心から実感し、その余韻まで美味しい夜だった。


<JAMESON HALLOWEEN LIVE>

2019年10月31日(水)
@渋谷WWW

FINLANDS
1.ゴードン
2.バラード
3.UTOPIA
4.衛星
5.ガールフレンズ
6.call end
7.ウィークエンド

DATS
1.Soul Session
2.Mobile
3.Memory
4.404
5.Money
6.オドラサレテル
7.Game Over
8.Heart

グッドモーニングアメリカ
1.Tonight Tonight
2.光となって
3.アブラカタブラ
4.言葉にならない
5.フルスロットル
6.YEAH!!!!
7.花
8.未来へのスパイラル
EC1.そして今宵は語り合おう

◆<JAMESON HALLOWEEN FES 2>キャンペーンサイト
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