【インタビュー】The Songbardsが見据える、ザ・ビートルズのカタチ

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フォーキーなロック、グッドメロディ、メンバー4人のハーモニーが耳に心地いい、1994年生まれのメンバーで神戸にて結成されたThe Songbardsがとうとうメジャーデビューを果たす。1stフルアルバム『CHOOSE LIFE』のジャケットは、どことなくザ・ビートルズの『Rubber Soul』のジャケットを彷彿とさせるなど、ザ・ビートルズに多大なる影響を受けていることを公言しているバンドだ。彼らは偉大なる先人から影響を受けることで、どんなものを得ているのだろうか。そしてその先にどんなものを見出そうとしているのだろうか。メジャーデビュー作品にはどのようにそれが還元されているのだろうか。憧れへの想いと憧れとの関係性、音楽家としての信念について訊いた。

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■比喩的な意味でのザ・ビートルズ

──The Songbardsはザ・ビートルズから多大なる影響を受けていることを公言していますよね。特に上野さんは小学生の時にザ・ビートルズに出会ったとのことで。

上野晧平(Vo&G:以下、上野):サッカーをやっていたので、友達のお父さんの車で試合に連れて行ってもらうことが多くて。その車のなかでいつも流れていて、その時に“これがザ・ビートルズなんや”と認識しました。中学に入ってからYouTubeを観るようになったんですけど、そこで「Help!」のMVを見つけて、どんどんのめりこんでいきました。

──自分たちが生まれる前の音楽を好きになるのは、親御さんからの影響であることが多いけれど、そういうわけではないんですね。

松原有志(G&Vo:以下、松原):YouTubeやサブスクという、時代関係なくフラットに音楽を聴ける環境が土壌を育ててくれました。僕は大学に入学して、晧平からザ・ビートルズの存在を教えてもらって。それまでは“CMによく使われている曲”という認識だったんですけど、実際にYouTubeで映像を観てみたらめちゃくちゃかっこいいなと。“古い”や“新しい”という価値観ではないところでいい音楽を見つけられているのは、ネットの影響が大きいですね。

上野:ただ“いいな”と思っていたものを時代に関係なく聴けたので、中学時代は斉藤和義、ザ・ビートルズ、レディオヘッド、クイーンとかを並列で聴いてました。高校までずっとサッカーをしてたので、レディオヘッドを聴きながら体幹トレーニングをしてましたね(笑)。大学に入って有志と前身バンドを組むまでは、どの音楽も普通に好きなものとして聴いていました。

▲上野晧平(Vo&G)

──ということは、おふたりとも大学に入って初めてバンドをお組みになったんですか?

松原:そうです。大学に入学したものの、サークルに入ってもいなくて、授業を受ける以外に何もすることがなくて。でもいろんなことを学び取りたいし、その学びで社会貢献がしたいと思っているから、その気持ちをどう持っていこうかと考えるなかで、ギターをちょっとかじってたこともあってバンドをやってみることにしました。でも経験ゼロの自分が軽音サークルに入るのはちょっとハードルが高くて(苦笑)。それなら同じように経験ゼロの晧平や仲間と一緒にバンドを始めようと。

──2013年に上野さんと松原さんが中心となって4人組の前身バンドを組んで、そこからメンバーチェンジがあり柴田さんと岩田さんが順々に加入し、The Songbardsになると。なぜおふたりは加入に至ったのでしょう?

柴田淳史(B&Cho:以下、柴田):もともと僕は(上野と松原の)同級生で。当時のベーシストがオーディションの決勝当日に参加できないということで、サポートで参加したのがきっかけです。最初は助っ人みたいな感じやったけど、一緒に活動しているうちに前より仲良くなっていって、“このふたりがザ・ビートルズを目指しているなら、ちゃんと聴いてみよう”と思ったんですよね。そうしたらどのアルバムを聴いてもめっちゃいいし、知らない曲のなかにもいい曲がたくさんあって。そこからのめりこんで、ふたりの目指している音楽性と近づいていきました。

岩田栄秀(Dr&Cho:以下、岩田):僕はもともとJ-ROCKっぽいバンドをやっていて、UKやUSのロックを聴いてきてはいなかったんです。僕が声を掛けられた時は正式ドラムがいない状態で、人づてに“オーディションの決勝で叩いてくれるドラマーを探している”という連絡がきたことがきっかけで3人と知り合いました。

松原:栄秀は僕ら3人とも波長がすごく合って。栄秀が入ってくれたタイミングで「The Songbards」として活動することになりました。

▲松原有志(G&Vo)

──気になったのは、ザ・ビートルズから影響を受けていることをこれだけ堂々と表明するのはとても勇気が必要なことだと思うんです。どうしても比較されるでしょうし。

松原:ザ・ビートルズはものすごく偉大であることは重々承知しているし、どんなアーティストも越えられない壁で。だから“ザ・ビートルズに比べてこうだよね”と言われたら、その言葉に僕らも納得できるんです。だけど日本の場合、ザ・ビートルズ云々の前に、音楽を聴かない人が過半数だと思っていて。やっぱり僕らは音楽が好きだから、音楽好きの人たちに向けて発信したくなっちゃうけど、僕らも音楽に強い興味を持っていなかった時期があるから、そういう人たちにも訴えかけるのは恥ずかしいことではないし。

──そうですね。

松原:The Songbardsが影響を受けたアーティストとしてザ・ビートルズを聴いてくれたらすごくうれしいですね。世の中の音楽のやり方って、出尽くしている状態だと思うんです。でも諦めて“昔の音楽を聴いておけばいい”と思っているわけではないし、僕らの音楽はザ・ビートルズっぽいかもしれないけど、サウンドや歌詞が似ているわけでもない。影響をいろいろと受けながら自分たちの表現をしているので、違う土俵にいるという感覚ですね。僕らが目指しているのは比喩的な意味でのザ・ビートルズというか。

──その“目指している”を具体的に言うと?

松原:4人全員が作詞作曲ができること、4人全員が歌えることですね。あとは、ポップスやロックといったジャンルに対して新しい表現をする。でも時代が違うので、表現の仕方は変わってくると思うんです。

──たしかに。となると、今のThe Songbardsはその道の途中ということですね。

松原:そうですね。僕らは突き詰めたい音楽ジャンルがあるのではなく、精神的なものが根幹にあったうえで音楽性を模索していきたいので、The Songbardsらしさというものは4人の色がより濃くなったら見えてくると思うんです。リズム隊のふたりも曲のデモ作りには前々から挑戦しているので。

岩田:ちょこちょこ作ってみてはいるけど……難しいですね(笑)。リンゴ(・スター)もインタビューで「曲を作ってみても全部ほかの誰かの曲みたいになってしまう」と言っていて。僕も曲作りにトライするとそうなってしまってます。

柴田:やっぱり難しさのほうが勝っちゃうよね(苦笑)。

松原:自然にできたものでないと嘘のものになるから、僕らも焦ってるわけではないんです。今はライブでも4人でコーラスをする場所が増えたので、柴ちゃん(柴田)と栄秀が歌うことがのちのち作詞作曲につながってくるのかなと。現時点でもふたりはリズム隊の立場から曲や歌詞に対して屈託なく意見を言ってくれていて、ふたりのエッセンスは入っているので、4人の個性が活かされた曲たちになっているし。でも、急に完成形を作ってきてくれたとしても、嬉しい驚きとして受け入れます(笑)。

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