【インタビュー】The Songbardsが見据える、ザ・ビートルズのカタチ

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■どれだけやってもポールにはなれへんし

──The Songbardsはもともと歌詞にも“流れに身を任せよう”という意味合いの言葉が多いので、まさにそれを地で行っている。それはバンド名の“bard(=吟遊詩人)”という言葉や、今作のタイトルである“CHOOSE LIFE(=人生は選択できる)”という言葉にもつながってくるのかな、と思いましたがいかがでしょう。

松原:僕らは音楽を使ってなにかを行使したいわけではないから、リスナーの方々とは“一緒に考えていこうよ”というスタンスを取りたいんです。大学時代から、自分たちの考えていることをフランクな感じで話し合ってきているバンドなので、歌詞も具体的なものより普遍的で抽象的なメッセージのほうが反応してくれる人は多いんじゃないかなとつねづね思っています。でもそれは、自分たちの姿勢あってこそだとは思いますね。

──だから“愛”や“夢”を歌ったものが多い?

松原:そうですね。自分たちもまだその言葉の本質的な意味を模索している最中というか。その意味がまだわかっていないことって大事だとも思うんですよ。“こう定義されているけれど本当にそうなのか?”とか、“これはこう考えるほうがいいんじゃないか?”という方向に持っていけたらと思うんです。となると言葉の意味が定まっていないものの代表が“愛”や“夢”かなと。

──正解は1個じゃないよ、というか。

松原:1個の答えを出せないことが正しいことだと思うんです。愛というものを重く捉えすぎている人が聴いてナチュラルなものだと思ってくれたり、愛を軽く見ている人が聴いて大事にしたいと思ってもらえたりしたらうれしい。

──なるほど。ひとつの道を指し示す明確なメッセージではなく、バンドの強い信念が感じられます。特に9曲目「青の旅」は2017年にリリースされた会場限定盤収録の初期曲というのもあって、『CHOOSE LIFE』のラインナップで聴くと特に思想が剥き出しで。きっとこの歌詞に書かれていることは、現時点で解決していることもあれば、まだ解決していないこともあるんだろうなとも思いました。だからこそメジャー1stフルアルバムにこの曲は必要なんだろうなと。



上野:この曲は僕がゼロからイチにした曲なんですけど。おっしゃっていただいたように解決策を見出だせたものもあれば、そのまま残っているものもあるので、「青の旅」を純粋に歌い続けることが恥ずかしくなる時期があったんですよね。でもそれは他人からの見られ方を気にしていただけで、変なこだわりだったのかなとも思って。周りの人やメンバーの意見を聞いて、今後も演奏し続ける曲として考えられるようになったんです。自分が歌うことによって聴いた人の悩んでいたことがいい方向に行ったり、救われたり、曲に対して“私はこう思った”と意見をもらえたら音楽を作っている意味があるなと思うし。持ち曲のなかでも歌詞のメッセージが自分に跳ね返っている曲です。

松原:ポール(・マッカートニー)とジョン(・レノン)に憧れて共作を始めたけれど、やっぱり最初は違う人間同士だし難しくて。それができるようになってきたのは、本当に話し合いの賜物ですね。なので、晧平から曲が上がってきた時に“あ、これはあの時話していたことを書いてるんだろうな”と思うことも多いです。

──今作はフルアルバムということもあって、フォーキーなロックだけでなく、幅広い音楽性を楽しめるものになっていると思います。

柴田:加入してしばらくは、有志と晧平の目指す音楽を片っ端から聴いて自分がいいと思うものを探していくっていう、すり合わせの作業が多かったんです。最近はそれを継続しつつ、さらに自分で好きな音楽を探して、今のThe Songbardsに合うと感じた別なエッセンスを入れるようにしています。今回はファンクや70〜80年代のUSのシンガーの人たち、日本の歌謡曲が影響を受けた音楽の要素をベースに入れられた気がしますね。やっぱ、ポールばっかに傾倒してたらあかん(笑)。どれだけやってもポールにはなれへんし、自分で新たに探していかないと。

▲柴田淳史(B&Cho)

岩田:ポールと言えば、今回レコーディング中に“レコーディング史”みたいな本を読んでたんです。それによると、どうやらポールも“アメリカの音の太さを出したい”と思って試行錯誤していたけれど、ザ・ビートルズ後期でもそれを達成できなかったらしくて。僕も今作で同じ問題に直面したんです。海外の音の感じや雰囲気を出したいと思ってもなかなか出せなかったのでいろいろ挑戦してみて、今までより分厚く、ドラムの音だけでも身体が動くようなサウンドを目指しました。

▲岩田栄秀(Dr&Cho)

──リズム的な目新しさでいうと「グッドラック・ドリー」は顕著ですよね。「Othello」のようなロックが前面に出た曲も光ります。

松原:20曲くらいずつデモを作って、そのなかから1stアルバムとして使えるものを厳選しました。今までのThe Songbardsの流れを壊しすぎないようにしつつ、今後の作品につながるような側面も出していけたらと。「グッドラック・ドリー」はレコーディングが何曲か終わったあとに“アルバムだからできる遊び心を入れよう”ということで収録を決めました。

──「ストリートアレイ」のメロディが、ザ・ビートルズイズムもほのかに感じさせる、今の日本には異端な、だけどグッドメロディだとも思いました。これまでの歩みが実になっていることを感じさせる曲だと思いましたが、みなさんとしてはいかがでしょうか?

上野:この曲は有志がゼロからイチを作っている曲で。有志から歌詞の内容を聞いた時に、“すごくいい話だな”と思って……それもう1回話してもらっていい?(笑)

松原:(笑)。去年ライブでイギリスに行って、あのちょっと曇っていて石畳のリバプールの街を歩いた時に、“ここでポールとジョンがバンドを始めて、世界的なバンドになっていったのか”という壮大な物語を噛みしめたんです。その時に、ポールが最近のインタビューで言っていた「ザ・ビートルズは僕の夢のなかで再結成してる」という言葉を思い出して。その人のなかの小さな世界で生まれたものがきっかけで幸せな気持ちになれたり、仲間と手を取って挑戦しようという原動力が生まれることもある。そういうことを全部ひっくるめた曲にしたかったんです。

──となると前身バンドから7年弱、現体制で2年超でメジャーデビューというタイミングの今のThe Songbardsにぴったりの曲なのではないでしょうか。

松原:制作段階から“これは1曲目かな”という感じはありました(照)。再録の3曲は自分たちも時を重ねるごとに解釈が変わってきた、育ってきている曲を選んでいます。フルアルバムを作るのはバンドにとって夢でもあったし、こういうバンドとしての面白みが出た作品を、光栄なことにメジャーという場所で作れる機会をいただけたのはとてもうれしいです。

──The Songbardsはまだまだ未完成であることを実感するインタビューでした。今後どう育っていくのかも楽しみにしています。

松原:挑戦は成功するためだけにするものではないし、もし失敗しても終わってしまっても価値があるものだと思うんです。哲学もけっきょく答えが出ていないものだし、僕も音楽活動をそういうものだと捉えていて。だから挑戦は欠かさず、少しでも価値を見出して活動していけたらいいなと思いますね。

──柴田さんと岩田さんの作詞作曲曲が入るのは3rdフルかな、4thフルくらいかな?なんて予想を立ててみます(笑)。

柴田:良かった。3rd、4thならまだ猶予がある(笑)。

松原:でも意外とすぐかもね?(笑)

柴田:いい曲を作れるようにがんばります!(笑)

取材・文◎沖 さやこ



▲The Songbards /『CHOOSE LIFE』

1st Full Album『CHOOSE LIFE』

2019年11月20日(水)発売
■初回限定盤(CD+DVD)
VIZL-1664 / ¥3,300 +tax
・CD:初回限定ボーナストラックを含む全12曲収録
・DVD:『BARDS LIFE 〜The Story of The Songbards Volume 1〜』

■通常盤CD
VICL-65263 / ¥2,700 +tax
・CD:全11曲収録

[CD]
1.ストリートアレイ
2.悪魔のささやき
3.マジック
4.オデッセイ
5.Inner Lights
6.Life is But a Dream
7.Othello
8.グッドラック・ドリー
9.青の旅
10.春の香りに包まれて
11.風の吹くままに
12.この部屋で ※初回限定盤ボーナストラック

[DVD]
『BARDS LIFE 〜The Story of The Songbards Volume 1〜』
バンド結成からフルアルバム『CHOOSE LIFE』完成までの軌跡をまとめたオフィシャル・ヒストリービデオ。内容は、メンバーの撮りおろしインタビューや、約3ヶ月にわたる今作のレコーディング密着ドキュメンタリー、さらに最新ミュージックビデオ「マジック」を含む、結成以降の全6作品(「雨に唄えば」「太陽の憂鬱」「春の香りに包まれて」「Time or Money?」「Inner Lights」)、2018年渡英時の貴重映像等、50分超にわたる豪華ボリューム。

<The Songbards CHOOSE LIFE Release Tour>

■対バンツアー
2020年
1月23日(木)兵庫・神戸VARIT.
w / KOTORI, おいしくるメロンパン

1月25日(土)広島・HIROSHIMA BACK BEAT
w / 2, 空きっ腹に酒

1月26日(日)熊本・B9.V2
w / 2, 空きっ腹に酒

1月28日(火)香川・高松TOONICE
w / Brian the Sun, Slimcat

2月1日(土)宮城・LIVE HOUSE enn 2nd
w / The Cheserasera, No Buses

2月2日(日)埼玉・HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
w / Helsinki Lambda Club, ズーカラデル

2月9日(日)京都・GROWLY
w / DENIMS, Easycome

2月11日(火祝)石川・vanvan V4
w / DENIMS, MONO NO AWARE

  ◆  ◆  ◆

■ワンマンツアー
2020年
3月6日(金)岡山・MO:GLA
3月7日(土)福岡・DRUM SON
3月14日(土)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
3月20日(金)愛知・APOLLO BASE
3月28日(土)大阪・Shangri-La

メジャーデビュー記念配信番組『The Songbardsの井戸端会議』

■配信日程:
毎週木曜日19:00〜19:10(予定)
vol.1:11月14日(木)
vol.2:11月21日(木)
vol.3:11月28日(木)
vol.4:12月5日(木)

■視聴方法:
・スペースシャワーTV 公式スマホアプリ「スペシャアプリ」
sstv.jp/applive(iPhone/Android共通・無料)

・「スペースシャワーTV」LINE 公式アカウント
https://live.line.me/channels/52/upcoming/12437239

・ビクターエンタテインメント公式LINEアカウント
https://live.line.me/channels/520

後日、The SongbardsのYouTube Channnelでアーカイブ公開を予定
https://www.youtube.com/channel/UCoZEVc-cx5OaiRbV0L9-KMw

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