【インタビュー】寿君、過去を見つめ未来を拓く新作『Life is Great』

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ジャパニーズレゲエの新たなキャプテン候補、いつでもどこでもフロアを完璧にロックする、鉄板ボーイこと寿君のメジャー2ndアルバム『Life is Great』が完成した。ロックテイストでガンガンアガる先行シングル「大どんでん返し」をはじめ、得意のダンスホールスタイルのサマーチューン「ラバサマ」、インディーズ時代の代表曲のEDMリメイク「SEASON IN SUMMER(YOUSLESS Remix)」、オーセンティックなレゲエに、弱い自分すらもさらけ出す真摯なメッセージを乗せた「Life is Great」など、音も言葉もさらに進化を遂げた全9曲。メジャー2年目、過去を見つめ直すことで大いなる未来へ向かう、寿君の胸の内を聞いてみた。

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■「あながち間違ってないやん? 俺のLifeは」と思って

──寿君の2019年。どんな1年でした?

寿君:34歳になったんですけど、30代前半と呼べる最後の年やし、人生を振り返った1年でしたね。「俺って結局どんな奴なん?」ということを、すごい考えた1年でした。去年メジャーデビューして、1stアルバム『ニューレベ』を出した時は、『ニューレベ』=ニューレベルということで、新しい感じを出そうと思ってやってたんですけど、そこから1年半を経て、過去を振り返ることも多くなったんですよ。それで今回は「俺のLifeとは?」みたいな、自分のライフスタイルを表現したアルバムを作りたいと思ったんですね。

──その変化は、何か具体的な出来事があったから?

寿君:いや、そういう劇的なものはなかったですね。でも、いろいろ気づきました。東京にも慣れてきて大阪に帰る機会も減ってきて、休みも減ったけれど、だからこそ、遊ぼうと思った時に電話する人は「やっぱりこの人とこの人だけやな」とか、余分なことが減ってきたというか。暇があった頃は、大阪に帰ると「あいつは何してんのやろ?」って、いろんな奴に電話をかけてもうてたところが、絞られてきました。結局、すごい大事なものは、昔からあんまり変わってないんですよね。その上で、新しいことに挑戦する気持ちがすごく強くなったんですよ。というのは、最近、来てくれるお客さんのなかに新しい層が増えてきたので。


──おお。そうなんだ。

寿君:もう全く新しい方達です。最近はお祭りとか、学祭とかにもよく歌いに行ってたせいか、寿君のことをあまり知らなかった人が増えたんですよ。僕はクラバーやったんで、夜のお客さんがメインやったんですけど、それが昼間のお客さんに変わってきた1年でしたね。オバチャンもオッチャンも増えたし、ちっちゃい子も若い子も増えたし、偏ってないです。今までは二十代前半が一番多かったけど、いろんな人が来てくれる空間になってきてるので、「これはあんまりレゲエレゲエせんほうがええな」と思って、わからない横文字をあんまりMCで言わないようにしたり。「プローップ(Pull Up)!」とか曲を途中で止めたりするのも控えたり。

──あはは。なるほど。

寿君:一般の人が見たら、わけのわからないことは、あんまりしないでおこうと思ってます。その反面、毎週月曜日に大阪のラジオでレギュラー番組(FM OH!『寿・MIYAMOのミッドナイトポイポイ』)をやらせてもらって、そこでレゲエの話をしたりとか、LINE MUSICで『寿君のレゲエ講座』を始めたりとか。そういうところで「寿君はここから来ました」というルーツを出しつつ、新しいお客さんに見せる時は比較的キャッチーというか、誰でも入りやすいライブはするけど、ちゃんとそこにメッセージと熱さは残していきたいという、そういうライブを1年間ずっとやってきました。レゲエ以外の夏フェスにも色々出演しましたし、こんなにたくさんの人の前で歌ったのは、僕の音楽人生で初めてでしたね。すごい広がりを感じました。

──そんな寿君の、メジャー2ndアルバム。その名は『Life is Great』。

寿君:今までの曲は、強い寿君が、みんなにパワーを与えるために歌ってきた曲なんですよ。強い寿君に、自分もパワーをもらいながらやってきた部分はあるんですけど、今回は「Life is Great」も「Never」も「大どんでん返し」も、そんなに強くない、みんなに寄り添った目線の曲が多いです。人は絶対に悩むものだし、自分にも悩みはあるし、うまいこと行ってないところを、正直に今回は出そうと思いました。




──ああー。確かに。

寿君:自分の人生を振り返ることで、「あながち間違ってないやん? 俺のLifeは」と思って、『Life is Great』と言いたかったんですよね。昔嫌いやった人に言われたことも、「今になって沁みるわ」とか、あるじゃないですか。逆にめっちゃ若い子が言う「俺らの世代で、マジやったるんで」みたいなことを、今この年になって聞くと「ええなあ、若いって」とか思ったりしますし。

──あはは。自分もやってたくせに。

寿君:そう(笑)。自分も、めっちゃそんな子で「もう、先輩とかじゃないんすよ。俺らが変えるんで」とか言ってもうてたんで。でも今になると、先輩たちもみんな切磋琢磨しながらやってきて、俺たちみたいな若い奴らを受け入れてくれて、それで俺の今がある。「大どんでん返し」では「インディーズが長くて遠回りしたけど」とか言ってるけど、インディーズが長いからこそ、光も影も知ることができたし、辛いことも知っとかんと、良いことの魅力も薄れるなと思うんですよ。

──間違いないですね。

寿君:たとえば10年前、24歳でイドエンターテインメントの立派な事務所に出入りして、ユニバーサルのきれいなオフィスに出入りしてたら、すごい天狗になってたかもしれへん。でもインディーズの時に、みんなで1万円ずつ出して家賃3万円の部屋を借りて、そこから音楽を作って成りあがって来たんで、今の環境のありがたさが身に染みるんですよ。その、家賃3万円の部屋で一緒に作っていた友達がLIFE STYLEで、「CLEAN & FRESH」という曲を今回のアルバムに入れてます。ちなみにこの曲、最近YouTubeに上げたんですけど、「あー夏休み」や「ラバサマ」と比べて、回転しないんですよ。コメント欄ではディスもなく、めっちゃ褒められてるけど、あんまり回転しない。逆に「あー夏休み」は、ディスも多いけど、それ以上に褒められてるし、あの曲で寿君を好きになったという人にめっちゃ街で会うんですよ。「すっげぇメンション集めてるやん」って、「これは絶対やらなあかんことやな」と思いましたね。さっきも言いましたが、変わらない大事なものを残しつつも、新しいことにさらにチャレンジしていかなって改めて感じてます。





──それが売れるってことじゃないですかね。ディスもいいねも、どっちもあるからこそヒットする。

寿君:昔は、ディスられるのが嫌やったんですよ。「勝手に好きになられて、勝手に嫌いになるのとか、やめてくれへん?」って。でも「それってすっごい幸せなことやねんで」と、過去の自分に言ってあげたいぐらい、賛否両論のありがたさを最近めっちゃ感じます。「Life is Great」という曲も、そういう気持ちから作りましたね。昔、嫌やなと思ってたこととか、いいなと思ってたこととかも、年を重ねたら視野が広がって、環境も変わって、「あれは幸せなことやったな」と思うことがあるで、と。毎朝早く起きてしんどいなとか、嫌いな先輩がいて仕事行きたくないわとか、そう思ってる人に「ちょっとこれ聴いてみて」と言いたいです。それで少し年を取って、カラオケで歌ってみた時に、「これ、10年前の俺に言いたいわ」と思ってもらえるような共感を生みたいんですよ。弱い部分も含めて「自分とは?」というものを振り返ってみた時、僕の場合は「あながち間違ってない人生でしたよ」と。「今となったら『Life is Great』と素直に言えるで」ということですね。ほんまに等身大で書けたし、めっちゃスッキリしました。振り返ったらGreatやったけど、もちろんまだまだこれからなので、「まだまだ何もわかってない」って謙虚な気持ちにもなれたし、これからもやなこともうまくいかないことも起こるやろうけど、こういう気持ちでそれに臨めるかどうかは大きな違いかなって思いました。

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