【インタビュー】Czecho No Republic、ラ・フランスと『La France』の関係

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■俺、前世ラ・フランスだよ絶対

──『La France』は、タイトル曲の「La France」ができてから他の曲を書いていったんですか。

武井:いや、曲が生まれた時期はほとんど変わらないです。本当に日記のように書いているので。書かない時期が長くなると、精神的におかしくなってきます(笑)。

──そういう時期ってこれまで何度かあったんですか。

武井:結構あります。今年はなかなか書けなくて、ちょっと落ち込んだ時期もありました。普通の人からしたらそんなに落ち込む長さじゃないんですけど、2ヶ月ぐらい書けないと「もう無理かも」って思っちゃって。前に出した「Everything」という曲が個人的にすごく好きで、それを超える曲を作りたいと思っていたんですけど、なかなかできなかったんですよね。でも、4曲目の「Forever Summer」ができたので「OK!」と思えました。

──「Forever Summer」ができたことをきっかけに、日記のように曲が書けるように戻ってきた感じでしょうか。

武井:う〜ん、ゆっくりと(笑)。

──『La France』というタイトルには、“日本に入ってきてから100年経つが、注目されたのはここ10年というラ・フランスの遅咲きの境遇が自分たちに似ている”という意味が込められているそうですけど、それを思いついたきっかけってなんだったんですか?

武井:曲のデモを作ったときに、いつも適当なあだ名をつけて保存するんです。この曲は鼻歌で入れて「La France」という仮タイトルをつけていて。次の音源をどうしようかっていう話になったときに候補に上がったんですが、家で歌詞を考えていたときに、俺が仮タイトルで「La France」ってつけてるだけなのに、みんながこの曲のことを自然に「La France」って呼んでることにちょっとウケて。じゃあ、このままでいこう、歌詞に一行だけ「ラフランス」って言葉を入れておけば「La France」になるだろうと思ってこのタイトルを付けたんですよ。だから、果物のラ・フランスのことなんて何も知らないのに書いたんです。

──もともとラ・フランスが自分たちの境遇に似てるという発想で曲を書いたわけじゃないんですね。そういう後付けってよくあることなんですか?

砂川:ほとんど、後付けなんじゃないですかね(笑)。

タカハシ:でも、奇跡のようなハマり方をするんですよ。偶然が重なって。

武井:最初から「この言葉の曲を書こう」っていうのは、あんまりやったことがないです。

──後付けの意味を知ってから聴いたから、“日本に入ってきてから100年経つ”みたいな時間の長さを間奏で表しているんじゃないかとか思いつつ聴いてしまったんですけど、アレンジ面では曲の意味とリンクするようなところも考えたんですか。

砂川:間奏のノイジーなギターの部分は最初にはなかったんですけど、(武井に)そういうギターを入れたいって言われました。「腐りかけラフランス」っていう歌詞が入っているから、それにつながるような感じで。

▲砂川一黄(G)

武井:実はその頃も、ラ・フランスの歴史なんて何も知らなかったんです。曲ができあがってEPのタイトルをつけるときに、4曲をまとめる言葉が何もなくて困っていて、ラ・フランスについて調べてみたんですよ。そうしたら、すべてがピッタリすぎた(笑)。

──発売直後の11月11日は「ラ・フランスの日」だったみたいですけど。

武井:らしいですね。その日、俺が引っ越した日で。そういうところもかぶっちゃった(笑)。ラ・フランスと因果関係があるとしか思えないです。

タカハシ:今の時期がちょうど旬な食べ物だっていうことも知らずにね?

武井:俺、前世ラ・フランスだよ絶対。

砂川:しかも腐りかけが一番美味しいらしいですから。

武井:俺は、皮肉のつもりで「腐りかけラフランス」って歌詞を書いたつもりなんですけどね。そうなると歌詞のニュアンスが変わってきて、また面白いなって。こんな色んなメッセージを秘めた果物でいてくれたことに感謝ですね(笑)。

──リード曲「Hi Ho」はダイレクトなメッセージソングですね。こういう曲はキャリアを経て歌えるようになったところもあるんじゃないですか。

武井:たぶん、あるんでしょうね。今までは自己完結の曲が多かったと思うんですが、この曲は「君に幸あれ」とか、外に向けて言ってる気がするので、それは変化なのかもしれないですね。

──どんな気持ちで書いたのでしょうか。

武井:ファンの方が、手紙とかSNSのメッセージで、「就職して前みたいにライブに行けなくなりましたけど、応援してます」「大学に受かったんで、これからライブにたくさん行きます」「子どもができたので、落ち着いたら子どもと一緒にライブ行きますね」とか、そういう連絡をくれることが増えてきたんです。俺らも長いことやってきたので、それはそうだなと。生活スタイルに変化が伴うときって心が疲れちゃうと思うので、そういう人がほっこりするような、応援したい気持ちが出てきたので書きました。

タカハシ:テンポも速くなくてゆったり聴けるし、それをリードトラックにするっていうのも新しいというか、今のチェコだからこそできることだなって思っています。わりと、楽器もシンプルだもんね?4人で足りる楽器の量で。

武井:ホーンは入ってるけどね。だから、柔らかい感じですよね。

タカハシ:すごく強く背中を押すっていう感じでもなく、私たちらしい、のほほんとした応援歌です。

山崎:アレンジは、ほぼほぼデモのまんまですけど、このBPMの中でも少し勢いを出そうと思って。今までやったことはなかったんですが、サビでは2拍目にキックを入れて4つ打ちの感じにして力強さをプラスしてみました。

砂川:今回は、全体的にめちゃくちゃ柔らかく弾きました。最近の自分の傾向もありますけど、バンド全体でもそういう感じで。僕たちは、めちゃくちゃガシガシ、グイグイ、ゴリゴリ、「いこうぜー!」みたいなバンドじゃないから、自分たちなりの表現力を活かしたいなと。軽快さを意識したというか。




──EPのどの曲にも感じたことですけど、賑やかで力強いけど、軽やかに聴こえるのは、バンドのアンサンブルが上手いからなんだろうなって思いますし、今のバンドの一体感が出ている気がします。

武井:それはやっぱり、昨日今日で出せるグルーヴじゃないので。たまに、友だちのバンドで遊びでベースを弾くことがあるんですけど、全然違うんですよね。チェコだとできるグルーヴというのは当たり前のようにあるので、それは長くやってこそだと思います。さっき、「柔らかく弾くようになった」って砂川さんが言いましたけど、お互いにそういう話をしたわけではなくて、俺も歌を含めてそういう時期だったんですよ。いかに力まないかっていうことがテーマになってきている。タカハシが弾くギターも、わりとそういうアタックなので、サスティンのある良い出音に知らず知らずになってきた気がします。

砂川:あと、9月のシンガポール公演(<Music Matters 2019 in Singapore>)で海外のアーティストさんを見たんですけど、海外の方ってレンジの出し方がすごく上手くて勉強になりました。全然音量を出していないのに、力強くて迫力があって綺麗に響く。ああいう風にやりたいなって思いました。

山崎:僕も、優しく叩くようになってきています。今、みんな柔らかいです。

タカハシ:私は、4人になってからギターも弾いているんですけど、もともと柔らかいです(笑)。優しさが出てるのかなって。

砂川:自分で言う?(笑)。

武井:もうちょい、優しくなくてもいいけどね?

タカハシ:よく言われるんですよ、もっと強く弾けって(笑)。

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