【レポ&インタビュー】転校少女*の絆と決意

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エモーショナルかつ文学的な世界観をコンセプトにしたアイドルグループ、転校少女*が11月13日(水)にアルバム『COSMOS』をリリースし、メジャーデビューを果たした。その3日後、16日(土)には全国ツアー<転校少女* 全国ツアー令和元年 “The Fifth Autumn Of Love”>のファイナル公演を東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催。本公演をもって、初期メンバーでありリーダーの岡田夢以がグループから転校(卒業)した。そのライブレポートをお届けする。

また、BARKSでは同じく初期メンバーである塩川莉世と松井さやかにインタビューを実施。ツアーファイナルを終えたばかりの彼女たちに、ライブの感想や今後の展望、そして岡田夢以への想いを聞いた。

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転校少女*が11月16日(土)に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、キャリア最大規模となる全国ツアー<転校少女* 全国ツアー令和元年 “The Fifth Autumn Of Love”>のファイナルを迎えた。

2014年11月に“転校少女歌撃団”として結成され、2018年5月に“転校少女*”に改名。塩川莉世、岡田夢以、松井さやか、寺田葵に加えて、2019年8月には小西杏優、小倉月奏、上原わかなが転入生として加入し、7人体制で活動してきた彼女たちは、結成5周年を迎えた今年2019年11月13日(水)に通算2枚目となるアルバム『COSMOS』でメジャーデビューを果たした。本公演では、メジャーデビューアルバムに収録された全8曲はもちろん、結成時からこれまでの活動を振り返るかのような過去曲も多数披露され、今年の9月にグループからの転校(卒業)を発表したリーダーの岡田にとっては最後のステージとなった。


開演時間になると、ステージ上のスクリーンにこれまでの歩みを振り返るようなアーティスト写真やライブ写真が次々と流され、<There is ALWAYS HOPE>という文字とともにバックバンドを従えたメンバーが、7人体制のお披露目となった<@JAM EXPO 2019>(神奈川・横浜アリーナ)で着用した衣装で登場。岡田が「転校少女歌撃団になって初めてもらったオリジナル曲」と語った「猟奇的You&Me」に続き、松井と寺田がフロアを熱く煽ったヘヴィーなロックナンバー「私の絶対領域」、自己紹介をフィーチャーしたマーチソング「恋はカムフラージュ」、塩川による強い信念を感じさせる歌声が会場中に響き渡った「Mr.Dream」と、2015年結成当時の馴染みのある曲からライブをスタートさせた。




岡田が「一緒にロックしてくれますか?」と呼びかけた「TRIGGER」では、“歌って踊って銃を撃つ”という初期のコンセプトを再現し、天体図をバックに歌った「瞬け、プルート」では自然とクラップが沸き起こり、客席にサインボールを投げ込んだ「NEVER ENDING STORY」では会場全体がツイストダンスで盛り上がり、個で、集団で、ハートマークを作った「100年キミだけ」では松井の歌声を合図にスクリーンに大きな花火が打ち上げられた。



「生バンドでのライブは初めてだから、すごく気合いが入ってる」という小西のMCに続く中盤では、“TENKOUSHOUJO THEATER”と題し、さらなる表現の多彩さを見せた。アニメ『GO!GO!アトム』のエンディングテーマに起用された「終わらない世界」では、世界中の「ありがとう」や「友達」「大好き」などの言葉を歌いながら手を繋いで円になって踊り、スイングジャズナンバー「Catch Me(If You Can)」では岡田と寺田のペアダンスに大きな歓声が上がった。そして、塩川と松井のデュオによる「PAINT GIRL」、最新の衣装に着替えた岡田と寺田のガールズラップ「さかさまの世界」というユニット曲を経て、スロウテンポにリアレンジした「Love Range!」のアコースティックバージョンを披露。「She’s Rain」では岡田と寺田はマイクを持たずにダンサーに徹し、最後に傘が壊れるというアクシデントにも負けずに、傘を使った見事なパフォーマンスを見せ、冬のラブソング「Winter Wish」では小西のソロパートの後に、歌詞としては存在するが歌唱はされない「またね」という文字がスクリーンに映し出され、観客に言いようのない余韻を残していった。




ライブが進むごとにフロアの熱気が上がっていく一方、岡田の転校という最後の瞬間も近づいてくる。岡田の「私じゃダメですか……」というセリフに沸いた「ショコラの独白」、メンバーの歌声から未来を自分の手で掴むんだという強さを感じたエモロック「この世界にサヨナラして」とシングル曲を連発。渋谷の街に歌詞が投射された「プロムナードの足跡」でさらに前に一歩、足を進め、「ときめけ☆アフタースクール」「じゃじゃ馬と呼ばないで」では観客から絶叫にも似た、この日最大のコールが鳴り響き、金テープが舞い散った「WONDER WAVE!」では会場全体がひとつになり、<地球上で 一番いま 熱いのはここだよ>という歌詞を体現。


メンバーが口々に「楽しいね」と声を重ねる中、メジャーデビューアルバムのリード曲「星の旅人」を熱唱。松井と塩川が<僕と出逢ってくれてさ、ねえ、ありがとう。>と絶叫し、岡田は新たな旅立ちのようなソロダンスを舞い、笑顔のままで目に涙を溜めながら「応援してくださった皆さん、見つけてくださった皆さん、本当にありがとうございます。私はここで……違う道に行きますけど、それぞれが、それぞれの道で自分らしく輝いていけるようにがんばっていきます。これからも転校少女*は走り続けていくので長く長く応援してくれたら嬉しいなと思います」と呼びかけ、熱い拍手が鳴り止まない中で本編の幕は閉じた。


アンコールではそれぞれのツアーTシャツで登場するや否や、ステージを降りて客席に駆け出し、「バ・ビ・ブブブー・ブートキャンプ」で明るく盛り上げ、松井が「いろんなシーンで夢以と一緒に歌ってきた曲です。今日で転校する夢以と歌うのはこれが最後になります。7人で思いを込めて歌います」と紹介した「銀河列車」では、岡田は涙目で<じゃあまたね>と切なく歌い、出会いという奇跡の感謝を綴った青春ロック「With You」の曲中には岡田の語りのシーンが用意されていた。

「この5年間、本当に皆さんに支えられて走ってきました。みんなに出会えて、メンバーやチームに出会えて、ものすごく私は幸せでした。いくつになったとしても、転校少女*であったことは私の自信です。リーダーであったことも、素敵な仲間がいたことも、応援してくれたあったかい皆さんがいたことも、全部が私の誇りです。私を見つけてくれて、たくさんの愛をくれてありがとう。心の底からアイドルになれてよかったなと思います。最高の5年間の青春を本当にありがとうございました」

岡田が涙で声をつまらせながらファンへの感謝の気持ちを伝え、深々とお辞儀をしたところで、彼女のオーディション時の模様を収めた映像が流されると、岡田は「何これ!? やめてー!」と絶叫。客席からも笑いが起こる和やかな雰囲気の中で、彼女のヒストリー映像に続き、メンバーからの転校を祝うコメント映像が送られ、松井の「忘れてるかもしれないけど、今、曲の途中だったよね?」というツッコミをきっかけに曲に戻り、桜が舞い散る映像の前で、堂々と歌いきった。


そして、7人で最後の曲として選ばれたのは、7人での初お披露目曲だった「Girl’s Time」。岡田が「最後はみんなで笑顔で締め括りたいですね。みんな、一緒に歌って、踊って、クラップしてくれますか!」と呼びかけると、フロアは大きなコールと激しいクラップ、さらにジャンプで盛り上がり、全26曲4時間に及んだライブは終了。エンディングSEとして「星の旅人」のインストが流れる中、岡田は満面の笑顔で「悔いなし!!」と叫び、最後のステージをあとにした。


取材・文◎永堀アツオ
撮影◎林 晋介

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