【インタビュー】OLDCODEX「ズバッと切り裂くような切れ味のいい曲にしたかった」

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アートロックを掲げ、道を切り開き続けるOLDCODEXがTVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課-トクナナ-』の主題歌をふくむ17thシングル「Take On Fever」をリリースした。現在、全国ツアー中の彼らがリアルタイムで感じていること、受け取っているエネルギーなど日々の実感について語ってもらいつつ、楽曲、ミュージックビデオ、ジャケット写真と細部にまでこだわった新作についてTa_2とYORKE.に話を聞いた。ボーカリストとペインターという異色の組み合わせだからこそ成し得る作品はイマジネーション次第でどこまでも広がっていく世界。胸を焦がすような激しさと熱量が込められたナンバーから切ない色に染まっていくような繊細なバラードまで3曲の中にOLDCODEXの今が余すことなく描き出されている。

■“Fever”にどうTake Onするのかはその人次第
■熱からパッと手を放したあとどうするのかに向き合っている


──まず、現在はツアー<OLDCODEX “LADDERLESS” Tour 2019>の真っ最中ですが、今回のツアーを通して実感していることについて教えてください。

Ta_2:どこの会場に行っても「楽しみたい!」っていうみんなのポジティブなエネルギーを感じてますね。ライブが始まったときの「どんな感じになるんだろう?」ってワクワクして、少しおっかなびっくりな感じから、一気に弾けていく彼ら、彼女らの姿が見てて気持ちいいなって。今回、セクションによっては自分の歌をどう感じてくれてもいいと思いながら歌ってるけど、ステージに上がっているときの自分の感情の起伏が激しいかもしれないです。最終的にはエネルギーをもらっていて、そこに至るまでの過程は一言では言い表せないぐらい駆り立てられるものがありますね。

──1本のライブでいろいろな感情になるということですか?

Ta_2:そう。喜怒哀楽がたくさん詰まってるライブ。体調が悪いときもあったけど、そういう中でも受け取れたり、発見することがあったり、YORKE.が描いている絵のパワーで自分が感じるものがあったりとか。

──反応しやすい状態になっているんですね。

Ta_2:そうかもしれない。

YORKE.:僕はいま8本(取材時)やってきた中で、アルバム『LADDERLESS』が仕上がってきている実感がありますね。見た人がどう感じるかは二の次で、自分が目指していたパフォーマンスは見えてきたなって。

──そのパフォーマンスというのは?

YORKE.:僕もときにはマイクを持って歌うけれど、アルバムで伝えたいことをヴィジュアル化して見る人を惹きつけるパフォーマンス。今回のツアーは会場のキャパシティが少し小さい分、距離も近いけど、ステージとフロアーに目に見えない境界線があることが感じられるものにしたかったから、その目標には近づいてきてるんじゃないかなと思っています。初日は戸惑っていた部分もあったけれど。

──10月17日のLIQUID ROOM ebisu ですよね。それはなぜ?

YORKE.:初日を迎える1週間ぐらい前にリハーサルのアクシデントで背中から腰にかけて肉離れみたいな状態になってしまって、「こんなに準備したのに」って思ったし不本意だったんだけど、いままで培った経験もあってか、結果、乗り超えられた。いまはキャンバスに描く絵の完成度やお客さんに向かうむき出しの部分だったりもふくめて、集中してやれているし、いい状態になってきていると思っています。


▲「Take On Fever」【初回限定盤】


▲「Take On Fever」【通常盤】

──Ta_2さんはそんな相棒を見て最初は心配していたんですか?

Ta_2:本人が「ライブになったら俺はイケると思う」って言っていたから大丈夫かなって。長くやっているからこそ信頼感はありましたね。寧ろ、俺が不安なときはYORKE.に「大丈夫だよ」って言われて勇気づけられた。ステージからYORKE.を見ると「まだまだイケる」って。

YORKE.:本番ってすごいよね。ちょっと偉そうなこと言わせてもらえば、何本もあるツアーの中、万全な状態でないときの方が多かったりするけど、人生の中のたかが2時間なんだよね。痛くても2時間ぐらい忘れられるだろうって自分に言い聞かせるんだけど、やり遂げた次の日は少し楽になっていたりして。身体って自分の暗示に応えるようにできてるのかもしれないね。

──お客さんの「楽しむぞ!」っていう強力なエネルギーも作用しているんでしょうしね。

YORKE.:そうだね。

Ta_2:それは絶対ある。勇気づけられるからね。そういうときほど目の端でYORKE.を捉えて、やっていることを見ているとふんばれるし。

──今回のツアーの初日で初披露された新曲「Take On Fever」はTVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課-トクナナ-』の主題歌としてオンエア中ですが、ライブのときに最も激しい曲と言っていましたよね。

Ta_2:楽器隊が激しくてテクニカル。『LADDERLESS』はOLDCODEXの枠組みを広げて大人っぽくまとめたアルバムだったけど「その枠におさまっていないよ」っていうトゲを出したかった曲ですね。あとから気づいたけど、OLDCODEXのライブを見た人に“客席を切り裂いていくようなパフォーマンスだった”って感想をもらって、「Take On Fever」で「これが俺らなんだ」ってズバッと切り裂くような切れ味のいいナンバーにしたかったんですよね。今までにも多くのアニメのタイアップをやらせて頂いてきたからこそ、90秒のスポットに対する答えを出したかった曲でもありました。サビの抜け方を意識してアレンジャーのebaと一緒に精査して、フル尺ではまた違う印象を与えられたら、OLDCODEXの武器を存分に発揮できるんじゃないかと思っていました。

──Ta_2さんは声優としても出演(二条クジャク役)していますが、サウンドは銃声の中を走り抜けていくようなスピード感があり、ハードボイルドな印象を受けました。

Ta_2:嬉しかったのは曲の途中段階を共演者に聴いてもらったらみんな「この曲でイメージが膨らんだ」って言ってくれて、チームとして一致団結したし、間違ってなかったって思えたことですね。

──歌詞もアニメからヒントを得ているんですか?

YORKE.:主題歌だから、モチーフはたくさんもらいましたね。『トクナナ』のビルが立ち並ぶ映像を見て「アーバンな世界観だな」と思ったから、実際に車を走らせて東京タワーだったりをまた違う角度から見て、“善と悪”っていう紙一重のテーマを捉えていこうかなって。

──タイトルの「Take On Fever」は“熱を帯びる”という意味あいですか?

YORKE.:帯びるなのか、熱を連れていくのか、連れていかれるのか。“Fever”にどうTake Onするのかはその人次第というニュアンスですね。熱からパッと手を放したあとどうするのかに向き合っているような感じ。

──“九つの意思が薄れていく頃 焼け跡へ触れてしまうだろう”というフレーズも物語からインスピレーションを受けたものですか?

YORKE.:そう。アニメの中に“ナイン”という組織が出てくるんです。いちばん最初にオファーされた段階で台本を読んだんだけど、映像になるとまた違う印象になるから、出演しているTa_2に「この部分はどう捉えたらいい?」ってヒントをもらって。

Ta_2:あらましみたいなものは話したよね。

YORKE.:そういう作り方ができるのはOLDCODEXの武器。作品に歩み寄りやすかったですね。

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