【インタビュー】鈴木研一、30周年ベストアルバムを前にして「尿路結石」を語る

■これを読んだ男の人は意識したほうがいいですよ

──尿路結石になったのは2019年9月でしたが、ベストアルバム制作に影響は？

鈴木研一：いや、その頃はまだ曲目も決まってないし、本気モードじゃなかったですよね。結局本腰になって作り出したのは締切の2週間前。

──「愛のニルヴァーナ」と「悪夢の序章」の2曲ですね。

鈴木研一：和嶋くんとひとり1曲作ろうということで、ほんとは石に悪いんだけど、また一歩も家から出ないで2週間ずっと水ばっか飲んで考えました。結局2週間考えて最後の1日で全部できたんだけど。

──このタイミングで30周年ベストを出すのは想定内ですから、早めに作っておけば苦労しないのに。

鈴木研一：でも、「またベスト？」って思いました。ただ、海外のフェスにも行きたいし海外でワンマンもやりたいって言っていたときに、向こうの人から「アルバムを出してないとやっぱり厳しいよ」って言われて、ならば海外の人たちに向けてベスト盤を作ろうということになったんですよ。

──それで英詞も入っているんですね。

鈴木研一：そうなんです。おまけみたいに思われていますけど、ほんとはそれがメインなんです。外国の人が歌詞の世界を分かって、それでライブに来てくれればいいなあって思って作ったベスト盤で、こういうのを出したかった。

──30年の活動を海外の人に伝えるための、本当の意味でのベストだ。

鈴木研一：そう。かといって日本で売れないと採算も取れないので、新曲を3曲入れた。「命売ります」は初CD化ですからね。



──イギリスとドイツ公演は、このベスト盤を引っ提げて乗り込む形ですね。

鈴木研一：始まっちゃえばいつも通りなんだけど、それまでがちょっと緊張しますよね。いつも通りで十分異色に見えるだろうし、まあ変なバンドがやってきたなあって面白がって見てくれると思うんだけどな。

──30周年ですけど、また新たなスタートが切られるタイミングかも。

鈴木研一：ほんと、ヨーロッパで火が付けば本当に新たなスタートなんですよね。

──結石作っている場合じゃないですね。

鈴木研一：そうなんですよ（笑）。もっともっとミック・ジャガー並みに走らないとダメなんだけど。でも、盛り上がっても盛り上がらなくても定期的には行ければいいなと思っているんですよ。

──日本でもそうやって30年間活動してきたバンドですもんね。

鈴木研一：そう（笑）。ほんとにコアな人しか来ない塩っぱい時期もあったし、それを考えると「ドイツに行ってみたはいいけど、お客さんが全然いなかった」となっても、全然ショックじゃないですね。昔みたいだなって思える。

──強い。

鈴木研一：うん。個人的にはデンマークとスウェーデンでもライブをやりたい。キング・ダイアモンドのいるデンマークとスピリチュアル・ベガーズのいるスウェーデン。白塗りに抵抗感ないんじゃないかなと思って。

──ブラックメタルなイメージですね（笑）。

鈴木研一：ドゥームメタルとかサタニックのロックね。アメリカも行ければ行きたいです。


──楽しみが増えますね。いよいよ健康が大事ですが。

鈴木研一：あとひとつ石が出れば、ほんとにスッキリするんだけど（笑）。MRIで胆石も見つかったんですが、「胆石痛くなったらどうするんすか？」って聞いたら手術しかないって言われました。どんな石がいるのか、腹切って見てみたくてしょうがないですよね。歯を抜いたときも「今まで苦しめたのはこいつか」ってまじまじ見るけど、それよりはるかに見てみたい。

──真珠みたいにピッカピカだったりして。

鈴木研一：そしたら俺、アクセサリーにしますよ。ペンダントにする。

──自分が作った石のペンダント（笑）。

鈴木研一：そう、まさに手作り。原料から（笑）。でも男性の場合4人に1人は結石を持っているとも聞くし、これを読んだ男の人は意識したほうがいいですよ。50歳を過ぎたらかなりの確率であの痛みを経験することになるんだから。


──あの痛みはえぐいよね。

鈴木研一：えぐい。看護師さんが言ってたけど、女の人のお産と同じくらいの痛みらしい。胆石はその上をいくらしいです。そう思ってこの記事を読んでください。

──初めて皆さんの役に立つ記事になったかも（笑）。

鈴木研一：結局大事なのは、こういう話ですよ。

──音楽は、健康な状態で聴いて欲しいですし。

鈴木研一：あのときは、聴くのもイヤだし、ロックなんかとんでもなくて、辛うじて聴けたのはオルゴールの音ですよ。テレビも見れないし本も読めないし、黙って時間が過ぎるのを待ってただけですもん。

──わかります。ホントそうですよね。

鈴木研一：以前結石になった友人に電話して「俺、結石なっちゃったよ」って言ったら、すっげえ大笑いしてたけど。「今度また話しよう」って、結石の話で一晩中盛り上がれる。

──そろそろお開きのお時間なんですが、最後にベスト盤『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』に関して伝えておくべきことはありませんか？

鈴木研一：あの、よくベスト盤に入っている新曲って、すごくつまらない曲とかありますよね。そういうのが嫌だったんで、そう思われないようにレベルの高い曲を入れているつもりです。

──そこ、大事ですね。読者の皆さんには伝わるはずです。ありがとうございました。

取材・文：BARKS編集長 烏丸哲也

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▲人間椅子／『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』