【インタビュー】DEZERT、アルバム『black hole』完成「変えるためになにをするのか」

■音楽的な意味で忙しくなって
■ある種、楽曲にすごく集中できる

──そうしたプリプロをすると、やっぱり曲の熱量も変わりますか？

SORA：EDMなど打ち込みサウンドが世界的に主流になってきているなかで、僕らはバンドで、しっかりドラムサウンドがある音楽を作っているんですよ。なおかつライブを目的にレコーディングするのであれば、ちゃんと全員で生演奏して、ドラムはどうやって叩いているのかって、メンバーが共通認識できたなかでレコーディングしたことが、勢いとか熱量につながっているのかなと思います。

──まず「バンドで生演奏してプリプロしよう」って、誰が言い出したんですか？

SORA：いや、できるなら昔からしっかりやりたかったんですよ。今回、千秋が「ちゃんと合わせてみないと、テンポ感とか全部含めて分からないから」と。みんなで話しているとき、千秋がそう言ってくれて。

千秋：「ライブでやるためにアルバムを作るから、演奏してみないとな」って、言ったのは、それだけだったと思うんですけどね。それに4人でバンドをやっているわけで、俺のソロじゃないから。曲に対して“俺が作った”とか、多少あったと思うんですよ、この前までは。今回は、「誰が偉いとかじゃなくて、とりあえず曲が一番偉いんだ」と。「原曲を作った俺はとりあえず置いといてくれ」と。「ライブではみんなが演奏するんだから、曲に対してそれぞれがアプローチして、俺は歌う。それで良くない？」って。

──要するに曲が大事、4人でやることが大事であると。だから『black hole』は殻を破った感じに仕上がったんですね。

千秋：殻はどうなんですかね……まだ分かんないですけど。聴いてくれる人の分母が増えないと、根本的に殻を破ったことにならないから。自己満足ではもうおもしろくないから。

▲Sacchan (B)

──すでにアルバムからの楽曲もライブでやっているんですよね？

千秋：半分ぐらいは。

──反応も当然気になるでしょ？

千秋：お客さんが目の前にいるからね（笑）。

SORA：リリース前に新曲をやっているってことは、その曲をまだ誰も知らない状態じゃないですか。“盛り上がらなかったらどうしよう”とか以前だったら思っていたんでしょうけど、いい意味で気にしなくなったかもしれない。なぜなら、今、メンバーが話したような気持ちがこもっている曲たちだから。“知らない人に届けたいと思っている曲だから、やろうよ”って。お客さんも楽しんでいるように僕は見えましたけどね。

Miyako：新曲で目を輝かせてくれるお客さんも多いなか、昔の曲のほうが楽しそうにしているお客さんが実際にいたのも事実で。でも、絶対に良い方向にバンドが向かっていると思っていて。全てのお客さんに届かせるために、自分やバンドにまだまだ足りない部分もあって、それが悔しいなという。だけどそれはすごくいいことだとも思っていて。

──でも今回のアルバムを作って、バンドのポテンシャルは高くなったように思うんですよ。楽曲が、メンバーの気持ちをそうさせて、カツを入れてくれたようなところが？

Sacchan：うん。でも僕は、お客さんのこと、そういう意味で興味ないんで。“いるな”ぐらいの感じで。ただ個人的には、ライブ中に忙しくなったんですよ。“ここの音は絶対に鳴らさないと、コードが成立しない”とか。音楽的な意味で忙しくなっているんです。ある種、楽曲にすごく集中できるというか。

──ミュージシャンとして満足度が高いわけですか？

Sacchan：いや、人として僕は満足度が減っているんですよ。基本、家で寝てたいんで、忙しいのは嫌いなんです（笑）。

──そういうこと聞いてるわけじゃないんで（笑）。ライブで演奏するという意味で、新曲は満足を与えてくれるわけでしょっていう。

Sacchan：そうですね（笑）。ミュージシャン目線で言えば、フレーズひとつ、楽器の音色ひとつ取っても、忙しくなったのはいいことだと思うんです。僕は一生寝ていたいのに、すごく充実してしまう、どうしようって。

──バカなこと言ってるよ（笑）。

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