【インタビュー】BOYS END SWING GIRL、「青春ロックの終演」と語るミニアルバム『STAND ALONE』に込めた思い

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若いながらも歴史あり。千葉県成田市出身、25歳、結成9年、様々なバンド・コンテストで活躍しながらも、いくつも挫折をくぐりぬけて来た見た目以上にタフな4人組。その名はBOYS END SWING GIRL。全年齢対象、清涼系ロックバンドというフレーズを掲げ、メジャー・デビューを飾ったフルアルバム『FOREVER YOUNG』の高評価を受け、およそ半年でリリースされる最新ミニアルバム。それが『STAND ALONE』。自ら「青春ロックの終演」と語るアルバムに込めた思い、歌詞のこだわり、同時代へのメッセージ、そして未来の展望について。高回転の頭脳に、ユーモアと金言をまぶした言葉をたっぷりと散りばめ、文学系ソングライター冨塚大地(V&G)、大いに語る。

飯村昇平(Drums)
冨塚 大地(Vocal & Guitar)
鍔本 隼(Guitar)
白澤 直人(Bass)

■僕は純文学は好きじゃないんです
■だから歌詞も大衆小説にしようと思って


──まずフルアルバムを出して今回はミニアルバム。これは予定通りというか、続きもの?

冨塚大地(以下、冨塚):続きもののイメージです。1枚目を出した時に、青春ロックと言ってもらったんですけど、僕はこの『STAND ALONE』で、青春ロックは終演を迎えたいなと思って作りました。

──もう終演しちゃうの。

冨塚:はい。終演します。その時に歌いたいことを世に出したいので、いつまでも青春でいたくはないんですよ。すごくいい意味の終演です。もうすぐ26歳になるんで、25歳までの四半世紀をここで終わらせて、ここからは大人になっていくのを見せたいなと思っています。でもこのアルバム、僕はめっちゃ好きです。どの曲も。

──曲は全部最近の?

冨塚:いろいろですね。メジャーフルアルバムに入れようと思って作った曲もあれば、今回新しく作った曲もあります。「スノウドロップ」は1年前に出した曲だし、「ラックマン」も、最初に書き始めたのは21歳で5年前です。完成してなかったものを今完成させました。

──1曲目の「ラックマン」ってどういう意味なんだろう。ラックって、幸運という意味だよね。

冨塚:これ、自慢していいですか? 今作一の天才ポイントだと思っているんですけど、ラックは、欠けたLACKと幸せのLUCKが掛かっているんです。欠けた人間たちが出会って一緒に歩くと幸せになるという。


──おお。なるほど。

冨塚:当時、「ラックマン」と聞いて、“欠ける”なのか“幸せ”なのかどっちをイメージする?って、いろんな人に聞いたんですよ。そうすると、人間性がめっちゃ出るんですよ。今の人生に満足してる人は幸せのラックと言うけど、苦しんでる人は欠けたLACKと言うのがめっちゃおもろいと思ってメモしていました。当時、大学生の時に書いていたのは、自分は何かにならなきゃいけないけど、何になったらいいかわからない。就職しろと言われるけど、何をしていいかわからない。その気持ちを箇条書きにしていて、それを5年経って客観視しながら、みんなが共感できる部分と当時リアルに思っていた自分の思いを掛け合わせられたなと思っています。

──なるほど。それは自慢ポイントだ。あと、いいなと思ったのは、韻をしっかり踏んでるところ。聴いていてすごく気持ち良い。

冨塚:文学部だったんで、短歌や俳句、万葉集や中国の漢文が好きだったんです。漢文って韻を踏まなきゃいけないんで、そういうのはあると思います。文学部で勉強したのは、歌詞を書くにあたってけっこうでかいかもしれない。これまで聴いてきた音楽の影響で、とにかく難しいことを歌おうとしてたけど、それだと純文学になっちゃうなと思って。僕は純文学は好きじゃないんですよ。文学部の授業って、たとえば夏目漱石の授業だとして、「ここに水草という言葉がある。その言葉はどうたら」とか、細かいことを言われるけど、「夏目漱石はそんなこと考えてねぇだろ」って思っちゃって、純文学の勉強はつまんなくて。僕は大衆小説が好きだったんです。だから歌詞も純文学じゃなくて大衆小説にしようと思って、人と共感できる部分を大事にしようと思って書いた面があります。重松清さんが大好きなんですよ。


──そうなんだ。

冨塚:重松さんは早稲田の卒業生で教授もやってらっしゃるので、会いに行って、歌詞を全部渡して。それをすごくほめてもらえて、メシとか連れて行ってもらえるようになって。こんな幸せな人生ないなと思っちゃった。

──マジで? すごいなあ。

冨塚:君の歌詞は好きだよってメールを送ってくれて、それを印刷して机に飾ってあるくらい。それで自分の歌詞にすごく自信を持てるようになって、重松さんにほめられたんだから誰にけなされてもいいって思えるようになりました。この人、文章が踊るんですよ。しゃべっている感じで文章を書く人で、こういう文を書けるようになりたいと思いました。だから、音楽界の重松清さんみたいなアーティストになりたいというか。重松さんの本って暗い話が多くて、本当に深い苦しい、人間の一番きつい部分を書いたりすることが多いですよね。たとえば「疾走」や「ナイフ」は、もうエグイなと思って。めっちゃ影響受けています。

──冨塚くんの歌詞には必ず、風景、感情、セリフ、時間の流れがあるんですよ。映画的な場面転換とか。どうやって作ってるのかな?って興味があった。たとえば「スノウドロップ」とか、すごく風景が重要でしょう。

冨塚:「スノウドロップ」は、情景描写にものすごくこだわりました。最初に「冬の恋の曲を書いてくれ」と言われたんですよ。そんなこと今までなくて、初めて言われて、そういうのやりたかったと思って、すごい燃えて。冬について調べてた時に、冬の花で待雪草(マツユキソウ)という、それがスノウドロップなんですけど、待雪草という言葉がめちゃくちゃロマンチックでいいなと思ったんで、これをモチーフにして曲を書こうと。雪を待つ花と、あなたを待つ僕というものをリンクさせて、それを中心にして物語を書いていきました。冬にある景色をとにかく思い浮かべて、二番に出て来る「先週降った雪が」「すこし汚れて」とか、絶対みんなが見ている風景だと思うから、それを自分の人生とどうリンクさせるかをすごく考えて。雪が降ってる時は、すごく幸せだったけど、雪がやんで一週間経って、黒く歪んでしまっている、僕の気持ちも歪んでしまっている。そういうリンクを探すのがめっちゃ楽しかった。

──天職だね。

冨塚:映画を見るのが好きで、人の顔がアップになって次のカットに行く前に、遠くの風景が一瞬入ったりするということなども意識していて。次の場面に行く時は、一回客観性を持たせるために遠くのショットを入れるというのは考えたりしますね。

──「スノウドロップ」は、カメラワークがうまくできてると思う。

冨塚:ありがとうございます。小説を書くような感じではありますね。でも僕、小説は書けないんです。小説家になりたかった時期もあったんですけど、僕はなれないと思いました。長い文章で全てを説明しながら書くのがすごく難しくて。僕はたぶん余白を持たせて歌に乗せて、やっと届けられるものができる。歌詞なら届くかもしれない、そう思って書いてた気がします。僕、いろんなものになりたい人生なんですよ。

──そうなんだ。

冨塚:サッカー選手、音楽雑誌の編集者、小説家、学校の先生にもなりたかった。あと、起業家にもなりたかった。いろんなものに興味を示して、頭がいろんなところに行っちゃうんね。。でも歌詞を書くことは、ずっと一番にあるという感じです。…こういう話をしている時が一番楽しいな。

──物語を書ける人。じゃないと「毒を喰らわば」みたいな歌詞は絶対出て来ないでしょ。

冨塚:僕、毒がないってずーっと言われていたんですよ。音楽的に。こんなに、本当の自分は毒がいっぱいなのに、毒がないと思うあなたはヤバいよと思って生きてきたんですけど(笑)。だから「毒を出したほうがいいよ」という話し合いがけっこう前にあって、じゃあ書いてやろうと思って書いた部分も正直あります。「毒を喰らわば」という言葉が最高だなと思ったんですよ。「スノウドロップ」と同じで、タイトルが最高だから、それを人の人生とリンクさせるにはどうしたらいいかを考えながら書いて、楽しかったです。

──なるほど。

冨塚:僕、けっこう女の子に話を聞くのが好きなんです。だから、「私が望むのはイメージ通りのあなたです」とか、女の子に取材して、そのまま書いたんですよ。でも話してる時に、この子たちはけっこう矛盾を抱えてるんだなと思ったんですよね。だから矛盾の歌詞になってるんです。「耳を塞いで、でも聞いていて」もそうだし、本当が知りたいのに、本当を知るのは嫌、イメージ通りのあなたでいてほしい、というのもそうだし。でも本当を知りたいから、めっちゃ聞いてくるし、みたいな。それはそのまま書いた感じです。この曲は言葉遊びの面も大きいので、書いていて面白かったです。メッセージよりも、筆が進む言葉をどんどん出すのが楽しかった。

──テーマをもらって書くのも好きなんだ。

冨塚:好きです。「こういうの書いてよ」と言われて、その期待を超えられるかどうか、勝負するのが楽しい。

──プロ向きだ。タイアップに向いてる。

冨塚:やりたいんですよ、そういうの。逆に、テーマを出すのが絶対最初になります。どんな曲を書こう?というテーマを探して、そこから始めるのが最初なので。詞でも曲でも。

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