【インタビュー】竹内アンナ、21歳とは思えない感性と才能で注目を集めるシンガーソングライター

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これまで発表した楽曲はもちろん、最新曲である初の配信シングル「B.M.B」もサブスクリプションで広い世代からの支持を獲得している竹内アンナ。アコースティックギターを自在に操り、ブラックミュージックのグルーヴや打ち込みによる時代感を軽やかにミックスさせながら、まだ21歳とは思えない感性と才能で注目を集めているシンガーソングライターだ。アメリカ・ロサンゼルスで生まれ、現在は大学に通いながら京都で暮らしている彼女。チャーミングな素顔をのぞかせながら、これまでの歩みや音楽に向き合う姿勢を語ってくれた。

■いろんな方に聴いてもらいたいので
■芯の部分はしっかりこだわって作っています


――新曲「B.M.B」の配信がすでにスタートしていますが、皆さんの反応はいかがですか?

竹内アンナ(以下、竹内):たくさんの感想をいただいています。今回は結構「今までと少し違うけどいいね」っていう声が多いですね。

――あとは、「タイトルの「B.M.B」って何の略ですか?」も多そうです。

竹内:そう、すごく聞かれます(笑)。答えは、曲を10秒聴いてもらえばわかります(笑)。

――(笑)。では改めて、この「B.M.B」はどういう曲なのか聞かせてください。

竹内:私自身、普段学校に行く前、朝メイクをする時なんかはいつも音楽を聴きながら準備をしているんです。そういう時に音楽を聴くと、気持ちがすごく高まるから。だから自然と「よし、今日も一日頑張ろう」って思える曲を選ぶのですが、自分も、何か始めようとする時なんかに背中を押せるような、そして気持ちをさらに高められるような曲を作りたいなと思って書いた曲なんです。

――まさに、そんなパワーを感じる曲になっていますね。

竹内:ありがとうございます。パッと聴いた時の印象はやっぱり明るいほうがいいなと思ったので、自分が今まで作ってきた曲の中では、かなり振り切ったポップになっていると思います。でも、ただポップやキュートだけではなく、自分の芯の部分であるアコースティックギターのコード感やアレンジの面などはすごくこだわりました。今回は低音をすごく意識したサウンドになっているので、かなりブンブン言っているのがポイントです(笑)。

――今回のアンナさんのビジュアル面も含め、確かに最初の印象はすごくポップで間口の広い楽曲だなと思いましたが、音作りの面ではかなり個性が爆発していますよね。

竹内:今まではCDという形で作品を発表してきましたが、今回は初めての配信シングルになるんです。だからこそ、より間口の広いもの、聴きやすいものになればというのは意識しました。まずは、いろんな方に聴いてもらいたいので。その上で、芯の部分はしっかりこだわって作りました。


――この1曲からでも、アンナさんがどれだけ音楽好きなのかが伝わってきます。

竹内:音楽、大好きなんです(笑)。小さい頃から親がいろんな習い事をさせてくれたんですが、こんなに好きで、こんなに続いているのは音楽だけなんですよね(笑)。

――ちなみにどんな習い事をやっていたんですか?

竹内:幼稚園の頃はサッカーとかやっていたし、水泳、乗馬、色々やらせてくれました。どの習い事も1年ぐらいでやめちゃったんですが(笑)、中学1年の時に始めたギターだけは今も続いています。

――小さい頃はどんな音楽を聴いていましたか?

竹内:元々は親の影響というか、邦楽も洋楽も、新旧も問わずかなりバラバラなジャンルの曲を抵抗なく聴いてきました。Earth, Wind & Fireも、BUMP OF CHICKENも、John Mayerも大好き。いろんな音楽に触れられる環境があったからこそ、ここまで音楽が好きになったのかなって思いますね。

――名前が挙がった3組は特に、アンナさん自身が音楽をやる上での重要なきっかけになった方達のようですね。

竹内:はい。誰が欠けても、今の自分はいないなって思います。Earth, Wind & Fireはブラックミュージックの要素、BUMP OF CHICKENは日本語の素晴らしさに気付かせてくれたバンドであり、ギターを始めるきっかけでもあります。そのギターをもっと頑張るぞって思えたのは、John Mayerのおかげです。YouTubeで初めてJohn Mayerを見た時、衝撃で。23歳くらいのJohnがインストアライブで1人で弾いている動画だったんですが、なんの前情報もなく見て、こんな風に弾けるようになりたい!ってすごく思ったんです。ギター1本とは思えない音の厚みや、アプローチのバリエーションの多さ、あとは何をやってるか分からないくらいのギターのテクニック。すべてが自分にとって新しかったし、声も曲も顔もいい(笑)。もう何この人!って思うくらい素敵で、自分の中のシンガーソングライターっていうものの概念を壊してくれた人でもあるんですよね。

――なるほど。

竹内:それまでは、ギターって歌うための一つのツールだって考えていたんですが、Johnのギターを見て、なるほどこの人はそういうことじゃないんだなって思ったんです。歌もギターもそれぞれ確立させていて、しかも誰も手が届かないぐらい上手い。私も音楽が好きで、これを仕事にしたいと思ってやっているんだったら、彼くらい極めたいと思ったんです。だから、もっと頑張ろうって。

――ちなみに今年の来日公演には?

竹内:もちろん2日間とも行きました。本人が出てくる前から泣いていましたけど(笑)。

――(笑)。アンナさん自身、ギターはどんな風に練習したんですか?

竹内:中学1年でギターを始めたんですが、プロのギタリストであり、音楽教室も展開されている中村大輔さんという方に今も教わっています。「プロになりたいんだったらこれを覚えたらいいよ」っていうような音楽のことはもちろんですが、礼儀などいろんなことを教えてくれた私の師匠です。

――礼儀まで教わるんですね。

竹内:めちゃくちゃ怒られてきました(笑)。譜面の書き方とか、ミュージシャンの方にお渡しする資料の事とかも全部教わってきたんですが、たまにリハーサルなどで私の譜面が間違っていたりすると、すごく低いトーンで怒られる(笑)。その時は怒られて悔しいとか、そんなの知らないんだからしょうがないじゃん!って思ったりもしたけど、そうやって色んなことを教えてもらったからこそ今の自分があるってすごく思うんですよ。本当に感謝しています。

――ギターは理論から学ばれているんですか?

竹内:そうですね、まだまだ勉強不足ではありますが。いろんな人の曲をカバーしてアナライズし、こういうコードの展開は気持ちいいなとか、こういう押さえ方もあるんだとか、日々研究しています。

――初ステージはいつになるんですか?

竹内:初めてライブハウスに出たのは中学3年生です。シンガーソングライターになりたいと思ったので、高校に入ってからは本格的にライブハウスに出たり、ストリートライブをしながら曲作りを始めました。

――その後、19歳で「SXSW」(アメリカ・テキサス州オースティンで行われている大型フェス)に出演されたんですよね。

竹内:はい。ずっと行きたいと思っていたフェスだったし、もし5歳まで住んでいたアメリカに帰るんだったら音楽の仕事でって決めていたので、自分が思っていたよりも早い段階で実現できたのはすごく嬉しかったです。

――その時は、オースティンを含む全米7都市でライブを行われたんですよね。

竹内:ラッパーのRude-αさん、2人組のドミコ、HIP HOP クルーのPRANKROOM(現在はChunky Cookie Clubと改名)と私、「SXSW」に参加した日本人アーティスト4組でまわりました。そんなに長い期間同じメンバーでツアーをするってあまりないことだと思うし、お互いがお互いを高めあいながらほぼ毎日のようにライブができたことはすごくいい経験になりました。お客さんの反応は、日本とは全然違っていました。反応がストレートなので、いいと思ったら全力で返してくれるけど、ピンと来なかったらそのままの顔をされる(笑)。だけどデビュー前に、アウェイな場所でそういうトライができたのは自分にとっての大きな財産になったと思っています。

――ジャンルもバラバラなメンバーだったんですね。その中で、竹内アンナとしての見せ方というか、自分の軸をどういう風に表現しようと思っていたんですか?

竹内:やっぱりシンガーソングライターとして、また、1人だからこそ自由にできる部分もたくさんあったので、そういうものをしっかり見せられたらと思っていました。アコギの弾き語り、曲によってはルーパーも使ったりしながら、最大限出来ることを。

――Guns N’Roses(以下ガンズ)のカバーが大ウケだったのはその時ですよね。

竹内:そうなんです(笑)。本当はそれぞれの土地にゆかりのあるアーティストのカバーをしたら面白いんじゃないかなと思って用意していたんですが、試しにオースティンのオープンリハでガンズの「Sweet Child O'Mine」をやってみたんですね。そしたらリハなのにみんなサビで歌い出しちゃって(笑)。結局全会場で歌うことにしたんですが、どこでやっても大ウケでした。

――その後「Sweet Child O'Mine」は、ご自身の2nd EP『at TWO』にも収録されたんですよね。

竹内:はい。ライブは弾き語りバージョンでしたが、ちょっと雰囲気を変えたものをレコーディングしました。あの時の楽しさもそうだし、どこでやっても、どの年代の人が聴いても通じるこの曲の凄さを改めて実感していたので、今回のカバー曲はどうしようかっていう時に「ガンズやりたいです」って言って。

――デビュー作でカバーしたTLCの「No Scrubs」もガンズも、全然リアルタイムじゃないですよね?

竹内:そうなんです。最初にもお話ししましたが、結構間口の広い感じで音楽を聴いてきているので、いいなと思うものに時代は関係ないというか。まだまだ自分の知らない音楽はたくさんあると思うので、もっともっと聴いていきたいなって思います。ちなみに1st EPからずっとお世話になっているプロデューサーの名村(武)さんとは40歳くらい歳が離れているんですが、名村さんから教わる古い曲は私にとってすごく新鮮だし、逆に私はアイドルやK-POPを薦めたりしているんです。それこそ新旧とか関係なく情報交換も出来る関係性だからこそ、私自身がやりたいと思うサウンドもその通りに形にしてくださるんです。

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