【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.119「行く年は台風にやられた音楽フェス、今年はどうなる?」

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2019年終盤は結成20周年記念ライブであったMONOのロンドン公演から始まって、地獄の軍団最後の来日ツアーと称されていたのにもかかわらず1本も参加することが叶わなかったKISS、そして長年の意志とは裏腹に何故だかいつも観られないのでもはや一生観られないんじゃないかと疑い始めたU2など、多くの観たかった公演が仕事と重なり見逃しました。別仕事=別現場の場合もあり複雑な気持ちにもなりますが、メモリアル・イヤーのライブや外タレの来日タイミングの悪さが重なると本気で凹むのは学生時分とまったく変わらないので人知れず胸中では泣いています。しかし! 年末最後に観たザ・イエロー・モンキーの名古屋公演では再集結後の本当の意味での再スタートを切ったかのような吹っ切れたライブを観ることができて良き見納めとなりました。とても素晴らしい内容だったので次回のコラムで書くつもりです。


そんな昨年末、お祭りイヤーとなる2020の幕開けを目前に去りゆく2019年を静かに振り返ってみました。まず、真っ先に思い起こされたのは「台風」というキーワード。近年、日本各地で甚大な被害をもたらす原因のひとつが台風であることは十分理解していたつもりでした。しかしそれはただの情報の蓄積であって、実のところは何にも分かってなどいなかったと痛感させられたのが台風19号の影響でした。たまたま帰省していた田舎で氾濫する川、溢れかえる泥水、逃げる車や人々の姿を目にし、その猛威や影響を身近に感じて大いに戸惑い、不安で押しつぶされそうになったのは初めてのことでした。幸いにもこれまで大きな災害に遭遇することもなく、のほほんと過ごしてきたため、数時間前までは同じだった世界が道一本隔てて天と地ほど違う世界へと二分化されてしまった目に映る現実に言葉を失い、何もできないちっぽけな自分を自覚させられるのは辛いことでした。何よりも想うことは、大切な何かを一瞬にして失った方々の心が少しでも軽くなり、日常が一日も早く戻ることを願ってやみません。

そして台風は音楽の祭典においても酷い爪痕を残しました。<フジロックフェスティバル>や<ライジングサン>、<サマーソニック>などの日本を代表する音楽野外フェスのほとんどが台風の影響を被り一部のプログラム変更や中止を余儀なくされ、ついには秋フェスの元祖であるキャンプ・イン・フェス<朝霧JAM>が開催中止する事態となってしまいましたよね。2001年からの連続開催が途絶える結果となり、日本の音楽フェス史上衝撃的な事件となりました。これまでは台風発生率の高い夏から秋にかけて多く開催されてきた野外音楽フェスですが、こうした気候変動や熱中症等の対策に合わせた開催時期やスタイルについて今一度見直す時期がやってきたのかもしれません。また、異常気象がもはや異常ではない頻度で起きている事実を個人個人がしっかりと受け止めて、地球温暖化や環境保全の問題を“他人ごと”ではなく“自分ごと”として捉えるべきターニングポイントに立っていることに皆で気づく必要があります。それらの必然性を開催当初から強力に訴えている<フジロック>をはじめ、各フェスが今後どのような施策を講じるのか注目していきたいところです。


さて、2020年には世界的スポーツの祭典<オリンピック><パラリンピック>がここ日本で開催されますが、それらの影響から音楽フェスではいつになくイレギュラーな展開が見られる特別な一年になります。夏フェスでは<ライジングサン>などの例年通りの開催を発表しているフェスをはじめ、通常より1ヶ月遅れの8月開催となる<フジロック>、そして<サマーソニック>を主催するクリエイティブマンが2020年限定のスペシャルフェス<スーパーソニック>を9月に開催することを発表。また、昨年中止となった<朝霧JAM>の出演者も気になるところです。フェス以外でも多くのアーティスト来日が発表されており、個人的には1月の<QUEEN + ADAM LAMBERT>公演からの幕開けとなります。2020年は「もっと暮らしに音楽を」をモットーに、楽しく豊かに過ごしてゆきましょう!


文◎早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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