【ライブレポート】ASKA@東京国際フォーラム、バンド×ストリングスで紡いだ至福の3時間

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ASKAが12月10日、京都公演から年をまたぎ、現在行なっている全国ツアー<ASKA premium ensemble concert-higher ground->初の東京公演を1月9日、東京国際フォーラムホールAで開催した。

◆ASKA 写真

アイスランドまで行って撮影した最新シングル「歌になりたい」のMVで、ここ最近の日本の音楽シーンにはなかったど大迫力の映像美で、感動的な一作を作り上げたASKAが、現在開催中のツアーでも破格のチャレンジを行なっている。まずこのツアーは、2018年に行なったオーケストラ公演、さらには2019年に行なったバンドツアー。その2つのいいとこ取りをするかのように、ビルボードクラシックストリングスの弦楽アンサンブル15名に、おなじみのASKAバンドを合体させた超豪華編成だ。そんなメンバーとともに、ASKAが自身の楽曲を通してポップスとロックとクラシックの融合を試みるという大実験を、全国ツアーを通して行なっているのである。MV撮影もツアーもどんどんコンパクトになっていく現在のJ-POPシーンにおいて、間違いなく桁外れのスケール感で音楽活動を行なっているASKA。そんな彼の新しい挑戦がつまった本ツアーを国際フォーラムで観た。

年明け2本目となった1月6日の大阪公演が、急性咽頭炎及び発熱のため中止(振替公演を3月13日に同会場で開催決定)となった直後の公演だったが、驚異の回復力でこの日ASKAは国際フォーラムの舞台に元気にオンステージ。2020年3月20日にリリースするニューアルバム『Breath of Bless』収録曲からヒット曲、新旧入り混じったナンバーをパワフルに歌い続けたASKA。いい声、いい演奏。そして、分かったことは、どんなアレンジがこうようが負けない普遍的で絶対的な“いい曲”があるからこそ、ASKAはこんな実験ができるんだということ。アンコールのラストまで、全23曲。この空間に流れる音楽になりたい、とこよなく思い続けた至福の3時間だった。

場内に流れていたのは、アルバム『Breath of Bless』の曲だった。やがてその音量が絞られ、客電が落ちると、ストリングス隊がチューニングを始める。クラシックコンサートとは違って、ピックアップマイクをつけたバイオリン奏者たちは、フロントで華麗に弦を奏でながらパフォーマンスする。見た目も音も、優雅で華麗だ。その調べにバンドサウンドが融合。いつのまにかやってきたASKAがエフェクトヴォイスを重ねると、まだ誰もみたことのないシンフォニックでエレクトロニックでロックな魔法がかかった音世界が目の前に広がり、コンサートは開幕。頭からスタンディングで待ち構えていた観客たちが、早速クラップを響かせ、その音世界に加わっていく。「音楽って楽しい」、ライブは明るく軽やかに滑り出す。大所帯編成ならではのダイナミックなサウンドが味わえながらも、変に堅苦しくないのがじつにいい。ストリングス、バンド、コーラス、各々が楽しそうに音を奏でるたびに、場内には、音符が飛び跳ねるように踊り出す。「待たせたね」ーーお決まりのASKAの挨拶に歓声が起こったあとは、観客が音に合わせて振る手が、客席で花のように揺れだす。

「ようこそいらっしゃいました」。本日の第一声を届けたASKA。その声、表情ともに溌剌としている。大阪公演を中止したことについて「ハラハラさせてすいません」と謝ると「喉、大丈夫?」と客席から体調を心配する声がかかる。だが、高熱が出たのはあの日だけで「周りは東京公演は危ないって思ってたみたいですが、僕は回復できると思ってたんです」と話し、ファンをほっとさせる。そして、ストリングス隊とASKAバンドを引き連れた本公演について「こんな贅沢にやらせてもらってるんで、最高の時間にしたいと思いますので最後までお付き合いください」と語りかけた。

ライブ中盤には、観客たちが椅子に座ってASKAの歌声とプレーヤーたちの演奏に静かに耳を傾けるメロウゾーンがあった。そこにはもちろんあの曲、「はじまりはいつも雨」も組み込まれていた。ピアノが奏でる雨音を、間奏でストリングスアンサンブルがゆっくりと包み込んでいくのを聴いていると、頭のなかに映画の1シーンを思わせるように雨に濡れた石畳が広がっていった。こうして、ASKAのバラードにストリングス隊が次々とシネマティックな彩りを加えていくなかで、ASKAの声量と感情がじょじょに高ぶっていく。

そうして最新シングル曲「歌になりたい」で、歌のギアはトップへ。イントロから鳥肌が立つ。地球、宇宙まで包み込んでしまいそうな雄大なメロディを訥々と語りかけるように歌うAメロ。それがサビになるとコーラスが主メロとなり、それを絶妙なテンポ感でフェイクで追いかけていくASKAの歌声が本当に気持ちよくて、ここでは歌と演奏を聴きながら、体が宇宙の果てまで広がっていくような錯覚におそわれた。このとき、観客たちはスマホのライトをつけて左右に振るのだが、それがまるで宇宙に散らばる人々の命の星のようで、歌い終えたあとASKAも「綺麗だった」とつぶやくほど、場内には音楽が織りなす生命力漲るファンタジックな宇宙空間が生み出されていったのが、とてつもなく印象的だった。


そうして、これまでの“もぐもぐタイム”に続く、新たなコーナーでASKAと観客が楽しく語り合う休憩時間を挟んで、ライブは後半戦へ。ここからはロック色の強いバンドサウンドで、場内をどんどんヒートアップさせていく。そこでは、まさかのあの曲で、ASKAのマイクスタンドプレイまで飛び出して観客は驚愕。場内のボルテージは最高潮へ。そうして、ストリングスとピアノが心地よく融合するなか、ASKAのスモーキーな声がめちゃくちゃカッコよく響き渡る「higher ground」などを連打し、最後は観客参加で、場内が1つになって大いに盛り上がったところで本編は終了。

もちろん、その後のアンコールもファンの予想の遥か上をいくとびきりBIGなサプライズ選曲で、最後まで観客を驚かせ、感情を揺さぶっていったASKA。こんな実験的なトライをしながらも、観終わったあとは誰もが「また来よう」と思いたくなる。そんなライブになっていたと思う。素晴らしい。

全国ツアーはこのあと、2月11日の東京文化会館大ホールの追加公演、さらには3月20日に熊本城ホールで開催する特別公演まで続いていくので、いまのこのASKAの姿をたくさんの人に観て欲しい。

また、今回のツアーはASKAの強い希望で、熊本地震の復興支援活動にもつながっている。

本ツアーは全会場で熊本復興支援の募金が実施されており、うち5会場ではライブ前に“有料公開リハーサル”を開催。そのチケットの売り上げ全額を熊本地震の義援金として寄付するという新しい支援の試みも行なっている。そうして、それらをもって向かう特別公演・熊本城ホールの売り上げは、その全額が熊本市災害義援金として寄付される。ライブと合わせて、これらの活動にも目を向け、協力してもらえたら嬉しい。

取材・文◎東條祥恵

<billboard classics ASKA premium ensemble concert -higher ground->

2020年
〔新潟〕1月18日(土)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
〔高崎〕2月2日(日)高崎芸術劇場 大劇場
〔横浜〕2月9日(日)神奈川県民ホール 大ホール
〔東京:追加公演〕2月11日(火・祝)東京文化会館 大ホール
〔熊本:特別公演〕3月20日(金・祝)熊本城ホール メインホール

※終了公演は割愛
※1/6 フェスティバルホール公演の振替公演は 3/13(金)同会場となります。

出演:ASKA 
ASKA BAND:
澤近泰輔(Pf、編曲)、菅沼孝三(Dr)、古川昌義(Gt)、鈴川真樹(Gt)、荻原基文(Bs)、SHUUBI(Cho)、西司(Cho)
弦楽アンサンブル:ビルボードクラシックスストリングス

チケット:11,800円(税込・全席指定) ※特製プログラム付き ※未就学児入場不可
▼お問い合わせ
【福岡、熊本】BEA 092-712-4221(平日11:00〜18:00 / 第2・4土11:00〜15:00)
【東京(2020/1/9、1/15)、高崎、横浜】ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00〜19:00)
【東京(2020/2/11)】SOGO TOKYO 03-3405-9999(月〜土 12:00〜13:00、16:00〜19:00 ※日祝除く)
【新潟】FOB新潟 025-229-5000(平日11:00〜18:00)

主催・企画制作:ビルボードジャパン
朝日新聞社、米国ビルボード、仙台放送・Date fm(仙台)、AIR-G'(札幌)、NST新潟総合テレビ・FM-NIIGATA 77.5(新潟)、FM GUNMA(高崎)、KKT熊本県民テレビ・TKUテレビくまもと・RKK熊本放送・FMKエフエム熊本(熊本)
特別協力:熊本城ホール運営共同事業体(熊本)

ニューアルバム『Breath of Bless』

2020年3月20日(金)発売
税抜価格:¥4,000
品番:DDLB-0015

収録曲目:
1. 憲兵も王様も居ない城
2. 修羅を行く
3. どうしたの?
4. 未来の人よ
5. 忘れ物はあったかい
6. 百花繚乱
7. イイ天気
8. 虹の花
9. じゃんがじゃんがりん
10. 歌になりたい
11. 消えても忘れられても
12. 青い海になる
13. 星は何でも知っている
14. We Love Music
15. Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ

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