【ライブレポート】D × 浅葱 × Ruiza、スリーマンツアーで描いた熱狂

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D、浅葱(ASAGI Solo Works)、Ruiza(Ruiza Solo Works)が共演するスリーマンツアー、<GOD CHILD RECORDS Presents「Artistic Radiant Dream」>が、12月26日(木) Veats Shibuyaにてファイナルを迎えた。

◆ライブ画像(20枚)

幕開けを飾ったのは、浅葱(ASAGI Solo Works)。笙や琴の音が厳かに鳴り響く中、ゆっくりと開いた幕の中から姿を現したのは妖狐と化した浅葱。彼は、艶やかな音色に乗せ「妖狐の嫁入り」を歌いだす。が、途中から妖の本性を現すように高笑いを上げ、浅葱は荒れ狂う演奏に乗せ観客たちを煽りだした。フロア中の人たちも、変幻する楽曲へ身を委ね、ときに頭を振り乱し、ときに熱い視線を舞台へ向けながら、浅葱の艶やかに舞い狂う色めく九尾の狐の姿へ心を奪われていた。


「さぁ、皆のもの、宴じゃ宴じゃ」と、手にした扇子を舞い躍らせ浅葱は「白面金毛九尾の狐火玉」を奏で、この世界へ迷い込んだ人たちを華やかで熱を放つ宴へ巻き込んでゆく。曲が進むごとに激しさを増す演奏。その熱を抱いたまま観客たちを月の力で惹き付けるように、浅葱は「月界の御子」を歌い上げる。扇子を大きく揺らす浅葱の動きに合わせ、フロアでも無数の扇子が舞い躍る。重厚な音を背に、想いを捧げるように歌う浅葱。彼の煽りに刺激を受け、ときに絶叫する観客たち。今宵の宴は、艶やかさの中へ狂気を抱いている。

「我の血肉を食らわば、命が延びよう。愛しきあなた様の為なら、痛みさえも、決して厭わぬ。永久に番えるように…そう願ってきた。されど今となってはそれは叶わぬ願い。ならばせめて、子らの血肉となって、この海で生き続けよ」と、人魚である妖の心情、そして本能を剥き出しにした「畏き海へ帰りゃんせ」に乗せ、想いを告げるように朗々と歌いだす浅葱。悲しき定めを嘆くように歌う浅葱の歌声が、胸を痛く震わせる。彼は、物語を彩る様々な妖たちの悲しき心の様を歌い紡いでゆく。


「桜を見ると今も心が苦しくなる」と、慟哭するように浅葱は沸き上がる心の嘆きを「隠桜(おぬざくら)」へ映し出す。浅葱は荒れる演奏を背に、鬼の面を手に絶唱し続ける。その歌声からは、痛みをぶつけるしか術のない己の悲しい性が零れ落ちていた。「今の時期は夜が最も長く、深い闇は景色を包みこむ。深々と降り積もる雪は足跡を消すでしょう。黒と白の世界に落ちるは赤き椿の花。黒、白、赤、ほうら、美しかろう?」と語りかけた浅葱は、切々と「冬椿~白妙の化人~」で痛みと苦しみを歌いかける。雪に伏した女の悲しき生き様を嘆くように、浅葱は物語を紡ぎ続けた。

目の前に現れる妖たちを、次々と成敗するように歌う浅葱。次に成敗するのが髪切りの化物だ。勇壮かつ荘厳な音が轟き、それを背に浅葱は雄々しき声を上げ、「物の怪草子」へ。化物へ挑みかかるよう、沸きだす感情のままに絶唱する浅葱。さらに「鬼眼羅(きめら)」を介し、浅葱は観客たちの理性を解き放ち本性を導きだす。何度も繰り返される熱した声のやりとりに、何時しかフロアが妖狐の嬌声に支配されていた。


「一寸の虫にも五分の魂。僅かな時しか生きられぬ、我らの魂は無残にも散った。心を持たず、命を軽んじて弄ぶ、そのような人間の命に、我ら以上の価値があろうというのか。命を奪えば、その命はいずれ奪われる。さあ、最期に夢をみせてあげましょう。そして私の甘き毒で生き絶えよ」。最後に浅葱は、悲しき運命に身を費やした妖たちへ鎮魂の歌を捧げるように「アサギマダラ」を、すべての悲しみを呑み込むように歌いあげた。浅葱がライブを通し妖の悲しき性を歌い上げたこと。それは、我等人間がその心を黒く染めるか、白いままを保つか、それは一人一人の意識次第であることを委ねていた。



場面は変わり、轟く音がフロア中へ響き渡る。「TOKYO、楽しもうぜ!」と中盤を司ったRuizaのライブは、爆走するリズム隊の演奏の上で、攻めるリフを次々と刻む「Distortion」から幕を開けた。ギターを弾きながら、ときに声を張り上げ、観客たちを煽るRuiza。インストナンバーだが聴かせるだけでは終わらない。何時も以上に牙を剥いた荒ぶる演奏をRuizaはぶつけ、フロア中から「オイオイ!」と熱い声が飛び交う。

「声を上げて楽しもうぜ」と絶叫を交わしあう「One」でもRuizaは煽り声を上げ、胸を熱く昂らせる野太いギターの旋律を繰り出し、観客たちをその場で跳ねさせ挑発し続けていた。そこには、アグレッシブでパンキッシュな楽曲が唸りを上げていた。「Ruiza Solo Worksはギターのインストを中心にやっているんですが、今日も超ヘヴィメタルなバンドの音を届けていきたいと思います。俺たちヘヴィメタルバンドRuiza Solo Worksは、熱いメタルハートをお前たちに注入してやろうと思います。メタルの血が騒ぐぜ、拳を上げろ、上げっぱなしにしろ!」という熱い煽りも。


その後に、バラードナンバー「Amethyst」を奏でる天の邪鬼なところも心憎い。哀愁抱いたメロウなフレーズを次々と紡ぎながら、触れた人たちの心を揺さぶるRuiza。そして表情は、次第に色を変えてゆく。野太いギターの音色を宇宙へと響かせるように、Ruizaは「Nemesis」を演奏。五線譜の上を自由に駆け巡るその音色や演奏陣の姿を、皆が凝視していた。

激しく疾走するロックンロールナンバー「Round & Round」では、フロント最前線に躍り出て煽るRuizaの姿も凛々しい。最初は、煽られるたびに手を振っていた観客たちだったが、終盤頃には昂る気持ちに導かれるよう自主的に手を、タオルを振り廻す光景も生まれていた。轟音激リフナンバー「Resonance」では、みずからヴォーカルも取りながら、終始挑発煽りモードでRuizaは観客たちを振り乱し続ける。挑発の手を緩めないRuizaの姿に刺激を受け、フロア中でも頭を振り廻す様、手を捧げてゆく姿があちこちに生まれていた。


「俺たち今、メタルハートでひと塊になっているんでね、このツアーで得たものをそれぞれの力に変えてゆくので」というMCから、最後にRuizaは「Amenity gain」を叩きつけた。ときに激烈なリフビートを刻みながら、己の生きざまを示すよう旋律の一つ一つをRuizaは解き放つ。ステージの上には、轟音へ身を浸し、自由に音の魂を弾くRuizaがいた。


この場を一気に戦いの地へ塗り替えるように、トリ飾ったDのライブはインストナンバーの「Invisible enemy」から始まった。挑発する演奏を介し、フロアに熱を高めてゆくメンバーたち。観客たちも挑発を受けるたびに声を張り上げ、戦闘態勢が整っていることを示してゆく。Tsunehitoの煽り声に負けじと声を張り上げる観客たち。その声を受け、ASAGIが舞台へ姿を現した。雄叫びのような絶叫がフロア中へ響き渡る。ASAGIの声を後押しするように轟音をぶつける演奏陣。ASAGI扮するヴァンパイアの王の息子・ジャスティスの「鬨の声」を合図に、会場は一気に戦いの場へ。ASAGIが雄々しく煽れば、観客たちもあらん限りの声を上げそれに応える。

次の「Absolute zero」では、勇壮で激しい演奏を攻めるようにぶつけるD。「Grand Master」では観客の声も、さらに大きく膨らむ。次に披露したのが、ファンクラブで募ったリクエストで1位を取った「組曲「狂王」第三番~美醜なる不死の獣~」。壮大な組曲の中の一節だ。荘厳なドラマを描き出すこの曲では、Dの作る世界へ浸りながらも高揚した気持ちへずっと浸っていられることが心地好い。


勢いを加速させるように、Dは「Deadly sin」を繰り出した。とても挑発的な楽曲だ。台に左足を乗せ前のめりに歌うASAGI。その雄々しい声に魂が煽られる。ASAGIは、手にした銃を連発しながら「弾丸」を歌いだした。感情を剥き出しに戦いを挑むようだ。フロアに充満する熱を誰もが快楽と興奮に変え、味わっていた。


「オーロラの光が我らを導くと信じて」と、Dは哀愁を抱いた旋律を奏で始めた。見果てぬ何かを求めるように想いを馳せ、「Follow」を歌うASAGI。その背中では、楽器隊が雄々しい演奏を響かせていた。と、身体を震撼させる轟音が鳴り響く。重厚な音を身に抱きながら、ASAGIはみずからの意志を知らしめるように「Antiserum」を繰り出す。ASAGIの口から発する言葉のひと言ひと言に、己の使命を嘆きながらも揺るがない強い意志が漲っていた。希望の光を灯すような歌声だ。


「生きている誰しもの命には限りがあります。だから自分に与えられた時間は、できるだけ楽しく生きてください。くだらない雑音から耳を守り、美しく魂に響く音楽だけを聴けばいい。俺たちはみんな一人きりだけど、決して孤独じゃない。俺がお前達の道を導くから、迷わずに信じて着いて来い」。最後にDは、救いのないこの世界を嘆くのではなく、そこへ己の存在意義という杭を強く打ち込むように「UNCROWNED KING」を演奏。

跳ねながら、ときに身体を折り畳みながら激しく演奏するメンバーに合わせ、同じ動きをしながら想いを一つにする観客たち。熱狂という名の至福を誰もが全身で享受していたように、Dの掲げた旗のもとへついていくことで、何時だって自分を素直に解き放つ楽しさを手に出来る。そんな気づきを心に覚えながら、熱狂に身を浸す。



アンコールでは、ゲストでヴィジュアル系好きのゆるキャラ「ぶいにゃす」が登場。ぶいにゃすと観客は両手に握ったDのフラッグを掲げ、Dのメンバーたちが乗り込んだ「Night-ship“D”」へ一緒に乗船。大きな旗を背負うASAGIがぶいにゃすと絡みながら歌う姿を見れたのも、アンコールならではの光景だ。「Cannibal morph」、「Guardian」でも熱狂は止まらない。


「夢を何一つあきらめたくないから、これからも一緒に夢を見よう。これからも支えあってくれますか?」。最後の最後にDは、この空間こそが他の何処にも存在しない最上の楽園だと示すように「EDEN」を演奏。終盤に生まれた、「ただ僕を包んで 暖かな光と その声とこの愛で もう何も迷わない このすべて捧げよう いつまでもいつまでもとめどなく」の合唱。その神聖な歌声を共に分かち、心へ刻みながら、この楽園にいることに誰もが幸せを感じていた。
     
写真◎TAKUYA ORITA
文◎長澤智典

セットリスト

■浅葱(ASAGI Solo Works)
「妖狐の嫁入り」
「白面金毛九尾の狐火玉」
「月界の御子」
「畏き海へ帰りゃんせ」
「隠桜」
「冬椿~白妙の化人~」
「物の怪草子」
「鬼眼羅(きめら)」
「アサギマダラ」

・浅葱 (ASAGI Solo Works) サポートメンバー
G : HIRO (La'cryma Christi)
G : HIDE-ZOU (D)
B : 亜季 (Sadie / AXESSORY)
Dr : HIROKI (D)

■Ruiza (Ruiza Solo Works)
「Distortion」
「One」
「Amethyst」
「Nemesis」
「Round&Round」
「Resonance」
「amenity gain」

・Ruiza (Ruiza Solo Works) サポートメンバー>
G : HIDE-ZOU (D)
B : 亜季 (Sadie / AXESSORY)
Dr : HIROKI (D)

■D
「Invisible enemy」
「鬨の声」
「Absolute zero」
「Grand Master」
「組曲「狂王」第三番~美醜なる不死の獣~」
「Deadly sin」
「弾丸」
「Follow」
「Antiserum」
「UNCROWNED KING」
-ENCORE-
「Night-ship”D"」
「Cannibal morph」
「Guardian」
「EDEN」

ライブ&イベント情報

<Dワンマン “ALICE” Concept Special Live>
2020年1月11日(土)高田馬場AREA

<高田馬場AREA二部制ライブ>
2020年2月16日(日) 高田馬場AREA
・一部 : Ruiza Solo Works ワンマン「M.E.S.S.」 
・二部 : D ワンマン~Ruiza Birthday Live~

<目黒鹿鳴館二部制ライブ>
2020年3月8日(日) 目黒鹿鳴館
・一部 : Tsunehito Produce Birthday Live~またまた!春に叫ぶ!~
・二部 : D ワンマン~Tsunehito Birthday Live~ 

<D 17th Anniversary Special Premium Live 2020>
2020年4月17日 (金) duo MUSIC EXCHANGE

<D 17th Anniversary Special Premium Live 高田馬場>
2020年4月29日(水・祝) 高田馬場AREA 「The name of the ROSE」
2020年4月30日(木) 高田馬場AREA 「Tafel Anatomie」
2020年5月1日 (金)高田馬場AREA 「Neo culture~Beyond the world~」
2020年5月2日(土) 高田馬場AREA 「Genetic World」
2020年5月3日(日・祝) 高田馬場AREA 「7th Rose」
2020年5月4日(月・祝) 高田馬場AREA 「VAMPIRE SAGA」
2020年5月5日(火・祝) 高田馬場AREA 「KINGDOM」

<D Official Fan Club Ultimate lover限定 Ruiza BIRTHDAY PARTY in Studio Rosarium>
2020年2月14日(金) Studio Rosarium
2020年2月15日(土) Studio Rosarium

<D Official Fan Club Ultimate lover限定  Tsunehito BIRTHDAY PARTY in Studio Rosarium>
2020年3月6日(金) Studio Rosarium
2020年3月7日(土) Studio Rosarium

「UNCROWNED KING」

2019年11月20日(水)Release

■限定盤CD+DVD(TYPE-A) ※豪華ブックレット仕様(24P)
GOD CHILD RECORDS / GCR-192 / ¥1,800 (本体価格)+税 / 3Songs CD & 1Song DVD + MV Making / Limited Edition

収録内容
Disc-1(CD)
1. UNCROWNED KING
2. Antiserum
3. UNCROWNED KING (Instrumental)
全3曲収録

Disc-2(DVD)
1. UNCROWNED KING (Music Video)
2. UNCROWNED KING (Music Video Making)

■通常盤CD(TYPE-B)
GOD CHILD RECORDS / GCR-193 / ¥1,500 (本体価格)+税 / 4Songs CD

収録内容
Disc-1(CD)
1. UNCROWNED KING
2. Antiserum
3. Absolute zero
4. Invisible enemy (Instrumental)
全4曲収録

初回特典(封入):トレーディングカード (限定盤・通常盤共に全7種中1種ランダム封入)

『D “VAMPIRE STORY” Character Concept Album「Justice」』

2019年11月20日(水)Release

■限定盤CD ※豪華ブックレット仕様(24P)
GOD CHILD RECORDS / GCR-194 / ¥3,800 (本体価格)+税 / CD 2DISCS

[DISC1]
1. Sleeper
2. Lapis lazuli~君を思うほど僕は欲しくなる~
3. what is Going On with The Human
4. Graveless
5. DARK WINGS
6. 弾丸
7. Underground road
8. 花惑
9. Nocturnal
10.いばらの冠
11. 断罪の銃士(ガンナー)

[DISC2]
12. Nightly Knights
13. Grand Master
14. In the name of Justice
15. 鬨の声
16. Snow White
17. Next Generation
18. Revive~荒廃都市~
19. Deadly sin
20. Antiserum
21. Follow
22. UNCROWNED KING
全22曲収録

◆D オフィシャルサイト
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