【インタビュー】BREAKERZのAKIHIDE、ソロ7thアルバムは「自分史上、最もやさしくて切なくて弱い世界」

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■ミュージシャンとしての成長という意味でも
■トリオ編成は得るものが大きい

──AKIHIDEさんの音楽の根幹を成す部分ですね。今回のアルバムはギター、ウッドベース、パーカッションという編成が基本となっていますが、これが今、いちばん表現したい音世界なんでしょうか?

AKIHIDE:理由は2つあるんですが、今回はよりギターを響かせることを第一に考えて引き算の発想をしたんです。ピアノやストリングスを入れて、アンサンブルから生まれる曲の良さもあると思うんですが、ギターはサステインがなく、特にガットギターは打楽器のような側面があるので、音と音の間に隙間がないと僕が出したい響きがなかなか伝えられないんです。最小のスタイルは1人ですが、ベースとパーカッションだと和音を奏でるのは僕だけなので、和音もメロディも弾けるのが魅力でした。

──“踊れる音楽”って様々だと思うんですけど、アルバム収録曲はどれもギターだけで十分踊れるなと思いました。

AKIHIDE:そう言っていただけると嬉しいです。もちろんリズム隊も強力なんですが、今回はギター1本でもできるアレンジの上に音を重ねたので。

──「ギター1本だけ」と言うと弾き語りを思い浮かべる人がいるかもしれないけど、それとも異なるアプローチですし。

AKIHIDE:バンドでやってきている分、アンサンブルから生まれる面白さも知っていますから。

▲『星飼いの少年』通常盤

──なるほど。ギター、ウッドベース、パーカッションを基本編成とした、もうひとつの理由とは?

AKIHIDE:僕自身がそういう音楽を聴きたかったんです。サブスクでも“ギタートリオのいい音楽ないかな”って探してしまうので、自分自身がやりたかった音楽を形にしました。隙間がある分、伴奏とメロディを一緒に弾かなければならない難しさもあるんですが、これまでの活動の中、素晴らしいピアニストがいると頼ってしまう自分がいたので、今後を見据えたときにいちミュージシャンとして成長するという意味でもトリオ編成は得るものが大きいし、挑戦になるなって。途中、弱気になってストリングスとか入れかけたんですけどね(笑)。

──“この曲、もうちょっと音を足したいな”って?

AKIHIDE:そう。“足したら良くなるかもしれないけど、それは男としてどうなんだよ”と思って踏みとどまりました(笑)。アレンジを変えたり、フレーズを変えることによって乗り超えましたね。そういう挑戦をした分、前作のような変拍子はなるべく使わず、聴きやすさと伝わりやすさを重視しています。

──実際、AKIHIDEさんが歌詞を書いて歌っている曲はメロディアスで耳心地がやさしい曲が多いと感じました。シンプルな編成がそうさせたのですか?

AKIHIDE:歌い方に関してはギターの話と通じる部分があるんですが、僕の声は決して強くはないので、少ない編成のほうがいいし、力を抜いて歌えることに気づいたんです。いままでは歌うことに対して構えていたんですが、今回のスタイルは武装しようがないので、開き直ったというか、より素の自分で歌っているのかもしれない。ギターと同じ楽器的な発想で歌を捉えるようになって、“歌いづらい”と思ったら歌詞を変えることや響きを変えることを優先するようになったので、気持ち的にもだいぶ変わりましたね。

▲7thアルバム『星飼いの少年』 ジャケット撮影シーン・アート制作風景より

──だから、歌が自然体というか、やさしく響くのかもしれない。

AKIHIDE:自然に歌うより、いまみたいな歌い方をするほうが自然に響くようになったのかもしれないですね。歌詞は男女のシーンを思い浮かべて、ストーリーや設定を細かく書いてから形にしたんです。情景を伝えるだけでなく、登場人物の心の動きも伝えられるようになりたかったから試行錯誤しましたね。

──交差点や雑踏が思い浮かぶ「星追いの少女」はどんな絵が頭の中に浮かんでいたんですか?

AKIHIDE:具体的にお話するのはイメージを限定してしまうことになるので片鱗だけ言うと、自分がよく知っている交差点の景色が如実に浮かんでいました。季節は冬で、雪にはならない雨が降っていて、吐く息が白い。そういうイメージを前より細やかに描くようになりましたね。


──だから映像のように情景がイメージできるんですね。「どんぐり」という曲は素朴なテイストで男女の恋愛というより、子供に向けて歌っているような印象を受けました。

AKIHIDE:この曲は男女が結婚して子供が生まれたという設定です。“どんぐり”は前回のアルバムでもキーワードとして出てきたので、いろいろ想像して聴いていただけたら面白いと思います。

──先ほど話に出た「ありふれた物語」も曲だけでショートムービーのような世界が表現されています。死生観のテーマに通じる別れの曲ですが、そこには救いもあって……。

AKIHIDE:物語を踏襲しつつ、実はこの曲はファンに向けていたりするんです。“君が出逢ってくれた”、“君が僕を選んでくれた”って歌いたかったんですよね。物語に重ねたら悲しい内容だし、何もできない自分の弱さも表現されているんですが、根本にあったのは聴いてくれる人たちへの想いです。こうしてソロでいろいろなことに挑戦できるのはファンのみなさんがいてくれるからだし、ライブを観に来てくれるから演奏ができる。そういう感情に肉付けをして完成させた曲です。

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