【インタビュー】矢井田瞳、たくさんのライブが生み出したミニアルバム『Keep Going』

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ヤイコこと矢井田瞳がミニアルバム『Keep Going』を発表する。前作ミニアルバム『Beginning』(2019年8月発表)で示したアコギボーカルデュオ・高高-takataka-とのコラボをさらに深化させて、過去曲をリアレンジ。2020年にデビュー20周年を迎える彼女のアーティストとしての新たな進化を見ることができる意欲作である。


■人間力みたいなものは
■前作よりもたくさん入っている

──『Keep Going』を拝聴しましたが、これが素晴らしいアルバムで。

矢井田瞳:ありがとうございます!嬉しいです!。

──『Beginning』も良かったんですが、それ以上に素敵なテイクばかりで、正直ちょっとビビりました。ヤイコさん自身の手応えはいかがでしょう?

矢井田瞳:前作の『Beginning』から高高-takataka-のふたりとアコギ3本でのライヴをたくさん重ねてきて、その中で発見したものとか、“さらにここまで行けるぞ”という勢いのようなものとか、それらを『Keep Going』に上手く凝縮できた印象がありますね。『Beginning』には、まだそんなにライヴ経験がない中でリハスタに入ってアレンジをしたものが多く入っているんですけど、その後、いろんなところで何本もライヴをやらせてもらったし、やっぱりライヴを1本やると見えてくることがあるんですね。そのいい部分をギュッと入れることができたのかなと思います。

──どの楽曲もサウンドがとても生々しいですよね。

矢井田瞳:一発録りなのは「Over The Distance」だけなんですけど、何て言うか…ライヴをたくさんやると“この曲の正解はこれなのかな”みたいなことが、なんとなく分かるんですね。それをみんなが分かった上でレコーディングに臨んだから、そこでのぶれがなかったことで無理なく…というか、自然にその曲の一番伸びるところを収めることができたと思います。

──“自然にその曲の一番伸びるところを収めた”というのはまさに今作に感じるところで。決してオリジナルが良くないという意味ではないですけど、楽曲によっては今回のバージョンが楽曲本来のアレンジではないかと思うほどですよ。

矢井田瞳:嬉しいです。リアルな質感やサウンドはサウンドプロデューサーのGAKUさんがこだわってくれたところでもあって、それはギターの録り方にも表れているでしょうし、人間力みたいなものは前作よりもたくさん入っているかもしれないです。

──楽曲に触れていくと、まず1曲目の「B’coz I love you」。このバージョンはリズム隊も入っておらず、オリジナルに比べて音数は少ないんですけど、ギターのみでも十分にドライブ感がありますし、オリジナルの勢いにまったく引けを取ってないですよね。

矢井田瞳:それは狙ったところでもあるので、そう言っていただけて嬉しいです。歌入れの時も新曲に取り掛かる気持ちで歌えたし、アレンジに関しても…今の時代は音を埋めようと思えばいくらでも埋められるんですけど、“引き算の圧力”みたいなものときちんと向き合ってレコーディングしたいと思っていたんです。

──原曲もすごくアグレッシブなバンドサウンドが聴けましたけど、どちらかと言えば、今回のほうが攻撃的なのではないかと思うくらいです。

矢井田瞳:バックのサウンドが別の輝かせ方をしてくれて、それが上手くはまった曲のひとつだと思います。

──歌も明らかに変わりましたよね?

矢井田瞳:あっ、それは最近言われること多いです。

──これが適切な表現かどうか分かりませんが、ドスが効いてると言いますか、歌い方が男前というか。

矢井田瞳:20年前に比べて恥じらい的なものがなくなってきたんですかね(笑)。

──そういうつもりでは言ってませんが(苦笑)。バッキングの力強さに負けてないというか、せめぎ合ってる印象です。

矢井田瞳:ありがとうございます。

──続いて2曲目の「Go my way」。これはアコギの音がパキッとクリアーな感じで、「B’coz I love you」とはまた違ったレコーディングの妙が感じられますね。

矢井田瞳:これは当初、リアレンジするのは大変だと思ってたんですよ。でも、大変と思うということはやる意義があると思って取り組んでみたんです。3人とも全然違うパートを弾いてるんですけれども、それが合わさると1本になって聴こえるというような…細かいことの積み重ねで太いものができているみたいなギターアレンジで。リフもコードも原曲と変わっているんですけれど、勢いはそのままに…みたいなところはキープできたと思ってますね。

──小節の頭のストロークに拍が置かれていて、聴いている側も自然と力が入る感じはありますし、前向きなイメージですよね。

矢井田瞳:それはドラマーはいなくても細かいストロークがドラマーのような感じで入っていて、それがそのまま収まってくれたのかもしれません。

──音もクリアーで、リズムも力強くて前向き。「Go my way」の“視界良好”といった世界観に合ってると思います。

矢井田瞳:確かに“視界良好”な曲です。“視界良好”“風”“空”…そういう感じですね。

──「大人になれば増えると思ってた 希望や夢は複雑になるばかり うつむいて取り残された場所を深く掘ってみよう 泉が眠るはずよ」といった歌詞も3人での編成に合っているというか、今回のサウンドに合わせたかのような印象もありますよ。

矢井田瞳:そうですねぇ…演奏面ではスポーツな曲というか、単純にテンポも速いんですけど、だからこそ必死感は出さずにやりたいと思う曲で。そういうところへ行くまでに高高-takataka-とリハを繰り返して一緒に音を作ってきて、今は必死感を出さないところまで来たかなという感じなんですけど、だからこそ毎回演奏するごとに達成感があるというか、めちゃくちゃ気持ち良い曲です。演奏してて、歌ってて気持ち良いというのが伝わっているのかもしれないですね。肉体的のも精神的にもデトックス曲です(笑)。


■メロディーが天から降りて来たのは
■8年に1回くらいです(笑)

──3曲目は「Ring my bell」。これはアコースティックアレンジではあるものの、オリジナルとコーラスも大きく変わってないですし、比較的原曲に忠実なリアレンジなのかなと思って聴かせてもらいました。

矢井田瞳:「Ring my bell」はここ最近一番ライヴでやっている曲で、“このストロークが一番気持ち良い”とか、たくさんライヴを重ねて“これが答えなのかな”みたいなものが見えたところでのレコーディングだったので、それを無茶に変えることもなく、肩の力をストンと抜いてレコーディングできたところはあります。曲にとってはとてもいいことだったと思いますね。

──これ、前作の「Life’s like a love song」に近いアレンジではないかと思ってまして。

矢井田瞳:あっ、そうかもしれません。

──オリジナル「Ring my bell」って間奏がサイケデリックだったりするじゃないですか。で、今回のバージョンは逆回転が入っていたり、重めのストリングスが入っていたりするわけではないのに、アコギだけでもちゃんとサイケな感じがするという。その辺りが前作の「Life’s like love song」に近い感じで、面白い符号を感じました。

矢井田瞳:ちょっとアイリッシュな感じだったりとかね。でも、それは曲自体が持っているテンションかもしれないですね。これは全曲通してそうなんですけど、あえてコードを全部変えるとか、お洒落なコードにするとか、そういうことは全然なくて、守るところは守り、キープしたほうがいいところはキープして、そこでたくさんのライヴを経て、“こっちのほうが正解かも”というところはそちらへ変える…みたいな感じで、全曲すごく柔軟に、その曲にとっての今のベストといったところで取り組めた感じなんですね。

──今言われた“守るべきもの”のラインといったものはどんなところに置かれたのですか?

矢井田瞳:なるべく自分が自分の曲のリスナーになって、すごく客観的に聴いてみて、“このリフは守ってほしい”とか“ここのベースは守ってほしい”とか…結局それは自分が好きなところに偏っちゃうかもしれないですけど、そういうところは変に天邪鬼にならずにキープして、また別のところから光を当てる感じですかね。

──もともとヤイコさん自身が持っている原曲のイメージを損なうことなく…といったところでしょうか?

矢井田瞳:まぁ、まったく新曲になるくらいに変わってくれても良かったんですけど、曲の持っているポテンシャルみたいなものは変えたくないという感じですかね。

──なるほど。話題を4曲目「Over The Distance」へ移しますが、この曲は今おっしゃられた“曲の持っているポテンシャル”と言いますか、個人的には今回の『Keep Going』の中ではもっともヤイコさんらしさを感じたところでして。ピアノ&チェロというシンプルなサウンドゆえに歌メロが際立っていて、ヤイコさんの歌の特徴がよく分かると思ったんです。高音に抜けていくメロディーラインが連なってさらに上へ昇っていく…そういうメロディーが実に矢井田瞳的であることを改めて気付かされたというか。

矢井田瞳:そう言っていただけてありがたいです。でも、この曲のレコーディングの時、私はそこまで余裕がなくて(苦笑)。グランドピアノでのレコーディングは初めてだったんです。家にはデジピしかないので、やっぱり全然別物で、ずっと冷や汗をかいてドキドキしながら録ってました。全世界のピアニストを尊敬しましたね、“こんな繊細なことを毎回やってるのか!?”って。サスティーンペダルの踏むタイミングだったり、息遣い、強さ…“こんなに!?”みたいな(笑)。

──「Over The Distance」は客観的にご自身のアーティスト性を見つめたものではなかったかと想像していましたが、実はそこまで余裕がなかったんですね(笑)。

矢井田瞳:そうですね(苦笑)。客観性はあんまり持てなかったかもしれないですけど、この曲はクリックも使ってなくて、その中でテンポの揺れもあるし、だからこその人間っぽい感じとか、そのレコーディングの日にしか出せなかった「Over The Distance」の今の感じが一番色濃く収録されているとは思います。

──確かにこれもまた生々しいですよね。で、メロディーの話だけに絞ると、ご本人を前にしてこんなことを言うのもどうかと思いますけど、“よくこんな抑揚を思い付くもんだな”って思ったんですよ。

矢井田瞳:ははは。「Over The Distance」を書いた時のことを一生懸命に思い出すと、曲の裏テーマとして、自分の声の張りのあるポイントをサビに持って来ようと思ったんですよね。声がひっくり返るのが私の特徴でもあるので、そこから作ったことを覚えています。

──自身の声質、性質がもっとも発揮できるところをサビに持ってきたと?

矢井田瞳:そうですね。あとは…例えば、同じ“ミ”の音でも“い”と発音すると暗くなっちゃうんですけど、それを“た”にすると明るくなるとか、そういう細かいこともやりましたね。とはいえ、あんまり考えてばかりの曲も聴いていて息が詰まっちゃうんで、感覚的にやる時間と分析してやる時間を分けて、それを合体させるやり方が多いですかね。

──よく“メロディーが降りて来る”というような言い方をされますけど、ヤイコさんの場合は?

矢井田瞳:それは8年に1回くらいです(笑)。

──これまでに2、3回ですか(笑)。

矢井田瞳:8年に1回、夢に見たまま書いたらいい曲ができた…くらいの、書くべくして書いたというか、“(天が)私に順番をくれたんだな”みたいな曲があるんです。2ndアルバム『Candlize』(2001年発表)に入っている「手と涙」がそうなんですけど、歌詞もメロディも一気に降ってきて。次はそこから10年くらいあと(笑)。『TIME CLIP』(2010年発表)というアルバムの「MOON」もそうでした。月を見ていたら一気にメロディーもアレンジもサウンドもイメージが全部降ってきて。

──逆に言うと、曲作りする時は曲を作ろうと思って臨むのでしょうか? ギターとか鍵盤でコード弾きながらメロディーを拾っていくような。

矢井田瞳:ほとんどギターです。ただ、ギターで作ることがあまりにも続くとメロディーが似てきちゃうんですよ(笑)。だから、“このBメロ、もしかして前に書いた曲と一緒?”みたいな状態になると、1回全部忘れる意味も込めて、あまり上手に弾けないピアノの前に座って。するとまた新しいメロディーが生まれてきたり…そういう作り方ですね。私、メロディーを作ることのほうが好きで、先にメロディーを作ることが多いんですけど、そうすると毎回“どんなメッセージにしようかな”って、あとになってものすごく苦しむんですね。なので、最近はメロディーが浮かんでいても、“どんなメッセージがいいかな”とか“今、自分はどんなことが言いたいのかな”とか自分自身の心と向き合うところから始めて、キーワードは何でもいいんですけど、それがひとつでも浮かんだところからギターを持つようにしています。

──音符の連なりだけでなくて、そこにどんな世界観が必要なのかを考えてから作らないと曲にはならないという感じですか?

矢井田瞳:最近、その作り方ですね。デビューした頃は、それこそ「my sweet darlin'」(2000年10月発表の2ndシングル)とかもそうですけど、デタラメ英語をメロディーに乗せて、あとでそのデタラメ英語の耳障りと意味を合わせて歌詞を書いたりしていたんですけど、それがなかなか大変で。そうやって作ると自分で書いた曲なのに歌詞が覚えられないことも多くて(笑)。それも上手く行けば楽しいものになるんですけどね。逆に“メッセージがないものにしよう”となれば、耳障りのいい言葉をまず10個集めてからギターを持ったり。そういう感じでやっています。

──初期の頃のポップ感からすると、そういう作曲方法であったことは納得ですね。

矢井田瞳:感覚的な部分と、活動を経て自分なりに分析して“この辺でこれを歌いたい”みたいなものが合わさったものが、この先の10年を考えるといいかなと思いますね。


■新曲「Cheer for you」は
■普段と違う表現方法ができると思った

──それでは、5曲目「Look Back Again」です。原曲はかなりファンキーでしたが、これはそれとはまた違う印象ですね。あと、一発録りっぽい雰囲気もあります。

矢井田瞳:確かに。この曲ではスタジオセッション感みたいなものが出せたらいいかなと思っていて。とは言っても、それをいきなりはすることはできなかったと思うんです。「Look Back Again」はライヴでは高高-takataka-のギター2本だけで、私はギターを持たずにステージの左右に行けるようにしてて、そういうライヴで積み重ねてきたものがあったから、レコーディングでもそのままでセッション的にやってみようと。なので、彼らにとってこれはスポーツ曲だと思います(笑)。

──確かに忙しい感じではあります(笑)。

矢井田瞳:ギター2本というシンプルな構成にすることで、歌詞は暗いんですけど、この曲が持っている明るさみたいなものを表現できたと思います。

──オリジナルと印象が異なるのは6曲目「I’m Here Saying Nothing」も同じです。これが今作ではもっとも原曲とはイメージが違うんじゃないですかね。

矢井田瞳:これは構成もコードもシンプルだったりするので、いろんなリズムがはまりやすいんですよね。だからと言って、いろいろやりすぎると小難しい曲になっちゃうし、シンプルにすると寂しくなっちゃうし。そういうところで新しいアレンジをみんなで探していく中で、あの印象的なスパニッシュっぽい叩き方から始まるものに落ち着きました。

──過剰じゃないアレンジという感じでしょうかね。オリジナルは同期が入っていることもあってか、2001年らしいサウンドである気はするのですが、今回は時代性がないというか、普遍性を感じるところです。あと、間奏で聴かせるギターの絡みがとにかく素晴らしいです。

矢井田瞳:すごいですよね!あれができた時、みんなで“イエーイ!”ってなりました(笑)。緊張の演奏だったんで。ライヴで初めてあそこが成功した時も思わず“上手くできたね!”って言っちゃいましたから(笑)。どちらかができると、どちらかができないことが続いてて。

──それほどスリリングでしたか。

矢井田瞳:最近は上手くなりすぎて、普通に1本に聴こえちゃうんです(笑)。ふたりなのにどちらかひとりが弾いているように聴こえちゃうんで、今、どちらかの音を変えようかという話をしてて(笑)。

──あと、これもヤイコさんのメロディーセンスを知ったところで、キャッチーだけどスウィートじゃないというか。「I’m Here Saying Nothing」のメロディーってとても独特だと改めて思いました。

矢井田瞳:この曲を書いた時は…わりと疲れていた時で(笑)。

──あらら(笑)。

矢井田瞳:気持ちは元気だったんですよ。「そっとしといてよ かまわないでよ」という歌詞を書けてしまえるような時期だったんですけど、だからこそ言いたいメッセージとは裏腹にメロディーはパキッと分かりやすいものを、きちんと削ぎ落して作りたいと思ったことは覚えています。

──そう、分かりやすいメロディーであるんですよ。でも、かと言ってシンプルではない。その辺で不思議な感じはするんですよね。

矢井田瞳:私はど真ん中のどキャッチーなものを書きたいと思って、それを書いたつもりでも、友人からすると“すごく歌いにくいね”と言われたりするから(苦笑)、その差は一生埋まらないものなのかなと思います。自分の中でのポップさ、キャッチーさと、他の人のそれとは違うんだろうなって。

──「my sweet darlin'」辺りとは明らかに違うものの、しっかりとキャッチーなわけで、「I’m Here Saying Nothing」はヤイコさんが多彩なメロディーを作られるアーティストであることを改めて知ることができる曲だと思いましたね。これは今回のアルバム総体の話にもなりますが、今回リアレンジされたサウンドはどれも素晴らしいものですけど、新しいサウンドでもメロディーがしっかりと拮抗している印象が強くて。優れたメロディメーカーであるというヤイコさんの本質も再確認したような感じもあるんですよね。

矢井田瞳:あぁ…でも、『Beginning』を出して、そのあとでライヴをする中で、よりアコギサウンドの可能性に興味を持ったというのが、『Keep Going』がシンプルな理由ですね。“こんなに違う輝き方をするんだ!?”とか“こんなに新曲みたいに生まれ変わるんだ!?”とか、そういう音楽的な楽しさがここに詰まればいいなと思ったんです。

──こういう言い方が適切かどうか分かりませんが、もともとのメロディーがタフであることが分かると言いますか。タフだからこそ、どんなサウンドでも料理できると思うんですね。

矢井田瞳:確かに最近は料理されるのは楽しいですね(笑)。いろんな引き出しが残っているなら開けてほしいところもあるし、守りに入らない姿勢であれば開くかなと思ったりもするし。そういう姿勢ですね。

──その意味では『Keep Going』はリアレンジ盤のお手本みたいなものだと思いますよ。最新のサウンドで原曲のポテンシャルをさらに引き出すという。

矢井田瞳:ライヴをたくさんやらせてもらっているからこそ生まれた一枚だと思います。いきなり“リアレンジして”となったらこうはならなかったと思うし。

──ライヴアーティストであるからここに辿り着いたという感じでしょうかね。『Keep Going』の限定盤には過去のライヴ映像が収録されたDVDが同梱されますが、そう考えるとこの仕様も納得ですね。

矢井田瞳:自分で言うのも変ですけど、このDVDはすごいと思います。“こんな映像、撮ってたんだ!?”という、ほぼ自分も忘れていた映像も入っていたりして(笑)。すごく観応えがあると思います。

──それだけいっぱいライヴをやってきたということですよね。

矢井田瞳:ですね。ものすごく恐ろしいことですけど、“この衣装を着たことを覚えてない”みたいなこともあったりして(笑)。“ものすごく一生懸命に演奏しているな…怖っ!”って思ったものもあるし(笑)。すごく歴史を感じます。

──そういう映像を観れるのはファンも嬉しんじゃないでしょうか。

矢井田瞳:一緒に振り返ってもらえたら楽しいと思います。

──分かりました。最後にもう1曲、今回の新曲である「Cheer for you」についてうかがいます。パッと聴き、応援歌的な雰囲気を持った楽曲ではありますが、もともと曲に込めたメッセージがはっきりとしていた感じでしたか?

矢井田瞳:この曲に関しては、東京都TEAM BEYONDパラスポーツ普及啓発映像「FIND YOUR HERO」があって、それを観たらすごくカッコ良くて、エッジが効いてて、応援したくなる感じ…ほんとシンプルに“選手、カッコ良いな”って思う感じだったんですね。で、それを観たのがちょうど高高-takataka-と色濃くリハをしている時期だったので、プロデューサーのGAKUさんも一緒になって、リハスタで円になっていろいろとアイディアを出しながら作っていったんです。曲作りはバンドっぽくて楽しかったですね。

──言葉の乗せ方はヒップホップ的ですね。

矢井田瞳:そこは新しいチャレンジでしたね。私、とにかくラップができなくて、コンプレックスなんです。お経みたいになっちゃうんですよ(笑)。

──ラッパーの方に言わせると、発声法、呼吸法が歌とは異なるらしいですから。

矢井田瞳:やっぱり違いますよね。でも、普段の自分とは違う表現方法ができる場面だと思ったし、高高-takataka-とGAKUさんと積み上げてきたものの今のベストみたいなものもこの曲に集約できると思ったんです。休憩中に高高-takataka-の歩くんが何気なく弾いたリフを私が気に入って…曲の頭のリフなんですけど、それを繰り返し弾いてもらってそこにメロディーを付けるところ曲書きが始まって。

──バッキングのリピートの中にメロディーを入れるというのはヒップホップ的ですよね。ビートも肉体的でアスリート感がありますよ。

矢井田瞳:そこにはとても気をつけましたので、そう言ってもらえるのも嬉しいです! 何かに向かって頑張っている人がさらに頑張れるようなものになればいいなと思って作りました。

取材・文◎帆苅智之

矢井田瞳 ライブ&ツアー

Mini Album『Keep Going』
2020年2月12日発売
初回限定盤(DVD付) ZLCP-0390 ¥3,454(税抜)
通常盤 ZLCP-0391 ¥1,818(税抜)

<"20th Anniversary" 矢井田瞳 Live Tour 「Keep Going」>
2/08(土) 東京・EX THEATER ROPPONGI SOLD OUT
2/11(火) 愛知・ダイアモンドホール SOLD OUT
2/23(日) 大阪・大阪市中央公会堂 SOLD OUT
3/22(日) 福岡・DRUM LOGOS
2/14(金) 東京・浜離宮朝日ホール 追加公演
2/24(月) 大阪・大阪市中央公会堂 追加公演

<yaiko x takataka Live Tour「3 -triangle」>
3/28(土) 茨城・日立シビックセンター天球劇場
3/29(日) 群馬・高崎少林山達磨寺
4/04(土) 栃木・高根沢ちょっ蔵ホール
4/18(土) 大阪・南海浪切ホール

◆矢井田瞳オフィシャルサイト
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