【ライブレポート】OBLIVION DUST、K.A.Z復活「手が使えなかった1年はすごく長かった」

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2019年1月以降、左手首骨折のためライブ活動をストップさせ療養していたK.A.Z (G)が、怪我を完治させてついにステージ復帰。<OBLIVION DUST LIVE 2020 -Synched Up->と題した1月25日(土)の東京・渋谷TSUTAYA O-EAST公演で完全復活の狼煙を上げた。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆OBLIVION DUST 画像

2018年12月から約2ヵ月に渡って行われたOBLIVION DUSTの全国ツアーは、残すところ5公演というところで、サウンドの要でもあるK.A.Zが左手首を骨折。しかし、KEN LLOYD(Vo)とRIKIJI(B)はツアー続行を決断し、K.A.Z不在という予期せぬ逆境を乗り越えて、ツアーファイナルへたどり着いた。そして2019年夏、ギリギリまでK.A.Zの復帰を待ちつつも願い叶わず、サポートギタリストを迎えてツアーを敢行。ツアー後の9月はFC限定イベントに、療養中にもかかわらず会場に駆けつけたものの、K.A.Zがライブ復帰を果たすことはなかった。復帰のメドが立たずにギタリストとして不安に苛まれることもあっただろう中、その後も療養やリハビリに励み、この復活ライブにこぎつけたのだ。


K.A.Zの復活を待ちに待ったオーディエンスが詰め掛けた会場はステージが始まる前から熱気に包まれていた。そして会場が暗転するとメンバーが登場。大歓声と大きな拍手が湧き起こる中、オープニングSE終わりの一瞬の静寂を切り裂くように、K.A.Zのギターリフがスタート、同時にK.A.Zがスポットで照らし出された。1曲目は「In Motion」だ。続いてギターリフを鳴らすサポートメンバーのYUJI(G)にスポットが当たり、ステージ全体が明るくなってKENの「カモン!」という雄叫びを合図に、メンバーの意気揚々とした姿が現れた。

待ちに待った光景でありながら、それはすぐに見慣れた光景へと変わる。体中に爆音が響き、フロアを揺らす凄まじいほどのヘヴィなサウンド。怪我する以前のK.A.Zとなんら変わりないプレイスタイルに安堵するとともに、そのサウンドを全身で楽しむオーディエンス。KENは軽やかに歌い、RIKIJIは挑発的なベースラインでこの時を楽しんでいるようだ。K.A.Zはステージに立っていることをアピールするかのように何度もお立ち台に立ち、ギターソロを弾き終えると、フロアに向かって右手を高々と掲げた。その姿は復活宣言のようでもある。そして、熱い演奏に呼応するように暴れるオーディエンス、K.A.Z完全復活ライブの幕開けだった。


凄まじい歓声に包まれて、続く「Syndrome」へ。徐々に熱を帯びていくラウドなナンバーに一体となっていくオーディエンス。畳み掛けるようにビートを炸裂させるARIMATSU(Dr)のドラムにフロアはさらに興奮し、まだオープニングだというのに大歓声。フロアの興奮もすでにメーターを振り切っていた。「Evidence」ではさらに熱気が上昇し、フロアめがけてKENが水をまく。RIKIJIは低く構えたベースから分厚いリズムを刻み、そのスレンダーでしなやかなラインに色気を覗かせた。

「2020年、こうやってみんなと明けられて嬉しいです。ここからK.A.Zが作ったセットリストでバンバン行くんで、最後までお付き合いよろしくお願いします!」──KEN LLOYD

KENのMCの後に繰り出された「Never Ending」では、開放されたようにクラウドサーファーが大暴れ。曲の終わりでK.A.Zがアウトロを弾き終えて両手を高く掲げてフロアを煽ると、まだ序盤だというのに、ここからキラーチューンが立て続けに放たれた。ライブには欠かせない暴れ曲「Microchipped」のドラムがスタートすると、RIKIJIが跳ね回るようにベースラインをはじいていく。ヘヴィチューンの「Nightcrawler」では、いつもよりリラックスした表情で歌うKENが印象的だった。


ライブ中盤はたっぷりと聴かせるナンバーを。2019年のK.A.Z不在ライブで久しぶりに披露され、K.A.Zがサウンドをリアレンジしたという「Strychnine Tomorrow」。ミディアムテンポでずっしりとしたボトム、その上を流れるリズムとメロディが心地よくフロアに充満していく。バラードナンバーの「Your Yesterday」は優しいKENのヴォーカルが会場を包み、「Gateway」は轟音でありながら、音の塊がキラキラと弾けていくようだ。「All I Need」で聴かせたK.A.Zのギターソロの美しさは会場を魅了。「No Regrets」では変幻自在にベースラインを操るRIKIJI。K.A.ZとRIKIJIが向き合ってプレイするという、なかなかお目にかかれない場面も、K.A.Z復帰の喜びからか。

終盤のスタートを飾ったのは「Death Surf」。ここからは圧巻のプレイが一気に爆発。息つく間もなく「Sail Away」「Designer Fetus」と、エモーショナルとラウドが融合したナンバーが続き、OBLIVION DUSTサウンドにただただ踊らされる。この頃になると、もはや“K.A.Z復活ライブ”などという冠は忘れていた。熱狂のライブ空間は、バンドにとってもオーディエンスにとっても“日常”のひとコマでありながら、とても大切な空間だと改めて感じながら、圧倒的なサウンドに身を委ねる。そして、KENに促されて、普段はライブでMCをすることのないK.A.Zが話し始めた。

「手が使えなかった1年はすごく長かったです。不安になったり、弾けるのかなって思ったり。みんなの応援がなかったら、気分的に戻ってなかったかもしれないです。本当にありがとうございます」──K.A.Z


応援して待ってくれていたメンバーやオーディエンスなどすべての人に感謝の言葉を述べたK.A.Z。続いてKENが「ここから最後まで、1年待ってどれだけイラついたかの暴れ方をしましょうかね」と、ジョークを含めながら少し嬉しそうな表情を見せてフロアを煽った。ラストは「Haze」から、フロアが揺れるほどのライブ鉄板曲を畳み掛けて駆け抜ける。K.A.Zが激しいストロークを見せるイントロで一気に興奮のメーターを振り切った「Under My Skin」。オーディエンスも負けじと波打ち、その波の上をクラウドサーファーが猛烈に暴れ狂う。締めくくりは全身全霊を込めて放たれた「Sink The God」。フロアは最後の瞬間まで歓喜に包まれ、熱い夜は幕を閉じた。

この日、ライブ中盤のMCでは、待ってくれていたFC会員に向けて、まずは3月に東名阪ライブを行うことがアナウンスされた。これを皮切りに、2020年のOBLIVION DUSTはまた新たなステージへと踏み出すに違いない。自分たちにとっても、ファンにとっても大切な居場所を再認識したこの日を決して忘れたくないと思いつつも、ひとつの通過点として、OBLIVION DUSTはここからさらに圧巻のライブを見せつけていくだろう。

撮影◎緒車寿一/田中和子

■<OBLIVION DUST LIVE 2020 -Synched Up->1月25日(土)@TSUTAYA O-EASTセットリスト

01. In Motion
02. Syndrome
03. Evidence
04. Never Ending
05. Microchipped
06. Nightcrawler
07. Lolita
08. Strychnine Tomorrow
09. Your Yesterday
10. Gateway
11. All I Need
12. No Regrets
13. Death Surf
14. Sail Away
15. Designer Fetus
16. Haze
17. Under My Skin
18. Sink The God

■<OBLIVION DUST OFFICIAL FANCLUB「Club OVERDOSE」MEMBER’S ONLY LIVE>

3月15日(日) 東京・代官山UNIT
open17:30 / start18:00
3月20日(金・祝) 大阪・BananaHall
open17:30 / start18:00
3月29日(日) 愛知・名古屋JAMMIN’
open17:30 / start18:00

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