【インタビュー】HOLLOWGRAM、実力派集団による5thアルバムに音楽的自由「圏外へ飛び出してみたい」

ツイート

新章に突入したHOLLOWGRAMが4ヵ月連続のシングル配信リリースに続いて、2月12日、5thオリジナルアルバム『Pale Blue Dot』をリリースする。Ryo (Vo)はBUCK-TICKのマニュピレーターである横山和俊とのデジタルユニット“TAG”をはじめとする音楽活動と並行。夢時 (G)はASH DA HEROのサポートやスタジオワークなどロックからJ-POPまで幅広い分野で活躍。一也 (B)はもともとギタリストでもありヴァイオリンも奏でるマルチプレーヤーでありマニュピレーター。Shinya (Dr)は人格ラヂオの悠希(Vo)ソロ活動にサポートとしても活動中だ。全員が多忙なゆえ活動ペースは不定期ではあったが、完成したアルバムには実力派揃いの4人が自由な音楽性をフルに発揮したスケール感たっぷりのサウンドが封じ込められた。

◆HOLLOWGRAM 画像

タイトルの「Pale Blue Dot」とは“ボイジャー1号”によって撮影された地球の写真のことで、2019年現在、人類が認識できる一番遠くから撮影された地球の写真”を意味し、楽曲の面でもコンセプトの面でも未知の領域に踏み込んだと言える仕上がりだ。ダークでゴシックな世界観を喚起させるアートワークからは想像できないサウンドの多彩さにも驚かされる。マイペースで個性派揃いでもあるメンバー全員に、HOLLOWGRAMのスタンスと新たな扉を開いたアルバムについて話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■活動期間が空くことがあってもいい
■それがこのバンドの不思議なところ

──インタビューとしてはBARKS初登場になるので、まずはバンドの成り立ちからお聞きしたいのですが。みなさんはそれぞれHOLLOWGRAM以外にバンドやプロジェクトやサポートなどの活動もされていますよね。どんなイメージを共有して集まったメンバーなんでしょうか?

ryo:2014年の結成当時は5人編成だったんですが、ベースが脱退したこともあって、それまでギターだった一也がベースにパートチェンジして、2017年から今の4人体制になったんです。共通項は特になくて、唯一の目的は“バンドを一緒にやること”でした。なので、スタートはけっこう曖昧な感じだったんですよ。僕と一也は旧知の仲だったんですけど。

Shinya:僕はryoから「バンドをやらないか」という誘いがあったので居酒屋に行ったら、このメンバーがいて。「やってみようか」って。

夢時:僕は「セッションをやらないか」って誘われて、サポートの仕事をいろいろやっていたので、“セッションだったら”と思って行ったら、バンドだったので“あらあらあら”と(笑)。でも、“やってみなきゃわからないな”と思いながら手探りのまま、今日まで来ました(笑)。

──手探り継続中ですか?

夢時:いや、もう一生、手探りですよ。

▲Ryo (Vo)

──プロフィールを拝見すると、ryoさんは歌詞とアートワーク、夢時と一也さんは作曲やマニュピレートなど役割がはっきり分かれていますね。

ryo:そうですね。各自ができることをやっているという感じです。一也はサウンドの要を担っていて音に対する情熱があり、夢時のギターは替えがきかない。2人が音の軸を作ってドラムとボーカルがそこに絡んでいく形ですね。それぞれバンドやサポート、楽曲提供をしていますけれど、この4人でしか鳴らせない音にしたいという想いはあります。できた曲に言葉をのせ、グラフィックを考え、ひとつのパッケージに落とし込むのが僕の役目だと思っています。

──そういう過程を経て、作品が完成していくんですね。

ryo:ええ。曲に関しては自由にやってもらったほうがいいと思っているので、「こういうアルバムにしたいから、こういう曲作ってよ」っていうオーダーは全くしないんです。キーワードを共有するぐらいですね。

──では、6年一緒にやっている内に見えてきたHOLLOWGRAMのカラーというのは?

夢時:そこ聞いちゃいます?(笑)。

ryo:いい意味で制約はずっとないんですよ。各自のスケジュールで活動期間が空くこともあるんですけど、そのスタンスでいいのかなと思えるのが、このバンドの不思議なところですね。

──音楽のジャンルも活動スタンスも決めこまないスタイル?

ryo:そうですね。デモの段階で1980年代っぽい曲やデジロックな感じの曲があっても「HOLLOWGRAMには合わないからやめない?」とは絶対に言わない。「とりあえずやってみようよ」って。今回のアルバムは一也の中で方向性が見えていた部分があったと思うんですけどね。

▲5thアルバム『Pale Blue Dot』

──一也さん自身は、HOLLOWGRAMとはどんなバンドだと思ってますか?

一也:難しい質問ですね〜(笑)。うーん。

夢時:さっきのスケジュールの話じゃないですけど、メンバー同士、そんなに会わないんですよ。ライブがあってもリハーサルをやらないので。

──えっ!? そ、そうなんですか?

夢時:はい。ライブ当日のサウンドチェックで演奏するぐらい。そういう意味ではやばいバンドです(笑)。

──みなさんの高いスキルがあってこそでしょうけど。

夢時:いやー、とにかくやばいですよね。

──とはいえ、2019年10月から4ヵ月連続でシングル配信リリースをしていますよね。異例のハイペースなのではないかと?

ryo:そうですね。2019年1月に5周年記念ライブをやった後に制作会議を開いて決めたんですけど、フタを開けてみたら意外と大変でした。

──アルバム『Pale Blue Dot』を見据えての連続配信だったんですか?

ryo:はい。先に決めてしまえば奮起するだろうって。僕ら全員、夏休みの宿題を8月31日にやるタイプなんですよ(笑)。

夢時:スローペースでやってきたので謎な行動なんですけど(笑)、なかなか大変でしたね。これまでと違う方向性の曲にしようと作ったのが第一弾「Blind Watchmaker」。それまではライブで反応を見ながら次の曲を作ってきたので、納得はしているものの“果たしてこの挑戦はよかったのだろうか”と思いつつ走っているところです。

──これまでのHOLLOWGRAMにない方法論だったんですね。

ryo:アルバムとしては5枚目ですけど、これまではミニばかりだったのでフルアルバム自体が初めてじゃないですか。

夢時:だから、もう10年分ぐらいな勢いですよ。

◆インタビュー【2】へ
この記事をツイート

この記事の関連情報