【インタビュー】HOLLOWGRAM、実力派集団による5thアルバムに音楽的自由「圏外へ飛び出してみたい」

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■ダークではなく真っ黒な宇宙空間に
■生命が輝いているイメージ

──先ほど「キーワードは共有する」とおっしゃっていましたが、『Pale Blue Dot』というアルバムのタイトルはどの時点で決まったんですか?

ryo:シングル「Blind Watchmaker」をリリースするときには、メンバーに原案を送っていたんじゃないかな。アルバムのタイトルと6周年ライブとツアーのタイトルはほぼ同時に決めたんです。

──アルバムタイトルの“Pale Blue Dot”とは、ボイジャー1号によって撮影された地球の写真のことで、2019年現在、人類が認識できる一番遠くから撮影された地球の写真のことを指すんですよね。

ryo:そうです。ぼんやりとした青く小さな点で地球が映っている衛星写真のことです。これまで僕は、人の感情や死生観をテーマに歌詞を書いてきたんですけど、一度、人間から離れてみようと思ったんです。時代が変わって文明が発達した今も、僕らには知らないことが多いですよね。なぜ生命が誕生したのか、なぜ時間があって重力があるのか、わからないことだらけ。だけど、わからないままに死んでいくよりわからないことに挑戦してみようって思ったんです。“Pale Blue Dot”には“宇宙”という意味もあるんですが、未知のものに焦点を当ててみたいって。楽曲的にも僕らが歩んできた道をなぞるのではなく、圏外へ飛び出してみたいと思ったんです。

▲夢時 (G)

──人間から離れてみようと思った理由というのは?

ryo:HOLLOWGRAMというバンド名は造語なんですが、“感情”だったり“心”だったりは、手に触れることができないけれど、確実に存在するもので、質量があるものという意味を込めてつけたんです。でも、人間に寄り添いすぎると視点が近くなったり内省的な方向に行きがちなので、一回、視点を変えてみようって。離れてみたら月の裏側じゃないけど、なにか気づきがあるかなって。

──だから圏外に行ってみようと?

ryo:そうですね。もともと楽曲の幅は広いバンドなんですけど、さらに輪をかけて世界が広がったと思います。

──実際、ファンクなナンバーもあるし、ジャズ、アンビエント、ロックンロールと多岐にわたった多彩な曲が収録されています。アーティスト写真だけ見たら、ダークでゴシックな音楽を想像しますが中身は本当に自由で。

ryo:ツアータイトル<Into Black II>の“Black”は、未知の領域という意味でつけたんですよ。タイトルは『Pale Blue Dot』ですけど、アーティスト写真もジャケットも“黒”で統一していて、キーカラーは“赤”にしているんですね。でも、ブックレットを開くと7つの色が暴れている。そこが今回のアートワークの狙いで、ダークな世界を表現したいのではなく、真っ黒な宇宙空間に生命が輝いているイメージがあったんです。冒頭のSE「-pale blue dot-」で氷が割れる音が入っているのは、宇宙にいる感覚を表現したかったからで、そこからいろんな次元や感情を通り抜けて、最後のSE「-primitive ocean-」では原始の海に帰る。実際にアルバムを聴いていただけたら、いろいろな色の楽曲が暴れているので、それとリンクさせています。

──薔薇もアルバムを象徴しているんでしょうか?

ryo:種明かしになってしまうんですが、最後の「With you」という曲では拳を握るんじゃなくて“掌を開きなよ”と歌っている。手の平を開いて未来にウエルカムな気持ちで向かっていこうよって気持ちを込めているんですね。その手の平が薔薇のイメージです。

──とても開放感のある曲ですよね。

ryo:「With you」は1990年代テイストですね。

──そういうメッセージが込められた曲からSEの原始の海「-primitive ocean-」でエンディングを迎える。

ryo:そうですね。心を開けば新しい世界に辿り着ける。そこでゼロになったとしてもまた新しい生命が芽生えるっていうところに繋げたかったんです。2曲のSEは音的にもリンクしているんです。エンディングに行き着いたら、また遠くにゴールが見える『Pale Blue Dot』に繋がっていく書き方をしています。


──では、楽器陣のみなさんが新たに挑戦した部分や、これまでになかったタイプの曲というのは?

夢時:挑戦している感覚はあまりないんですけど、唯一こだわっているのはいま流行っている音楽やサウンドメイクは個人的にはやらないと決めています。曲についてはいつも一也くんと相談するんですけど、今作では「今までやったことがないリズムの曲を作ろう」って話しましたね。第四弾配信シングル「Flood of love」はこれまでになかった跳ねたリズムの曲ですし。

ryo:最初のデモは全然違ったよね。

夢時:そうですね。ハードロックみたいになっちゃったんですけど、1980年代っぽい曲にしたいなって。

──ファンクなサウンドで洗練されています。アンビエントで浮遊感のある「The deluge」から「Flood of love」に移行する流れが個人的に好きです。

夢時:現時点では、まだ他の人からの感想を聞けてないので嬉しいですね(笑)。仕事上、10代や20代の人たちと接する機会が多いんですけど、彼らは1980年代の音楽を知らないから“新しい”と思うらしいんですよ。僕は1980年代生まれなのでその時代の音楽を聴いて育っているし、好きな曲が多いのでガンガンやっていこうかなって。「洗練されてる」って言われたのはすごく嬉しいです。

──2曲のタイトルに“洪水”を意味する言葉が入っているのも気になるところでした。

ryo:僕自身は無宗教なんですが、“神は7日で世界を造った”と聖書で言われていることだったり、創世期とシンクロさせたくて“大洪水”(「The deluge」)というタイトルをつけたんです。アルバムの曲は独立していますけど、平行世界のように少しずつレイヤーが重なっていくことによって立体的な世界が構築できないかなと思って歌詞は書いています。

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