【インタビュー】シキドロップ、風刺と皮肉を込めて新たな一歩を踏み出すミュージックビデオ三部作

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■全部をエンタテインメントとして楽しんでもらえたら

──「行進する怪物」と、2月28日に出た第二弾「先生の言うとおり」は、同じメッセージを発してると思います。

平牧:「先生の言うとおり」は、「行進する怪物」のあとに作ったんですよ。この曲もミュージックビデオにするかも、ということで作っていた時に、悠人が「連部作だから、曲も繋がってるようにしたい」と。だから「先生の言うとおり」の最後に“あっちへ行進、こっちこっち行進”というフレーズをあえて入れたりして。“あっち向いて、こっちこっち向いて”、“風見鶏、マスゲーム”をしているのが「行進する怪物」だった、みたいな。そこは自由に想像して、楽しんでもらえたら。

宇野:みんなの意見を見たいですね。YouTubeのコメント欄やツイッターで「私はこう思います」という意見を、あえて自分から発信してほしい。

平牧:ここでこそ、やりあってほしいよね。ヤフーとかのコメント欄を燃やすなら、ここでこそ燃やしてほしい(笑)。うちらのYouTubeのコメント欄で討論してほしい。

宇野:もっとみんな、自分の意見を発信していったほうがいいかなと思うので。

平牧:責任と、想像力を持って発言してほしいんですね。「先生の言うとおり」でも“想像力の欠落だ”と言ってますけど、もっと想像力を働かせて、責任を持って、ちゃんと討論してほしい。みなさんに言いたいことは。

宇野:僕の一つの意見ですけど、誰かを批判するのは全然いいと思うんですよ。なぜ自分は批判するのか?という説明ができるならば。それがあれば、もっと批判しあってもいいと思います。

平牧:“ググった知識で、はい論破”(「行進する怪物」)じゃなくてね。それは、自分への戒めでもあるんです。「行進する怪物」は珍しく、歌詞が先だったんですよ。2年前のクリスマスに書いた曲で、1日で書いたんですけど。そこに曲をつけたので、ちょっといびつな感じで、Aメロの感じも今までにない、お経みたいな感じになっていたりして。こんな大事な扱いになる曲になるとはゆめゆめ思わず、当時自分の中にフラストレーションがたまっていて、バーッと書きなぐったものを、クリスマスの日にチームみんなに送りつけるという(笑)。

──でもある意味、それほど衝動が強かった。

平牧:それをチームみんなが気に入ってくれちゃって、ある意味それが始まりかもしれない。それと、僕がある人に言われたことで、仁くんはアップテンポにする時にふわっとしちゃう時があるから「歌詞で怒りをぶつけたほうがいい」と言われたことがあったんですよ。「そのほうが仁くんの性格的に、刺さる曲ができるから」と言われて、その時はよくわからなかったんだけど。

宇野:いや、そうだと思う。

平牧:夢とかを語るよりも、「怒りをぶつけたほうが強い曲」になるって言われた。というわけで、怒りをぶつけたらいい曲ができた、という話です。

──そして、曲を聴かせた時のsakiyama氏の反応は?

平牧:sakiyamaさんは、三部作の中で「先生の言うとおり」が一番好きと言ってました。ミュージックビデオも楽しんで作って…くれたのかな?

宇野:わかんない。「コノヤロー」と思ってたかもしれない(笑)。「あいつら注文ばかり多いな」とか(笑)。



──あの怪物の顔、すごい。あまりにグロテスクで、逆に見たくなるような。

平牧:素晴らしいですよね。でもちょっと、愛らしさもあるのがいいですよね。僕、推しメンがいるんですけど。この子の番手を上げたい!って。

──アハハハ。怪物の推しメン。

平牧:みなさんも推しメンを決めていただいて。

宇野:でもツイッターでチェックすると、「この子可愛い」とか、言ってらっしゃる方がいるんですよ。それはうれしかったですね。愛情持って、みんな見てくれてるんだなって。

──そして、最新情報によると、第三弾が「涙タイムカプセル」に決定したという。これが完結編ということですか。

宇野:僕らの中では、完結は完結なんですけど、続きがあるのかな?とか、考えさせる終わりになってると思います。「行進する怪物」「先生の言うとおり」は連部作と決まっていて、「二つでもいいんじゃないか」という話もあったんですけど、どうしても三部作がやりたくて。二つだとそれで終わりですけど、三つだと違う攻め方ができるというか、ちゃんとストーリーを終わらせることができると思うので。

平牧:『ロード・オブ・ザ・リング』もそうだしね。

宇野:で、三つめの曲をどれにしようか?という時に、これは完全に僕の直感ですけど、「涙タイムカプセル」がいいかなと。この曲、もともとあまり好きじゃなくて。

平牧:言ってたね。「ピンと来ない」って。

宇野:そう。でもキーを二つ、三つくらい上げたら、がらっと印象が変わって、エンドロールっぽくなった。

平牧:ボイトレの成果だね。声がすごく高くなったんですよ。上のラの音まで平気で出る。一般の日本人男性はファ#ぐらいと言われてるのに、3音ぐらい上まで地声で出るので。『シキハメグル』よりも、この三部作はめちゃくちゃキーが上がってます。さらっと歌ってるけど、「先生の言うとおり」とか、めちゃくちゃ高い。

宇野:実は、ヒーヒー言いながら歌ってるんだけど(笑)。そういう意味で、エモーショナルな部分が出てきてる気がします。歌ってて、そっちのほうが面白いし。だから「涙タイムカプセル」はキーを上げて良くなって、エンドロールにぴったりかな?と。「行進する怪物」「先生の言うとおり」は、前に前に行く曲ですけど、「涙タイムカプセル」にはそれが終わっちゃう悲しさがある。それで三つめに決めました。

──ミュージックビデオも楽しみ。また違うアプローチになりそう。

平牧:この三部作について言うと、社会風刺ではあるけど、物語がどんどん小さくなっていくんですね。遠くの国で死んでゆく少女のニュースを見ながら、あの人からの既読がつかないことを気にしている、そんないびつさがあると思っていて、何かを批判しながらも、物語が「対・誰か」になっていく。その中間地点がたぶん「先生の言うとおり」で、そこから三作目の「涙タイムカプセル」に向かって物語がどうなっていくのか。曲が出る時にはすごく楽しみにしていてほしいし、いろんなところを見つめてもらって、YouTubeのコメント欄でバトルしてもらって(笑)。

宇野:僕らは高みの見物を(笑)。

平牧:その熱が、「涙タイムカプセル」が出る頃には、意外なところに行きつくと思うので。そこは期待していてほしいし、いい意味で肩透かしが来るんじゃないか?という気がします。「行進する怪物」「先生の言うとおり」で盛り上がってきてるのに、「え?」みたいな。でもそれも僕らの仕掛けたストーリーだし、全部をエンタテインメントとして楽しんでもらえたらと思います。

──そしてその先には……。

平牧:はい。アルバムが出ます。アルバムで言いたいことを、一番強く表現してるのがこの三部作だと思うので。いろいろと想像力をふくらませて、楽しみに待っていてほしいです。

取材・文◎宮本英夫

◆シキドロップ オフィシャルサイト
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