【レポート】MAREAM、デビューアルバム『0 to X』リリース記念ツアーがスタート

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ジャパニーズテクノレーベルSPECTRAに所属するアーティスト、MAREAMによるデビューアルバム『0 to X』のリリースを記念した、全7箇所のリリースツアー最初の公演が2020年2月1日に渋谷CLUB ASIAにて開催された。

この日は、私Hiroyuki Arakawaのレーベル“SPECTRA”が主催するパーティ<SPECTRA LABEL SHOW>で行われ、MAREAM自身初となる、全て自身の楽曲で構成されるライブセットが見所となっている。

開催当日、東京では生憎の大型テクノパーティとのバッティングによって、来場者の分散が予想されており、盛り上がりへの期待と不安が入り混じる中でのオープンとなった。しかし蓋を開けてみれば不安とは逆に、早い時間帯から来場者はそれほど多くないものの、テクノサウンドに積極的なSPECTRAファンが集まり始め、会場全体が活気付いている。深夜1時を過ぎたあたりからは、全フロア満遍なく盛り上がっていて、彼女のプレイ時間が近づくにつれて、期待感を持った来場者でフロアは埋まっていった。


ライブは緊張感のある、アルバムの第一曲目「Rising」からスタート。ビートレスな曲調が数分に渡ったにもかかわらず、フロアからは観衆をフロアの外へ逃すことなく、徐々にビートが入り始めていった。フロアの期待感が積みあがっていく一方で、彼女自身は初めてのライブプレイのためか、いつものDJのようなリラックスした表情がみられず、失敗への恐れが先行するが故の、プロセスへ沿うような安定を求める立ち上がりが伺えた。


フロアの温度は下がっていないものの、フロアが発散しきっていない雰囲気が漂い、観衆との駆け引きが続く状態が、彼女が最初に直面したライブセットの試練とも受け取れる。ライブセットは全て自身が、0(ゼロ)から作り上げていくもので、DJのように使い慣れた他のアーティストの楽曲へ逃げることはできない。そのライブセットの行方はまさしく未知のX(エックス)であり、彼女自身も観衆も、これから向かう1時間後のライブのエンディングは誰もわからない。


そんな駆け引きが続く中、彼女が勝負に出たのが「DOUBLE BASS」のブレイク部分だった。ブレイクで単音のSAWリードのみが徐々にピッチダウンしていく、思い切った展開によって、フロアから多くの歓声が上がった。フロアと心が通じた瞬間、彼女からは先ほどまでの迷いの表情は消え、晴れ晴れとして音のコミュニケーションを活発にしていった。それからというものの、彼女の持ち味であるミニマルでハードな展開を繰り返し、後半のBPM142の楽曲「RAVE142」に向けて、BPMもフロアコントロールも上向きに先導する。フロアのピークも何度か作っていき、まだまだライブセットを求める観衆へ向けて、エンディングでアルバムの最終曲である「To...」をプレイし綺麗にライブセットに幕を下ろした。


終わってみれば、ライブセットはあっという間に感じるほどの引き付ける内容で、初ライブは彼女自身のドキュメンタリーを見ているような感覚であった。1年以上前のアルバムの制作段階の最初から知る私にとっては、半人前のクリエイターから一人前に躍らせる楽曲を作っていくプロデューサーに成長した事を強く感じた夜だった。

その後、私のライブへのバトンが渡り、信頼しきったSPECTRAのフロアなので、非常にリラックスしてフロアの温度をキープできた。


来場者は過去一番に苦しかったものの、それを感じさせない盛り上がりが続き、大成功の内容で幕を閉じた。この日の東京は、テクノ激戦日ともいわれていた状況にもかかわらず、根強いSPECTRAファンが集結。レーベルに対するファンの信頼が証明された瞬間であり、オンリーワンのテクノレーベルとしての可能性を十分に感じ取れた。MAREAMのリリースツアーはまだまだこれから。是非ツアー日程をチェックして、会場で彼女のプレイと最新アルバムを楽しんでほしい。



撮影:Yoshia & Hajime Ishimaru
文:Hiroyuki Arakawa

◆ツアー日程

2/1 渋谷 club ASIA
2/22 長野 SONIC
3/1 (M3春)東京流通センター
3/7 静岡 dazzbar
3/14 大阪 art dining DOWN
4/4 北海道 PLASTIC THEATER
4/5 北海道 Riviera Chitose
4/25 新潟 TBA


◆MAREAM Twitter
◆SPECTRA オフィシャルサイト
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