編集PICK UP【ヒップホップ専門のインターネットラジオ局「WREP」】Zeebra&Mummy-D「第三研究室」のゲストはR-指定(2019年12月20日放送)

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ヒップホップ専門のインターネットラジオ局「WREP(レップ)」で、ZeebraとMummy-D(RHYMESTER)がパーソナリティを務める番組「第三研究室」が、毎月第三金曜日よる9時からレギュラー放送されている。 2019年10月にスタートしたこの番組では、ZeebraとMummy-Dがラッパーのラップテクニックを分析・解析。研究材料となるラッパーの楽曲にどのような魅力、面白味があるのか、リリック/フロウ/ライミングなど、さまざまな観点から深掘りしていく。2019年11月と12月の放送回では、ゲストにR-指定(Creepy Nuts)が2ヶ月連続で登場。12月の放送回ではCreepy Nuts「生業」についてトーク。さらにZeebraとRHYMESTERが影響を受けた海外曲が明かされた。

■ZeebraがCreepy Nuts 「生業」を研究材料に選んだ理由

Zeebra:今日もR-指定の話をグイグイと言っちゃおうかと思うんですけど、先月はMummy-Dさんチョイスの「どっち」という曲についていろいろ聞かせて頂いたんですけど、今日はワタクシのセレクションでコチラの曲についていろいろ聞かせてもらえたらなと思います。まずは今日の研究材料となるこの曲をかけてからR-指定をスタジオに呼び込みたいなと思っております。ということで聞いて頂きましょう。本日1曲目は、Creepy Nuts「生業」。


Mummy-D:(「生業」を選んだ)ポイントはどの辺ですか?

Zeebra:まずは、それこそ去年、レッドブルの企画で「64 Bars」っていうのをやらせて頂いたんです。64小節ラップをし倒すっていう。あの企画自体が業(ぎょう)みたいな企画で。64小節ラップをレコーディングするんですけど、そのレコーディングする様を全部録画されちゃうんですよ。

Mummy-D:失敗できないってこと?

Zeebra:そう。しかも、カメラの邪魔だから、歌詞カードを置いちゃいけないの。

Mummy-D:じゃあ、全部記憶してやらなきゃならないの?

Zeebra:全部覚えてやんなきゃいけないの。

R-指定:ライブと一緒ですよね。

Zeebra:そう、ライブと一緒。しかもやったことのない、リリースしたことのない、レコーディングしたことのない曲をいきなりやらなきゃいけないわけ。すごい業みたいなヤツで辛かったんですけど、とにかく、せっかく久々にね、俺ひとりでやるし。誰かをフィーチャリングじゃなくて。じゃあ、更新しねえと、と。

Mummy-D:自分のスキルを。

Zeebra:っていうことで、今風なスキルをいろいろ入れてやってみたんです。それをたまたまライブでやらせて頂いたら、現場が一緒だったんだよね、Creepyと。

R-指定:そう。

Zeebra:そのときにRがもう超スーパー絶賛してくれちゃって。だいぶ自信つきまして、僕も。

(中略)

Zeebra:もうRはスキル云々に関してもちゃんと自分で分析をした上でちゃんとできる人じゃないですか。

Mummy-D:そうです。

Zeebra:そういう人に誉められてすごいうれしかったんですけど、それと同時にRもとにかくいろんなことをやるから。だからわかるわけですよ、俺が何をやってるか。

Mummy-D:うんうん。そうだよね。

Zeebra:で、やっぱりRにはわかられちゃうんだなぁと思ったらですね、この「生業」ですよ。

R-指定:ふへへ。

Zeebra:来たよと。

Mummy-D:(ここまでは)まだ自分のことしか話してないから(笑)。

Zeebra:違う違う。俺をあくまで踏み台にしてるわけよ。俺のね、何十年かけてやってきたヤツ……まあ、プロップスはくれますよ。でも、そのあとにね、「生業」を出されて「うわぁ…」みたいなヤツ(笑)。そういうことかよって。

Mummy-D:あはは。

Zeebra:だってこれ、64小節なんですよ?

R-指定:いやいや、そうですけど。これは、そのレッドブルのイベント(2018年10月「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 64 BARS LIVE」)があったんですよ。その「64 Bars」の企画に参加してるMCも呼ばれて。参加してないけど、我々Creepy Nutsも呼ばれたんです。そのイベント用に64小節書き下ろしで、ダブルなしで、フックなしで、マイク1本で書いてくれっていうオーダーがあって。

Mummy-D:オーダーがあったんだ。

R-指定:そういう曲をもともと俺も松永さんもどっかで作りたいと思ってたら、作ってイベントに出てくれっていうオーダーが来たから。それまではあんまり自分らの曲でボースティングしてこなかったんですけど、一回、俺らの目線でボースティングしてみようとなって。俺もボースティングしたかったんで、バッとしたらこの感じになったというか。

Mummy-D:なるほどね。でも、これはRのいちばん最新型のスキルだなって俺は思ったのね。最初の「たりないふたり」のときからすごいんだけど。

Zeebra:そうそう!

Mummy-D:ラッパーが考えるこのテンポで、こういうトラックだったら、どんなことができるか?っていうことが全部入ってる。 


■Zeebraが「東京の中央」でヒントにした曲

Zeebra:ここからはR-指定に加わってもらって、こんな企画をお届けしようと思います。題して……「ZeebraとMummy-Dがネタにした曲を大公開!」。

R-指定:おーっと、これは素敵な企画(笑)。

Mummy-D:クリスマスだから、クリスマスプレゼントなんだって(笑)。全然意味がわからない。

R-指定:なるなるなる。ヘッズにはなんねん。

Mummy-D:なんで俺らがパクった曲がみなさんにとってクリスマスプレゼントになるのか(笑)。

Zeebra:全然よくわからないですけど(笑)。

R-指定:いや、これ聞いてギンギンに興奮するヘッズはたくさんいますから。

Zeebra:ということで、俺のソロのファーストとかに影響を与えたこんな曲を聞いてみたいと思います。Black Moonで「How Many MC’s」。


Zeebra:なんの曲の参考にしたか、みたいな話を今、曲がかかってる間にちょっとしてたんですけど、Rが当てたんですよ。

Mummy-D:そう。俺はね、わかんなかった。

Zeebra:さすがだなぁと思って。

R-指定:最初、「How Many MC’s」って言ったから、もしかしたら「フリースタイル・ダンジョン」かなと思ったんです。

Zeebra:いわゆるサッカーMC殺しみたいな。

R-指定:んで、違うって言われて。フロウだね、って言われて。で、ラップのフロウとトラックの雰囲気、あとフックに入ったときのスクラッチサビとヴァースの兼ね合いっていうのも含めて「これ、ジブさん、東京の中央っすか?」って言ったら「正解!」ってなったんですよ。

Zeebra:いやー、さすがだな。ちょっとね、俺、うれしい。

R-指定:じゃあ、「東京の中央」を……。

Zeebra:軽くかけますね。


Zeebra:Black Moonの何が好きかっていうと、ラップはもちろん上手いんですけど、ヒップホップのフレイバーの中にレゲエのフレイバーをすごい入れてくるんですよ。

Mummy-D:入ってたね。

Zeebra:それが上手い感じで混ざってて。自分が勝手に師匠と呼んでるKRSワンさんがレゲエとヒップホップのそういうのが上手かったんで、その延長線上にいるんだなっていうことで大好きだったんです。で、なにかっていうと、ラップの置くところ……(ラップの拍をかぞえながら)この曲はいちばん最後の言葉が4拍目に乗るパターンが多いんです。4拍に最後の語尾が乗るっていうのは意外とオールドスクールというか。

Mummy-D:いっちばん普通だよね。4拍目に来るのは。

Zeebra:そう。80年代ぐらいからあるいちばん普通の乗せ方なんだけど、そこにラガフレイバーで載せることによってスタイルの違いを見せるっていうのが彼らのスタイルかなと思って。特にBlack MoonのBuckshotのラップはそういうところがすごくあって。

Mummy-D:そうだね。ちょっと歌っぽい、節がついてるラップをするときがあるじゃん。(Black Moonの)「I Got Cha Opin」とかさ。(鼻歌で)♪タラララ、タラララ、ン、ン、ン♪とかやるじゃん。

Zeebra:その、♪ン、ン、ン♪が4拍なのよ。

Mummy-D:あ、そうかそうかそうか。

R-指定:ほんまや。

Zeebra:ケツが4拍に乗りがちなの。もうちょっと新しい時代のラップだったから、そこには行かなさそうなんだけど、そこに乗っけてくる。ひっくり返した素直さみたいな。そこにハマっちゃって、それをやってみたっていうのが、実はこの曲(「東京の中央」)なの。


■Mummy-Dが明かす禁断のネタバラシ

Zeebra:Mummy-Dさんのネタもバラしていただけないとなぁと。俺だけツラい思いをするのはアレですから。

Mummy-D:みなさんにね、クリスマスプレゼントでしょ? じゃあ、僕はね、すごいの出しちゃうよ。みんなにクリプレでしょ?

R-指定:クリプレ!

Mummy-D:じゃあ、俺のね、影響を受けて最初に作った曲は、「B-BOYイズム」という曲です(笑)。

R-指定:うぉー。おいおい。

Zeebra:マジか? そこの元ネタ来ちゃうの、ヤバっ!


Mummy-D:聞いて欲しいところはサビ。当時は90年代なんでテンポが遅かったのね。BPMが90くらいで遅かったんだけど、この曲は当時にしては結構早かったの。「B-BOYイズム」も90年代に出した曲なんだけど、すごいテンポの早い曲だったわけ。

Zeebra:はいはい

Mummy-D:昔はサビはスクラッチに任せちゃったり、サビのブロックのいちばん頭でひと言言って終わってたり。

Zeebra:曲名言って終わるみたいな。

Mummy-D:ただ連呼するだけっていうのが多かったんだけど、この曲はすごく流れていくの、言葉が、びゃーっと。そこに俺は影響を受けて「B-BOYイズム」のサビを書きましたっていう。だからサビを聞いて下さい。

Zeebra:ということで行ってみましょう。Royal Flushで「Niggas Night Out」


R-指定:これは、全然言われなわからない。

Zeebra:言われるとなんとなく「あぁ、そういうことなのかな」って片鱗に気がつくっていう。言われなかったら絶対わかんないよ、これ。

Mummy-D:♪決して譲れないぜ この美学 何者にも媚びず己を磨く♪……ほら、なんか似てんじゃん? 似てないかな? 似てない方がいいのか(笑)。

R-指定:それより思ったのは♪Tonight We gon’ get high♪が、♪見た 譲れない俺の美学♪ですよね。

Mummy-D:そこね!

Zeebra:はいはい。

Mummy-D:元の曲の方は(カウント取って)ワン、ツー、スリー、フォー、♪Tonight♪だから、1拍目に何も来てないんだよね。

Zeebra:さっき言ってた1拍待って乗る感じの、ちょっとレイドバックスタイルなんだね。

Mummy-D:そうそう。

Zeebra:そこを敢えて表で。

Mummy-D:そう。そこに影響を受けて、♪決して譲れないぜ この美学 何者にも媚びず己を磨く♪と言って、2回し目で同じ事をやるんだけど、♪見た 譲れない俺の美学♪って、一回止めるみたいな感じとかもちょっと影響を受けてる。あと、みんな気がついたかわからないけど、低い声と高い声のユニゾンになってるの。

Zeebra:二人でガーッと。

Mummy-D:うん。いわゆるヴァース的な結構詰め詰めのラップをユニゾーンでバーッと上下でやっていく、みたいなところに影響を受けたんだよね。

Zeebra:ライムスターはすごく始めの頃から、2MCとしてをそこをすごく研究していたなと思うよ。二人の声のマリアージュというか、そこがライムスのひとつ真骨頂でもあるなっていう気が俺はするね。

R-指定:Dさんがロウで、宇多さんがハイっていう。

Mummy-D:うん。結構ね、普通にラップすると意外と近いのね。宇多さんがちょっと高いんだけど。だからそこで、サビは宇多さんもうちょっと高めで、俺は普通に出すよりちょっと低めで、みたいな感じで。俺はベーシスト、宇多さんギタリストみたいな感じでユニゾンをつくるのが、いつもライムスターの作り方なので。それで参考にした。

(中略)

Zeebra:宇多さんとやるときに「ここ行って」みたいな、実際のピッチとかキーの話はするわけ?

Mummy-D:俺は、ひと晩、RHYMESTERの曲を聞きまくって、宇多丸という人はドレミファソラシドのどの辺りでラップをしているのか。俺はどの辺りでラップをしているのか、チェックしたのよ。

R-指定:すげえ。

Mummy-D:したら、ラッパーって、普通にスピットするラッパーは、ドの人だったらシとレくらいまでしかいけないの。ホントそのくらいちょっとしか(音程が)動かないの。で、宇多さんは「ド」の人なの。Cの人なの。

R-指定:ふんふん。

Mummy-D:で、俺はA。ラくらいの人なわけ

R-指定:すごいな。

Mummy-D:そういうので、大体この辺が美味しいな。この曲のサビだったらトップはここまでしか出ないからなとかがあるのよ。特に俺ら世代は、ここから上は出るけど出しちゃダメみたいなのがあるのよ。可愛くなっちゃうから出しちゃダメっていう。ところがR-指定は、なぜかわかんないけど、どこまででも出していい人になってるじゃん。

Zeebra:全部やっちゃうよね。

Mummy-D:あれがすごいなぁと思って。

R-指定:逆に俺はそれがないからなんですよ。いちばん美味しい部分が。ココ!ってのが自分でわからなかった。それが昔からラップやる上でコンプレックスやったんですよ。一緒に高校のときラップしてたのがKOPERU っていうヤツで。

Zeebra:はいはい。

R-指定:そいつが超特徴的な声をしてるんですよ。高い少年っぽい声。

Zeebra:そうだね。

R-指定:だからそれに俺が、曲とかライブで合わせられるように。この曲のときは俺が下行こうとか、逆にこの曲は俺が上行こうとか、空いた部分を埋めていってたらいろんな声を出すようになったというか。

Zeebra:じゃあ、KOPERUのおかげで器用になったっていう。

R-指定:そうなんですよ、広がりました。

Zeebra & Mummy-D「第三研究室」

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日本語ラップの先駆者、ZeebraとMummy-Dがリリック/フロウ/ライミングなどラッパーのラップテクニックを分析するWREP発のラップ研究プログラム
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