【インタビュー】上野優華「自分らしさを取り除いた1枚に」

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歌手として、女優として、多方面で活動を続けている上野優華。1998年生まれの彼女にとって、女子から女性に移り変わるタイミングで制作された『今夜あたしが泣いても』は、歌手・上野優華にとっても様々な変化を取り入れた作品となった。“SNSソングライター”というプロジェクトのもと制作した楽曲や、片想いや失恋をコンセプトにした泣ける楽曲を、奥華子、コレサワ、wacci・橋口洋平、D.W.ニコルズらが書き下ろし。それぞれの観点から上野の新たな魅力を引き出している。その渦中にいる上野は、いまいったいどんな気持ちを抱いているのだろうか。彼女の内面性と、新たなクリエイティブの観念を探ってみた。

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■音楽とSNSを融合

──“SNSソングライター”という前代未聞のプロジェクト、とても驚きまして。すごい勇気だなとも思いました。

上野:あははは! すごい気負って始めたプロジェクトというよりは自然とSNSが身近にあって毎日のように発信しているので、“こういうのめっちゃ面白いと思うんで、やってみてもいいですか?” “みんな良かったら協力してくれませんか?”って感じの気持ちからのスタートなんです。

──きっかけはフランクなんですね。

上野:そうですね。去年は自分がもともと好きなSNSやブログに力を入れるなかで、“もっとSNSで面白いことできないかな?”と思うようになって。それでいろんな方々と相談をして、音楽とSNSを融合させた“SNSソングライター”をやってみよう!ということになりました。とは言っても私たちもまだ手探りなところがあって。だからこそみんなといっしょに“SNSソングライター”というもの自体も作っていけたらいいなと。



──そのSNSソングライター企画第1弾として生まれた曲が、新作ミニアルバム『今夜あたしが泣いても』に収録されている「私の歌」であると。

上野:そうです。今回はTwitterやInstagram、LINEのアンケート機能を使ってタイトルや歌詞の一部を決める際に“このなかから選んでください”とお願いしてみました。聴いてくれる人も、自分の意見が加わって完成した曲って特別なものになるんじゃないかと思うので、歌は私が担当するから、みんなのアイディアをください、という気持ちです。

──なるほど。では今のところは上野さんがリスナーさんと音楽のハブになるというよりは、リスナーさんとみんなで音楽を作ろう、というスタンスなんですね。

上野:実際に「私の歌」を作ってみて、みんなが考えていることを知れたんですよね。3つのなかからなぜこれを選んだのか、理由を教えてくれたんです。それで“この人はこれがいいと思うからこう思ってんだ。意外だな”とか、絶対これでしょ!と思ってたものがそうでもなかったりとか。リスナーさんとの距離は近いタイプだと思ってたんですけど、それでもギャップはあるし、みんな考え方が違って当然だなとあらためて思って。自分がどう見られているのかも知れたし……とにかくすごくびっくりしたし面白い。こういうことがやりたかったんだなと思いました。


──感じた“ギャップ”や“違い”というのはたとえば?

上野:「私の歌」は上京の歌で、“優華ちゃんも若くして親御さんのところから離れて上京してとっても大変だったよね”みたいに、私のことをすごく考えて投票してくださった方々もたくさんいらっしゃって。そういう言葉をもらって、“上京して大変だと思ったことはなかったけど、毎日必死だったし、もしかしたらつらくて大変だったのかもしれない!”と気付かせてもらったりして。私以上に私のことを考えてくれる人たちがこんなにいるんだなあという感動がありました。SNSのアンケート機能みたいに簡単に投票できるものに、ここまで真剣に考えてくれるなんて、ほんまありがとう……!って気持ちです。

──それは嬉しいですよね。ただ、上野さんは上京をそこまで重く捉えてなかったことが意外でした。

上野:中学3年でオーディションに合格して、高校生の時は徳島から東京に通って、卒業後に“いい機会だしひとりで行ってくるか!”くらいの気持ちだったし、親も“行くんだったら行って来たら〜?”ってタイプなんです(笑)。だから“東京で一旗揚げるぞ!”とか“ああ、故郷に帰りたい……”みたいな気持ちは何もなかった。でも今思い返してみると、上京直後は毎日のようにお仕事をさせてもらっていたので、寂しさや不安を感じる余裕もなかったのかも──とみんなの言葉で気付けた感じがしてますね。


──では上野さん自身は「私の歌」の主人公の気持ちと重なるところもあれば、ズレるところもある?

上野:まるっきし私のエピソードでないところが、この曲の魅力ですね。いろんな人が参加したことで生まれた曲なので、その人それぞれの“私の歌”になるように作りたくて。まったくわからないことは歌えない。でもあの人の想いもこの人の想いも歌いたい。そういう要素がすごく詰まった曲になりました。私も地元は好きですし、帰ると“やっぱりええな〜”と思うんですけど、やっぱり自分が自分であるために東京に出てきたから。だからこそ東京で頑張っていきたい。上京した人はみんなそういう気持ちを持っていると思うんですよね。

──“自分が自分であるために東京に出てきた”。名言ですね。

上野:あははは! やっぱり自由に生きていきたくて。もともとすごく人見知りで、内気でネガティブだったし、歌うことは大好きだけど恥ずかしいなと思っていたんです。でもそれって、地元や実家の安心感に甘えてた部分がある気がして。東京は誰にも頼れないというわけではないけど、ひとりだからこそ“こうしていかなきゃダメだ”とよく考えるんだと思うし、昔からの自分を知っている人がいないぶん、どんな自分になりたいかを自分で選択できる場所だと思う。自分でいっぱい悩んで、考えて、“明日はこう生きる”と全部自分で決められる。そのおかげですごくいい自分になれた。私にとって東京はそういう街ですね。

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