プロデューサーのボブ・ロック、メタリカとの共作の始まりを語る

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『Metallica』(1991年)に始まり、『Load』(1996年)、『Reload』(1997年)、『St. Anger』(2003年)と続けてメタリカのアルバムをプロデュースしたボブ・ロックが、彼らとコラボするようになった経緯を語った。

◆『Metallica』画像

ロックは、彼が初めて手掛けることになったアルバム『Metallica(通称ブラック・アルバム)』の前作『...And Justice for All』に違和感を覚えていたそうだ。Gibson TVの『Icons』シリーズでこう話した。

「(ロックがアルバム『Sonic Temple』をプロデュースした)ザ・カルトが、メタリカの<Justice>ツアーでオープニングを務め、僕は『Justice』アルバムを買ったんだ。MTVで流れた“One”が好きだったからね。で、アルバムを聴いたんだけど、ボトムエンドが全くなかった。“へえ、これはちょっと興味深い”って思ったよ。とにかく、ザ・カルトを観に行き、メタリカも観たんだ。そうしたら、僕が実際目にしたメタリカは『Justice』のサウンドとは別物だった。重量もサイズもあるビッグなバンドだった。あのアルバムは、僕にしたら、つじつまが合わなかった。あれをスタンダードだと思う人が多いのは知っているが、僕はここでは正直な意見を言っておく」

ザ・カルト/メタリカの公演を観たすぐあと、メタリカのメンバーはロックがプロデュースしたモトリー・クルーの『Dr. Feelgood』(1989年)を気に入っており、彼に次のアルバムをミックスして欲しいとのオファーがあったそうだ。そのとき、ロックはミキシングには興味がない、プロデュースしたいと答えたという。

「彼ら、バンクーバーに飛んできて、僕ら、ミーティングを開いたんだ。彼らはカセットデッキを持参し、デモをかけた。僕はそれを聴き、“おお! ワオ!”って思った。全てがそこにあった。あのテンポ……。頭の中で、“これは行ける。僕は、これを素晴らしいアルバムにできる”って考えてた」

こうして、メタリカとロックの10年以上にわたるコラボレーションがスタートした。

ロックは、メタリカについて「メタリカの素晴らしいところは、彼らは決断を下すと、それに全力を尽くす」「ラーズ(・ウルリッヒ)とジェイムズ(・ヘットフィールド)はぶつかることもあるが、それは素晴らしいバンドにはあることだ。スティーヴン・タイラーとジョー・ペリー、ミック・ジャガーとキース・リチャーズ、ポール・マッカートニーとジョン・レノン……いつだって起きてきたことだよ。ラーズのヴィジョンがあり、ジェイムズのヴィジョンがあり、それがブラック・アルバムを生み出した」と話した。

メタリカとロックのコラボレーションは『St. Anger』が最後となった。同作を制作中、メタリカの一部ファンは、サウンドにおいてロックの影響力が大き過ぎると考え、ロックを降ろそうと署名運動を興した。これについて、ロックは以前、「あの批判は僕の子供たちを傷つけた。状況を理解していなかったからね。素晴らしいコーチがいても、チームが負け続けるときはあるよ。新たな活力が必要なんだ」と話していた。

Ako Suzuki
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