【ライブレポート】鈴木桃子、“渋谷系揃い踏み”なデビュー30周年記念ライブ

ツイート

鈴木桃子(ex.COSA NOSTRA)が去る2020年2月10日(月)、東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにてデビュー30周年を記念したワンマン・ライブ<Momoko Suzuki 30th Anniversary Special Live ~Premium Peach Party!~>を開催した。

◆<Premium Peach Party!> 画像

同公演には、ゲストにCOSA NOSTRAの盟友・小田玲子と佐々木潤、さらに野宮真貴(ex.ピチカート・ファイヴ)が登場。“渋谷系揃い踏み”のスペシャルな顔ぶれと共に、アニバーサリーに相応しいプレミアムでプレシャスなライブとなった。

オープニングはとびきりポップで胸弾むソロ楽曲「Friends&Lovers」。桃子が満開の笑顔で登場すると、場内は瞬時にハッピーなオーラに包まれる。前回公演のベスト盤リリースライブと同じ、盤石のバックミュージシャンに加え、今回はゆうき&たろう(ダイナマイトしゃかりきサ~カス)によるコーラス陣を迎えたことで、より華やかかつ洗練されたサウンドが実に心地良い。

「お久しぶりー、会いたかったよ!」の言葉と共に次曲「Marmalade」へ。心躍るポップチューンの連投に、オーディエンスはハンドクラップと共に着席スタイルをものともせず身体を揺らしている。


曲明けには、規模を大きくしてのホール公演を迎えられた感謝の気持ちを述べ、メンバー紹介を経て、「With Your Kisses」「Angel Blue」「So Happy」と歴代の珠玉のラブソングを披露。彼女が各時代に紡いできたこれらの楽曲達を並べて堪能すると、傑出したシンガーでありながら、非常に優れたソングライターでもある事を改めて思い知る。

とりわけ「So Happy」は二十歳の頃に書いたとは思えぬ渋さと風格漂うブルージーなバラードだが、当時の彼女自身がこの先も長い年月を掛けて歌い続けていく事を予見していたかのように、今の彼女にしっくり来るのだ。

続くMCでは“鈴木桃子ヒストリー”と題して、彼女が歌い始めたきっかけから現在までを振り返る貴重なエピソードを展開。有名広告代理店でのOL兼業シンガー時代や、COSA NOSTRA加入秘話などを笑いを交えつつ語る。「自分は良い人に恵まれる才能がある」──周囲への感謝と共に、鈴木桃子そのものを表すその一言が印象的だった。


続いて彼女のキャリアの上で欠かせない側面のひとつ、旧姓・北代桃子名義で発表した、アニメ『シティーハンター』挿入歌の「FOOTSTEPS」を披露。2019年に劇場版、及び実写版フランス映画が公開、リバイバル大ヒットを果たした際に同曲が30年超を経て再起用された、言わば“奇跡の1曲”で、この曲を目当てに足を運んだ多くのファンは歓喜に溢れていた。

ここからはゲストコーナー。ひとり目にはCOSA NOSTRA時代の盟友・佐々木潤が登場。DJセットとのセッションで、ふたりが手掛けたコーザのチルアウトな名チューン「Be Yourself」では場内がスタンディングとなり、メロウなグルーヴに酔いしれワイパーが沸き起こる。

そして“これからふたりで新ユニット始動”を宣言し、その名義が「Visible Tangible Love」となることを発表。初披露となる第一弾楽曲「Cosmic Angel」はビター&スウィートかつスタイリッシュなハウス・チューンで、その煌めく近未来感に、今後の新展開への期待が募る。


ふたり目のゲストには、「長年尊敬する“クイーン・オブ・渋谷系”!」という桃子の呼びかけによって野宮真貴が登場。桃子はコーラス参加や英詞提供などでピチカート・ファイヴと関わりがあったものの、野宮とステージで共演するのは今回が初となった。

ふたりは、ハーモニーが実に好相性な「きみみたいにきれいな女の子」、弾けるポップに胸が高鳴る「ハッピー・サッド」を披露。野宮の艶やかな佇まいと凛としたその歌は眼福そのもので、念願の共演に桃子自身も嬉しそうだが、オーディエンスからも長い長い幸せな溜息がこぼれていた。

さらに3人目のゲストが登場。「私のソウルメイト」と呼び込まれたのは、COSA NOSTRAでツイン・ボーカルのパートナーを務めていた小田玲子だ。彼女は、9カ月前に行われたベスト盤リリース・ライブでの久々の共演が大好評を博し、各所からの熱いリクエストに応えての再登場となった。

ここでは、コーザのナンバー「Springtime Kiss」「Sweet Child」と、ふたりのボーカルがひときわ光る楽曲を披露。桃子・玲子が揃ってステージに並ぶ光景はノスタルジーに終始せず、音楽と共に今をポジティブに美しく生きるふたりは実に眩く、歌に新たな息吹をもたらして響いてくる。


次に「レコーディングではスカパラ・ホーンズが参加してくれたけど、今日は違うホーンズを呼びました、ノストラ・ホーンズ!」……と呼び込みしたかと思わせて、おもむろに桃子・玲子が取り出したのは、かつてコーザのライブでたびたび見せていた楽器・カズー。「心のきれいな人にはこれがトランペット、トロンボーンに聴こえるはず」と笑いを誘って「Communication」へ。続くライブ映えするスーパーポップなキラー・チューン「Let’s Sing and Dance」で熱気と高揚がみるみると帯びていく。


「もっとCOSA NOSTRAの曲、聴きたいー?」という桃子の声掛けに客席から大きなリアクションが返ると「Girl Talk」へ。CMソングに起用され、FM局を席巻したコーザの代表的ナンバー。観客も“Never gonna fall in love”のフレーズを共に口ずさみ、一体感がさらに増していく。極めつけは「Living For Tomorrow」、コーザ随一のロック・チューンは腰に来るグルーヴと合わせ、クールに変幻する桃子・玲子のステージングが魅惑的だ。アウトロではコーザのライブでのお約束、「Peace, Unity, Love!」の合言葉で最高潮の盛り上がりを見せ本編を終えた。

アンコールで、桃子は改めて感謝とこれからの想いを語り、「笑顔でいられたら大抵のことは乗り越えられる」と、闘病を経て見事復活を遂げた彼女ならではの胸に響くひとことを述べ、「Share Your Love」を披露。COSA NOSTRAの象徴的楽曲のひとつであるこの詞とメロディーは、今この時代にこそ共感したい、人々の心を豊かにする普遍的なメッセージだ。そして「ずっと歌を届け続ける」という桃子自身の意志を強く感じさせる気高さを備えた堂々の歌いっぷりであった。

オーラスはゲスト全員を呼び込み「Jolie」を披露。客席は総立ちとなり、シンガロングで多幸感に満ちた光景が広がる中、笑顔と胸いっぱいの愛と最高の音楽に溢れた一夜が幕を閉じた。


桃子は今後、4月10日(金)東京・代官山LOOPにて、ZOOCOや国岡真由美と共に、90年代音楽をフィーチャーしたライブイベント<FLASH BACK 90’s Vol.2>に出演する。

さらに、COSA NOSTRA作品群のサブスクリプション配信、及びアナログリリース決定がアナウンスされている。リリース時期は追って決まり次第の発表だが、これを機に玲子と共にCOSA NOSTRAを歌う機会が増えそうな予感に期待が高まるばかりだ。

文◎上田優子
写真◎石郷友仁

■<Momoko Suzuki 30th Anniversary Special Live ~Premium Peach Party!~>

2020年2月10日(月)
東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

[メンバー]
鈴木桃子(Vo)、河野伸(Key)、高田真(Dr)、大神田智彦(B)、石成正人(G)、坂井“Lambsy”秀彰(Per)、ゆうき&たろう(Cho/ダイナマイトしゃかりきサ~カス)

[スペシャル・ゲスト]
野宮真貴(ex.ピチカート・ファイヴ)小田玲子(ex.COSA NOSTRA)佐々木潤 (ex.COSA NOSTRA)

[セットリスト]
M-1 Friends&Lovers
M-2 Marmalade
M-3 With Your Kisses
M-4 Angel Blue
M-5 So Happy
M-6 FOOTSTEPS
M-7 Be Yourself
M-8 Cosmic Angel
M-9 きみみたいにきれいな女の子
M-10 Happy Sad
M-11 Springtime Kiss
M-12 Sweet Child
M-13 Communication
M-14 Let’s Sing and Dance
M-15 Girl Talk
M-16 Living For Tommorow
Encore1 Share Your Love
Encore2 Jolie

◆鈴木桃子オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報