Uru、切なく悲しく透明であたたかくゆっくりと心を癒やす音楽のかたち

ツイート

あなたがUruを知ったのはいつのことだろう。2013年から始まった、YouTubeでのカバーソング期。2016年6月のデビューシングル「星の中の君」以降のメジャーレーベル期。YouTubeで2000万再生を突破した2018年12月リリースのドラマ『中学聖日記』主題歌「プロローグ」から始まるブレイク期。詳しいプロフィールは明かさずメディアにもほぼ出ないが、タイアップの依頼は引きも切らず、年間に限られた本数しか行われないライブは常に満員、その美しい歌声に魅せられたリスナーがどんどん増えてゆく。歌の力だけがすべてを動かす、ある意味それは最も幸福な音楽のかたち。

およそ7年前、カバー動画をアップしていた頃のUruの歌は、今もYouTubeのオフィシャルチャンネルで聴くことができる。小さな部屋、マイクが1本、顔半分だけ見切れたUruの姿という、統一されたシンプルなフォーマット。カバーするのは中島みゆき、kiroro、宇多田ヒカルといった女性アーティストから、スピッツ、サザンオールスターズ、レミオロメンなど男性バンドのスタンダード、そしスキマスイッチ、back number、ONE OK ROCK、SEKAI NO OWARIなど、近年のヒット曲を網羅した、さながらUruによるJ-POP史といったものになっている。今聴いても、歌声とピアノ1本というミニマムな編成ながら自身の歌にする表現力に驚かされる。

女性アーティストのカバー動画といえば、ナキウタやセツナウタ、あるいはボカロやアニソンといった傾向が多かった当時のシーンの中で、男女の別なく「まっとうなJ-POP」を歌うUruの姿はそれだけで新鮮だった。しかもあのエアリーな浮遊感覚と心の琴線にそっと触れるような、かすかに震えるエモーショナルな透明な歌声。予備知識なく、ふと偶然彼女の歌に出会った人はきっと「見つけた」と思ったに違いない。それほど、彼女の歌声には強い吸引力があった。

個人的に、Uruの存在を知ったのはメジャーデビュー直後の2016年夏。二度ほどインタビューの機会があったが、歌声の印象そのままの清楚、柔和、気配り、沈思、繊細といった表現がよく似合う物腰の柔らかい美しい女性だった。バラードが得意なイメージがあるが、普段あまりバラードは聴かないという話や、雨の日や晴れの日や、その日の気分によって書く曲のイメージが変わるという話に「ほおー」と思ったり。彼女の歌に風景描写が多いのも、タイアップ曲の世界観ときれいにマッチした曲が多いのも、音楽の中に感性や風景が溶け込んでいるからかなと思ったり。Uruを聴くことは、Uruを包む世界を丸ごと感じることかな、と思ったりしている。

Uruのタイアップ曲の変遷は、デビューシングル「星の中の君」(映画『夏美のホタル』主題歌)から始まる。ホタル舞う山里、交錯する人間模様、生と死、過去と未来といった映画のテーマに、ピアノとストリングスのシンプルなアレンジによる、はかない透明感溢れるバラードはぴったりだった。サードシングルになった、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第二期エンディングテーマ「フリージア」は、よりスケールは大きく、希望のメッセージを力強く伝えるスタイルがハマっていた。「しあわせの詩」はドラマ『フランケンシュタインの恋』挿入歌、そして「奇蹟」は『コウノドリ 命についてのすべてのこと』主題歌で、ピアノと歌だけの導入から、スローテンポながらしっかりとしたグルーヴを持つバンドの支えを受けた、王道ミドルバラードへの展開が見事だった。

快進撃は続く。『劇場版 夏目友人帳~うつせみに結ぶ~』の主題歌「remember」のヒットを受け、ドラマ『中学聖日記』主題歌になった7thシングル「プロローグ」で、Uruの歌はさらに大きな広がりを見せる。中学校教師と男子中学生の禁断の恋というテーマで話題をさらったこのドラマ、主役を演じた有村架純は、くしくも映画『夏美のホタル』の主演でもあった。静かなギターの導入部から、エモーショナルに盛り上がるサビの激情へ。「どうして出会ってしまったの」という切ないフレーズが、ドラマのストーリーと密接に絡み合う。ドラマが終わって1年以上、いまだに再生数が伸び続けている、この曲をきっかけにUruにハマったリスナーもきっと多いだろう。


8thシングル「願い」は、アニメ『グランベルム』エンディングテーマ。魔法、ロボット、戦闘、少女の成長物語、様々な要素が交錯するストーリーと、生音と打ち込みを絶妙にクロスさせた、じわじわと熱気高まるミドルバラードとの相性がいい。そして最新曲、2月9日に配信リリースされた「あなたがいることで」は、竹内涼真主演ドラマ『テセウスの船』主題歌。アレンジは小林武史。「オーセンティックな真のバラードの名曲ができたのではないか」と、小林自らコメントを寄せているように、ピアノのシンセのたおやかなイントロ、リズムとストリングスを配したサビ、切なさとぬくもりを両立させるメロディ。あなたがいることで、どんな明日も、歩いていける光になると、けなげなほどにまっすぐに歌われる歌詞。確かにこれは、Uruのリスナーをさらに広げるだろう、オーセンティックな真のバラードの名曲だ。


その「あなたがいることで」をはじめ、「remember」「プロローグ」「願い」、アニメ『グランベルム』挿入歌「Scenery」のタイアップ5曲を含む、2年3か月ぶりのセカンドアルバム。それが3月18日にリリースされる『オリオンブルー』だ。前作の『モノクローム』というタイトルは、YouTubeのカバー動画をモノクロ映像で配信してきたことに由来し、「私がそこから始まりました」という意味を込めたものだと、当時彼女は話してくれた。あれから2年が経ち、美しく色づいた楽曲たちが収められたアルバムが、この『オリオンブルー』ということになる。ちなみに、オリオンブルーは実在する色の名前で、緑がかった明るい青のこと。前作よりも輝きと広がりを増したUruの世界に、ぴったりのカラーリングと言っていい。

既発の5曲のほかには、王道あり挑戦あり、聴きごたえのある曲がずらり揃った。たとえば、アレンジャーのKan Sanoが手掛けた「space in the space」は、現代的なR&Bの要素を濃厚に持つ、ストイックなビートとスペイシーな音作りがクールな1曲。オリガミ・プロダクションのShingo Suzukiの編曲による「marry」は、生音サンプリングによる独特のグルーヴ感がかっこいい。「Marry」=結婚をテーマにしたストレートな求愛ソングは、切ない系が多かったUruの楽曲の中にあって、ひときわハッピーさが際立つ。そして最も新機軸といえば「Don’t be afraid」。陽気な掛け声の入った明るくはずむ曲調、ファンキーなギターとピアノ、クラップのにぎやかな競演が、これまでにない新しい世界を切り拓く。ライブで盛り上がること間違いなしの、文句なしに楽しい1曲だ。


▲New Album『オリオンブルー』【初回生産限定盤(映像盤)】


▲New Album『オリオンブルー』【初回生産限定盤(カバー盤)】


▲New Album『オリオンブルー』【通常盤】

もちろん、Uruらしい王道バラードもしっかり入っている。「今、逢いに行く」「横顔」といった切ないバラードの豊かな表現力は、以前にも増して陰影が濃い。ちなみにもう1曲、「Special Track」として収録される、SawanoHiroyuki[nZk]:Uru名義の「Binary Star」(アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These邂逅」オープニングテーマ)も、スケールの大きさを極めたドラマチックな王道バラード。作品の世界観と連動して、より大きな世界を作り上げることに成功している。

アルバムは、通常盤、初回生産限定盤A(映像盤)、初回生産限定盤B(カバー盤)の3形態でリリースされる。限定盤Aには「プロローグ」「願い」「あなたがいることで」のミュージック・ビデオ3曲と、昨年3月のTOKYO DOME CITY HALLでのライブ映像を10曲収録したDVDが付き、限定盤Bには、「白日」(King Gnu)、「雪の華」(中島美嘉)、そしてアクエリアスTV CM曲「Funny Bunny」(the pillows)など、話題のカバーを8曲収録。すべてチェックすれば、ソングライターとして、ライブパフォーマーとして、シンガーとして、それぞれに進化を続けるUruの姿を一望することができる。

アルバムリリース後のツアーについては、オフィシャルHPを随時チェックしてほしい。過去のライブはすべて即日完売だ。デビュー4年、YouTubeチャンネルの総再生は今年1月に一億四千万回を超えた。新時代の歌姫、Uruを求める声はますます高まる。『オリオンブルー』はさらなる飛躍の第一歩になるだろう。切なく、悲しく、透明で、あたたかく、ゆっくりと心癒やす、Uruの世界へようこそ。

文●宮本英夫

■New Album『オリオンブルー』

2020年3月18日発売
初回生産限定盤(映像盤) [CD+BD] AICL-3840?1 \5,000(税込)
初回生産限定盤(カバー盤) [CD+CD] AICL-3842?3 \4,000(税込)
※初回盤三方背BOX仕様
通常盤 [CD] AICL-3844 \3,000(税込)

【共通収録曲】
[CD]
1. プロローグ 作詞・作曲:Uru 編曲:トオミヨウ
2. 今 逢いに行く 作詞・作曲:Uru 編曲:トオミヨウ
3. あなたがいることで 作詞・作曲:Uru 編曲:小林武史
4. space in the space 作詞・作曲:Uru 編曲:Kan Sano
5. marry 作詞・作曲:Uru 編曲:Shingo Suzuki
6. 願い 作詞:Uru 作曲:H.Aoba / N.Sasaki 編曲:佐々木 望
7. Don't be afraid 作詞・作曲:Hidenori 編曲:渡辺シュンスケ
8. 頑な 作詞・作曲:Uru 編曲:トオミヨウ
9. いい女 作詞・作曲:Uru 編曲:宗本康兵
10. PUZZLE 作詞・作曲:Uru 編曲:Kan Sano
11. Scenery 作詞・作曲:Uru 編曲:rionos
12. 横顔 作詞・作曲:Hidenori 編曲:橋本幸太
13. remember 作詞・作曲:Uru 編曲:トオミヨウ
Special Track
Binary Star / SawanoHiroyuki[nZk]:Uru 作曲:澤野弘之 作詞:Benjamin & mpi 編曲:澤野弘之

初回映像盤A(映像盤) [CD+BD]
シングル3曲のMUSIC VIDEO+TOKYO DOME CITY HALLのライブ10曲を収録

<MUSIC VIDEO>
1. プロローグ
2. 願い
3. あなたがいることで
<Uru Live「 T.T.T 」@東京・TOKYO DOME CITY HALL>
1.The last rain
2.いい男
3.ごめんね。
4.君を忘れない(松山千春)
5.remember
6.アリアケノツキ
7.娘より
8.プロローグ
9.フリージア
10.奇蹟

初回限定盤B(カバー盤) [CD+CD]
新曲カバーを含む8曲を収録

1. 3月9日(レミオロメン)
2. カムフラージュ(竹内まりや)
3. 白日(King Gnu)
4. このまま君だけを奪い去りたい(DEEN)
5. Funny Bunny(the pillows)
6. Pretender(Official髭男dism)
7. 若者のすべて(フジファブリック)
8. 雪の華(中島美嘉)

ライブ・イベント情報

<Uru tour 2020 「Orion Blue」>
2020年4月12日(日) NHK 大阪ホール 開場16:45 開演17:30
<追加公演>
2020年4月25日(土) 人見記念講堂 開場17:00 開演18:00
<振替公演>2020年5月2日(土) 愛知 名古屋市公会堂 開場16:45 開演17:30
特設サイト:https://uru-official.com/feature/live_2020

<Uru Live「Precious One day ~Uru-u Year 2020~」>
振替公演
2020年5月8日(金)中野サンプラザ 開場18:00 開演19:00
この記事をツイート

この記事の関連情報