【インタビュー】ナノ「ベストアルバムは未来の自分につなげるためのマイルストーン」

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■音楽を通してボーダレスにいろんな人をつなぎたい
■音楽で人と人がつながっていくことはまだまだできると思っている


――お話を聞いていると、ナノさんの中にある、自分に負けないとか、ここで戦っていくんだっていう闘志みたいなものも感じるのですが、それは子供の頃から変わらない部分だったりしますか?

ナノ:小さい時から負けず嫌いだし頑固でしたね(笑)。これをナルシストという人がいるかもしれませんが、自分への期待度というのがとにかく高いんですよ。自分はできるはずっていう期待のレベルは天。限界がない(笑)。テストなんかでは1位以下だったら大泣きしていましたからね。1位以外は負けだと思ってきましたから。

――そうなんですか!

ナノ:1位じゃなきゃヤダ!みたいなわがままじゃないんですよ。自分よりも上に行けた人がいるということは、自分ももっと努力をすればそこに行けたはずだって考えるんです。つまり自分に負けたんだって。そう、誰かに勝ちたいんじゃなくて自分に勝ちたいってずっと思ってきたんですよね。プライドとかじゃなく、自分に負けたってことが大嫌いなんです。でも人間ですから、常に1位なんて不可能じゃないですか。その辛さも味わったけど、そういうことも受け入れていかなくちゃいけないんだって大人になってわかったし、それ以外で勝てることもあるんだって思えるようにもなりました。自分に勝つことは、数字とか地位だけじゃないんだなって。

――音楽活動を通して学んだ部分も大きいですか。

ナノ:大きいです。音楽が人生における学びを全て教えてくれましたね。

――ナノさんはニューヨーク出身ですが、どうして日本で音楽活動をしたいと思ったんですか?

ナノ:アメリカにいるときから、人を楽しませることが大好きだったんです。家の中でも学校でも、ナノ劇場って言えるくらいのエンターテインメント状態(笑)。常に人を笑わせたい、盛り上げたいっていう性格だったから、歌ったり、踊ったり、アツく語ったりしていました。演劇とかコーラスもやりましたね。だから必然的にそういう職業につくんだろうなとは思っていましたが、アメリカのエンターテインメント業界ってすごく大人だなと思っていたんですよ。いわゆるハリウッドみたいな。でも日本のエンターテイメントは、大人でも子供でも楽しめて華やかさもすごくある。日本は子供の頃から大好きでしょっちゅう遊びにきていたんですが、入れ替わりが激しくていろんな情報がある日本のエンターテインメントに夢中になったんです。小学生の時から、日本でエンターテインメントをやりたいっていう気持ちが芽生えていましたね。

――そんな頃から。

ナノ:まさか今のような形でやるとは思っていませんでしたけどね。周りの子は結構アメリカに染まっているというか、モデルのすみれさんのような雰囲気の人が多かったけど、自分は全然そうじゃなくて。性格も日本人だし、和食が大好きだったからどこか居心地が悪かったっていうのもあるかもしれないです。自分のアイデンティティーが常に喪失していたような感もあったので、日本に来るたびに、小さい時からどこか虚しかった部分が埋められていたのかもしれないですね。もちろんアメリカも大好きですけど。


――じゃあ今こんな風に日本のアニメの主題歌を歌って、海外の方にもたくさん届いているというのは…。

ナノ:もう本当に理想的なことです。日本にいるのに海外の人たちとコネクトできているわけですからね。音楽がなかったら、叶えられなかったこと。音楽は大好きなものだし、人と人をつないでくれる魔法のようなものでもあるけど、自分にとっては苦しいこともたくさんあります。影がなかったら光の良さもないと思っているので、自分はこれからもそこと向き合っていくんだろうし、8年経ってやっと、そこと戦っていく覚悟もできたような気がしています。

――この先、海外での活動ももっと広げていきたいとお考えですか?

ナノ:そうですね。今までの8年間は自分に精一杯過ぎて、正直そこまで考えられていなかったりもするんですよ。ただただ与えられたものを精一杯やって、納得させられるようにやるだけでいっぱいいっぱいだったというか。でもこのベストアルバムのタイミングで一旦息を整えることができたし、これからの自分を見つめることもできたんですね。もちろん日本でも活動していきたいですが、そもそも自分が音楽を始めたのは、音楽を通してボーダレスにいろんな人をつなぎたいということなので、国内だけに留まっていてはできないことだと思うんです。音楽で人と人がつながっていくっていう感覚はもっと欲しいし、まだまだできると思っている。しかもこれからはそれがやりやすい時代になっていくと思うから、ボーダレスに活動していくためのパーフェクト・チャンス、この波に乗らないわけにはいかないって思っています。

――音楽で繋がるというのは、ナノさんの活動の初期から始まっていましたよね。ずいぶん早い時期に、YouTubeでボーカロイドの人気曲「モザイクロール」を英訳して歌われていて。

ナノ:そこなんですよね。結局自分がなぜボカロ曲をやり始めたかというと、当時の歌い手さんというかボカロ曲をカバーしていた人達は、日本国内の人たちに聴かせるためにやっていたんですね。こんなにも個性的で、今までのJ-POPにない新時代の曲だなって思うものも増えてきているのに、このまま日本語で歌っていてもこの曲の良さは海外の人には伝わらないなと思ったんです。まだ海外にはない、日本ならではの素晴らしい要素なのに。曲の良さは雰囲気で伝わっても、歌詞の意味とか深さは伝わらないよなって思って、じゃあこの曲の良さを100%伝えたいって思ったから始めたんです。だから、日本人に向けて出していたわけじゃないんですよね。

――ところが蓋を開けてみると。

ナノ:日本の人がいっぱい聴いてくれて、驚きました。海外の人からのコメントは期待していたけど、あんなに日本のコメントが届くとは思っていなかったし、「え?みんなこういうのに興味あるの?」って、嬉しい誤算というか、何だか逆輸入みたいなことになってびっくりでした。自分が思っている以上に、日本人って海外にも関心を持っているんだっていうこともわかりましたし。今でこそDA PUMPの「USA」や(ピコ太郎の)「PPAP」が全世界で受け入れられたりしていますが、当時は全然でしたからね。SNSも今ほどではなかったから日本と海外っていう境界線がすごくはっきりしていた。その中で自分がそういう経験をできたことは、すごく嬉しいことでした。


――日本とアメリカ、両方の感覚を持っている強みでもあるでしょうね。

ナノ:最初の頃は力不足でしたけどね。自分が感じていることとアウトプットしているものが、ちゃんと一致していなかったんですよ。実力的に全然追いついていないから、すごく虚しい時期も続きました。今ももっと成長したいし進化したいと思っていますが、その当時に比べたら、やりたいと思うことを形にできる自信はあります。だからこのベストアルバムの先は、そのステップが来るんだなって思っているんですよ。今まで修行してきたことを形にして、行動に移していくんだなって。

――約3年ぶりとなる全国ツアーも、その一つですね。

ナノ:はい。自分を奮い立たせる機会でもありますし、自分自身に向き合って挑んでいくチャンスでもあるなと思っています。3年前はまだ意識できていなかったこともたくさんあったんですが、今回はしっかりと意識してステージに立ちたいなと思っています。自分の足で。

――ナノさんにとって、ステージこそが生きやすい場所だったりもしますか?

ナノ:一番大好きな場所です。一番苦しい場所でもあるし、一番悔しい思いをした場所でもあるけど、やっぱり一番大好きなんですよね。一度に実際接することができる人数は限られているけど、一番リアルなつながりを持てる場所だと思うんですよ。「イエイ!」と言ったらラグなく「イエイ!」って返ってくる。どんなに時代が進化しても、生の感覚や生のやりとりというのは変わりませんからね。CDなど音源はどんどん形を変えていくと思うし、ライブだって実際の会場にいなくても楽しめるとか、見せ方は変化していくと思うけど、本質的な部分はどんなに時代が進化しても変わらないと思うんです。見せ方がどう変わろうと、ステージに立つのは実際の自分しかいない。その一人を見てくれる人が多ければ多いほど、世界はその瞬間つながっているっていう証拠でもあると思うんですよね。だからナノ自身、これからもずっと大切にしていきたいと思っています。

――ナノさんのライブを楽しみにしている方はたくさんいらっしゃると思いますが、一番楽しみにしているのはナノさん自身なのでは?

ナノ:そうかもしれないですね(笑)。でも本当の意味で楽しむのは本番だけで、それまでは楽しんじゃいけない気がするんですよね。楽しんじゃった瞬間にもう力を抜いているというか、ちょっと甘く考えちゃっているような気もしてしまうから。今の自分は前よりも強くなりましたから、本番までは苦しいの連続でいいと思ってます。

――どこまでもストイックですね。

ナノ:ちょっとカッコつけて言ってますけどね(笑)。でもそれが口先だけにならないように、努力しないといけないなと思います。有言実行ですよ。ナノは死んでもステージに立つ!それくらいの覚悟です(笑)。こうやって自分自身でハードルを上げて、喝を入れて、死ぬ気で本番に臨むつもりです。全力で挑みますので、ぜひ期待していてください。

取材・文●山田邦子


リリース情報

BEST ALBUM『I』
2020年3月18日発売
VTCL-60519 \3,500+tax POS:4582575380542
■Disc-1
1. Now or Never (TVアニメ『ファイ・ブレイン 神のパズル』第2シリーズオープニングテーマ)
2. No pain, No game (TVアニメ『BTOOOM!』オープニングテーマ)
3. SAVIOR OF SONG (TVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』オープニングテーマ)
4. Born to be (TVアニメ『魔法戦争』エンディングテーマ)
5. INFINITY≠ZERO (映画『幕末高校生』主題歌)
6. SABLE (TVアニメ『M3?ソノ黒キ鋼?』エンディングテーマ)
7. Bull's Eye (TVアニメ『緋弾のアリアAA』オープニングテーマ)
8. DREAMCATCHER (TVアニメ『魔法少女育成計画』エンディングテーマ)
9. MY LIBERATION(アニメ『チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~』テレビ版オープニングテーマ)
10. PARAISO (アニメ『チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~』イベント上映版エンディングテーマ)
11.ウツシヨノユメ (TVアニメ『かくりよの宿飯』オープニングテーマ)
12. Star light, Star bright (TVアニメ『CONCEPTION』オープニングテーマ)
13. KEMURIKUSA (TVアニメ『ケムリクサ』オープニングテーマ)
■Disc-2
1. neophobia
2. Nevereverland (ライトノベルオリジナルBlu-rayアニメーション『アークIX』主題歌)
3. Rock on. (アニメ映画『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC』主題歌)
4. The Crossing
5. INSIDE MY CORE(新曲)
6. ロキ(カバー曲)
7. ECHO(カバー曲)
8. magenta(BEST ALBUM ver.)

ライブ・イベント情報

ナノ BEST ALBUM TOUR 『I』
《ツアースケジュール》
・【東京】2020年5月23日(土)OPEN 17:00 START 18:00
<会場>SHIBUYA CLUB QUATTRO
<お問い合わせ>HOTSTUFF PROMOTION tel 03-5720-9999 (平日12:00-18:00 )
・【札幌】2020年6月6日(土)OPEN 17:30 START 18:00
<会場>SPiCE
<お問い合わせ>WESS 011-614-9999(平日11:00-18:00)
・【福岡】2020年6月14日(日)OPEN 17:00 START 18:00
<会場>DRUM Be-1 
<お問い合わせ>BEA 092-712-4221 (月-金 11:00-18:00 第2・第4土 11:00-15:00)
・【名古屋】2020年6月27日(土)OPEN 16:00 START 17:00
<会場>NAGOYA CLUB QUATTRO
<お問い合わせ>サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(10:00~18:00)
・【大阪】2020年6月28日(日)OPEN 17:00 START 17:30
<会場>Music Club JANUS 
<お問い合わせ>サウンドクリエーター 06-6357-4400
《チケット料金》
全公演共通 5,800円(税込・オールスタンディング・1D代別途要)
※未就学児入場不可
《チケットスケジュール》
・CD封入先行:3/18(水)00:00~3/31(火)23:59
・オフィシャルHP先行:3/28(土)12:00~4/6(月)23:59

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