【インタビュー】ASKA、新AL『Breath of Bless』に詰めこんだ“未来”への軌跡

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ASKAがアルバム『Breath of Bless』を発売。ジャケットに映る1台の望遠鏡、そこからASKAはどんな“未来”を見ているのだろうか。その言葉に、衝撃をくらった──。

◆ASKA 画像

ASKAはいう。「いつかは自分も“懐かしさ”を共有することがアーティストとしての使命、在り方だと思う時期がやがてくるかもしれない。だけど、まだまだ僕はそれを受け入れたくなくて。だから、お客さんやリスナーにそう思わせないためにも、常に“新しいものはBEST”でのぞまなきゃいけない」と。音楽活動を始めて40年。その間に天国と地獄、どちらも経験。それでも音楽の未来、その可能性を見つけだし、さらなる高みへと挑んでいるのがいまのASKAなのだ。新しいポップス、ロック、クラシックの融合に挑んだASKAとASKAバンド、弦楽アンサンブルが共演した<billboard classics ASKA premium ensemble concert-higher ground->コンサート(4月22日、大阪・フェスティバルホールで振替公演決定)もそう。そのツアーファイナルである熊本公演(4月27日に熊本城ホール メインホールで振替公演決定)に向け、熊本復興のチャリティーを目的としてツアー各地で開催した有料公開リハーサルもそう。


このような新しい挑戦で音楽シーンに次々と衝撃をあたえたASKA。最新アルバム『Breath of Bless』では、シングル「歌になりたい」同様にCD発売日の2週間前に収録曲すべてをハイレゾ&通常音源で先行配信。さらに、アルバムのクレジットを見ると、「Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ」の編曲以外、作詞・作曲・編曲までをASKAが担当している。これはアーティスト人生初のこと。最新作でありながら最高傑作といえる本作について話を聴いた。

   ◆   ◆   ◆

■通常CDの保証時間74分を超えました。
■この曲をどうしてもアルバムに収録しておきたかった


──アルバム聴かせていただきましたよ。

ASKA:どうでした?

──もう、4度目のブレイクが目の前に。

ASKA:なにいってんですか(笑)。そういうものはね、アルバムじゃなくてシングルでしょう。

──さすが、経験者ならではのお言葉ですね。アルバムは懐かしいものから新境地を感じさせるようなものまで、見事な楽曲ばかりが揃った最高傑作でした。作り終えてみて、ASKAさんはどう手応えを感じてらっしゃいますか。

ASKA:それがなんにもなくて(微笑)。今回はこの期間にアルバムを作ろうというような始まりも終わりもなかったので。時間がきたから、これぐらいにしておこうという感じ。

──そもそも今作は2018年3月から半年間マンスリー配信していた楽曲が一応のスタート地点となっている訳ですけど。あのときはコンセプトを考えて曲を作ってたんですか?

ASKA:配信のときはね、6カ月続けてだったでしょ? それを毎月聴いてくれるというのは、コアなファンですから。そこを想定して“次はこうきたか”という変化球を織り交ぜながら出していったよね。そして6カ月間で一区切りしようと。

──ああ、そうだったんですね。

ASKA:それを10数曲のアルバムにしようってなったので、まず最初に配信した6曲を聴き直して。アルバムにするならこういう曲も欲しいな、ああいうのも欲しいなって。アルバムは円でありたいと考えてるから、そうやって作っていったものを並べましたね。もちろん、楽曲的に自信がある曲です。

──で、今作は「Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ」以外、ASKAさん自身がアレンジまでやっているところが新しいところだと思うんですが。

ASKA:まずね、豪華なアルバムを作りたいからといって有名なアレンジャーを並べたところで、良いアルバムができるわけじゃない。アルバムのなかのアレンジャーはなるべく少ないほうがいい。アルバムに緩急をつけることができますからね。アレンジャーにもプロデュース能力が試される。そういう意味では、長年僕の作品を手掛けてくれた澤近泰輔は、僕の作品にとっては欠かせない存在です。最近は、楽曲制作において、ほぼ仕事部屋で完成形にまで持っていけましたからね。ASKAバンドのギター、鈴川真樹がプログラミングをやりながら、的確なポイントをついてくる。毎回、福岡から上京してくれる若手ミュージシャン藤山祥太が優秀なマニピュレーターぶりを発揮してくれる。総括して、僕が編曲者となってはいますが、彼たちの協力を得て作品が生まれています。アルバムのラスト曲、「Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ」だけは、熊本在住の人(矢賀部竜成)が編曲です。2年ぐらいやりとりを重ねました。それだけの楽曲になりましたね。

──これはインスト曲ですけど、そのタイトルからアルバムを『Breath of Bless』にしたんですか?

ASKA:そう。これをアルバムタイトルにしたかったので、通常CDの保証時間74分を超えました。僕は昔からインストが好きで、この曲は久々に作ったインストだったんです。大作になりました。どうしてもアルバムに収録しておきたかったんですが、CDにはデジタルエラーがあります。サイズ(再生保証時間)が決まっているんです。もし、CDにエラーが出てしまった時には責任をとるくらいの覚悟を持って15曲入りにしました。それに、あのアルバムタイトル曲は、シングルだけで終わらせちゃダメだという気持ちが強かった。でも、アルバムが出来上がると、アルバムにはなくてはならない曲になりましたね。


▲『Breath of Bless』


──今作はボリュームたっぷりなところも新しい挑戦ですね。アルバムジャケットの望遠鏡にはどんな意味があるんですか?

ASKA:偶然です。撮影するときに、なにか足りないと思って、スタジオにたまたま望遠鏡があったので、それをお借りしただけです。(裏ジャケットの)船の模型もそうですよ。

──え! あれ、そこにあったから使っただけだったんですか?

ASKA:本当にたまたまです。よくいうんですけど、物事ってそこに到達したとき、あれがあって良かったって思うことがあるでしょ? あれがなかったらここにこれなかったって。物事は1から10まで、最初から綺麗に数字が並んでる訳じゃなくて、どこかでなにかが起こったことで綺麗に並ぶ。その偶然性だと思うんですよね。

──深いお言葉です。ASKAさんはその偶然性をよく引き当てる方ですよね。だって、今回にしてもあの望遠鏡と船で、望遠鏡から見える広大な宇宙、人類の未来に向けて強い意志を持って航海しながら音楽を、歌を届けていく。そんな意思を一番に感じるアルバムだったので、あのアートワークはてっきりそういうものを狙ったものなんだと思ってました。

ASKA:そう言われて気がつきました(笑)。今回ね、他のライターさんからも聞かれて気がついたこともありました。“未来”という言葉が多いんだってことに。全然気にしてなかったんだけど、歌詞に「未来」という言葉が多いと。意識せずに使ったんですね。

──そうでしたか。では、ここからはアルバムの楽曲について聞いていきたいと思います。

◆インタビュー(2)へ
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