【インタビュー】ASKA、新AL『Breath of Bless』に詰めこんだ“未来”への軌跡

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■常に“新しいものはBEST”でのぞまなきゃいけない。
■そういう気持ちで新曲に向かってます


──まずはカーテン越しの太陽の温もりを感じさせるようなスイートなシーンを描いた「どうしたの?」、その2人が目覚めたあとの気分を感じさせる爽快な「イイ天気」。2曲ともこれらはラブソングですよね?

ASKA:最近よく“もうラブソングは書かないんですか?”ってよくいわれるんですよ。実際、40〜50代ではあまり書いてないんです。ラブソングを。20代が書くラブソングはすごく綺麗で、30代のラブソングはまとまってて深みがあるものも書ける。さてその後、40代〜50代でラブソングを書くと、どうしても回帰モノになってしまう。現在形で伝えることが難しくなってしまう。これは僕だけの感覚なのかもしれませんが。でも60台になると、またピュアな気持ちが現れたような気がしました。これで(リスナーに)気持ちよさを感じていただければ、ここにまた自分の世界も発見できるし、今後、またラブソングが増えていくのかもしれません。

──そんなことまで考えつつも「イイ天気」に“コテ・メン・ドウ、そして好き”と歌い込む遊び心は、剣道を復活させたASKAさんならではだと思って思わずニンマリしましたよ。

ASKA:剣道には“小手、面、胴、突き”があります、その“突き”を“好き”に変えただけなんだ。いま剣道を一緒にやってる学生たちはこれを聴いて大喜びしてました。“歌詞でこんなの聴いたの初めてです”って(笑)。

──「忘れ物はあったかい」は曲構成、サウンド、コーラスの掛け合い、本当にかっちりと作り上げた大人のJ-POPでしたね。

ASKA:これは、じつは提供曲なんですよ。どうしてもそれがいろんな事情で叶わなくて。なので、先に僕がアルバムで歌ったんです。だから、歌詞は自分の楽曲でありながら提供する相手側の気持ちで描いたものですね。

──そこは“淡いブルーのガラスのパラダイス”というコーラスパートから想像できました。ライブで先に披露していた「百花繚乱」。アルバムで聴くと、デジタルなダンスビートをふんだんに使ったものだったので驚きました。

ASKA:クラブっぽい感じですね。僕の楽曲はコードが複雑だってよくいわれます。しかし、循環コードの強さを知っています。普段、僕はあまり循環コードを用いて曲を作りませんが、この曲では、それを全面的に出した楽曲を作ってみようかなと思って書いた曲なんですよね。だから、Aメロのコードとサビのコード進行は同じです。たまにはいいものですね。

──気持ちいいんだけど、歌詞は飛び降り自殺するサラリーマンが出てきてこれにも驚きました。

ASKA:ドラマでも映画でも、いきなりスーツ着た男がさ、花束持ってビルの角に立って手を広げて身を投げるところが出てきたら、つかめるでしょ? そんな絵を思い浮かべながら書きました。じつは“百花繚乱”って言葉、ちょっと前まで、僕は知らなかったんです。

──えーっ!

ASKA:いや。本当に。友人と喋ってたら“百花繚乱”って言葉が出てきて、なにそれってなって。それでメモしといた言葉が役に立ちました(笑)。

──気になった言葉はそうやってメモに残しておくんですか?

ASKA:しますよ。メモはカバンの中にも入れてるし。部屋のあちこちにすぐ書けるようにメモ用紙は置いてあリます。

──「じゃんがじゃんがりん」はまずこのタイトルのインパクトがすごくて。サビでもこれを連呼するので、とにかくこのフレーズにやられました。

ASKA:仮歌のときにそう歌ってみたら気持ちよかったんですよ。これは歌詞じゃなくて、声という楽器を鳴らしたと思って下さい。

──歌詞は世の中のことを歌ってるんですよね。

ASKA:猛烈な熱波に世界各地が襲われたり、オーストラリアの森林火災もそうだけど、現在の世の中はこれまで語られてきたケースには当てはまらないと以前から語ってきました。いまは地球自体が変動期に入っている。それを、いつまでも異常気象だといって片付けるのはおかしいと思って、僕はこれを書いたんです。そこから2番では、いまや電車で隣に乗ってる人がどんな危ない人なのかも分からない時代でしょ?そんな身近な世の中のことを歌ってて。それがテーマですね。

──この間奏がいきなり変拍子に展開していく訳ですけど。そこが次の「歌になりたい」へのある意味伏線となって。この曲が、地球、宇宙といったスケールで今の世の中を照らす光となっていき、それが個にフォーカスしていって人々に問いかけていくバラード「消えても忘れられても」へ。これは、涙が止まらなかったです。はたして自分は誰か一人でも幸せにすることができてるんだろうかと考えると。

ASKA:ずっと思ってることです。僕が生きてる間に自分はたった一人でも幸せにすることができるんだろうかって。きっとこの世を離れるまで、そう思い続けて生きるんだろうなって。あの1行をいいたいがためにこの歌詞は書きました。夫婦であっても、愛した旦那さんは、愛した子供達は幸せだと思ってくれているだろうかとか。人なら誰しも思うことではないでしょうか。言葉では「幸せだよ」って会話はあるだろうけど。でもそれって言葉の確認だけでしょ? 魂レベルでそれを確認することって難しいんだろうなと思います。

──そんな問いかけから「青い海になる」へ。アルバムのなかで一番ダークな楽曲ですよね。

ASKA:いままでにもある感じの曲調です。これは、コード進行から作りました。そこからリズムを組んで。ベースを和音で鳴らすフレーズを入れたくて。こういうイントロを作ってみて。作りながら楽曲がどんどん色濃くなっていったんで、2番の後にスコーンと抜けるようなメジャーな展開をしたくなってこうなりました。

──そこから、海で櫂を漕ぎ、航海する人に向けて「星は何でも知っている」へ。「憲兵も王様も居ない城」、「修羅を行く」、「星は何でも知っている」の3曲はまさにASKAさんの現状、そこから新しく歩み始めた“いま”を歌っていて。それがツアーで披露されていた“やっぱり音楽が好きだ”“音楽は楽しい”っていう音楽を愛し、信じる大きなパワーを感じさせるスタジアム級のナンバー「We Love Music」へと広がっていく。

ASKA:本当はこの楽曲は先行配信しとけばよかったなと思って。そうしたら今回のツアーでもっと盛り上がったのにね。これは、みんなで“音楽大好きだ”っていうような曲を作りたかった。「僕はMusic」という曲はあるんだけど、僕は音楽好きだ、みんなも好きだよなって曲は自分のなかになかったなと思ってこれを作りました。

──クラップ、シャウトとかはまさに。

ASKA:フレディ(・マーキュリー)っぽくなりましたね(笑)。この“ドンドンカーン”は“これQUEENの「We Will Rock You」ですよね”って思ってもらって結構です。あの“ドンドンカーン”って、昔からある音楽の手法なんですよ。それを、QUEENが会場全員にやらせたことで、あれが彼らの象徴になっただけなんです。

──そうして、アルバムはインスト曲「Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ」で幕を閉じる。

ASKA:お腹いっぱいっていわれるだろうな(笑)そうそう。じつは最後まで「じゃんがじゃんがりん」を入れるのを忘れてたんです。制作仲間に「これどうするんですか?」 っていわれて「そうだ! これがあった」って気がついたはいいんですが、それを入れると15曲入りに。いいや、入れちゃえと。まだ、未発表曲は、あります。

──すごいですよね。曲を作るスピードが。

ASKA:数年前くらいから、そういうモードに入ってるし、この感覚はなくなっていませんので、書けるときに書いておこうと思っています。いつかまた書けなくなる時期もやってくるでしょうからね。


──ASKAさんのすごいところは、今回のツアーもそうですけど、そういう最新曲でライブのピークをちゃんと作っていくところなんですよ。

ASKA:ポール(・マッカートニー)がビートルズを脱退して。僕はウイングスから聴き始めたんだけど。僕が一時期、ロンドンに住んでるときに、偶然にポールのマネージャーと知り合ってコンサートに呼んでいただいて観に行ったんです。そのときポールはウイングスの曲が多かったかな。でも、ビートルズ時代の楽曲を演ると客はものすごい歓声を上げる訳です。僕が30歳ぐらいの頃だったんだけど、周りにいた50,60歳の人たちの熱狂ぶりに唖然としました。さて、ポールはどんな気持ちでこの光景を見てるんだろうなと思ってね。ポールは自分のソロもウイングスもやってて。そこにすごく自分のアイデンティティーを持たせることで、自分のミュージシャンとしての意義、精神性を保ったと思うんです。だけど、ビートルズをやったとたんにお客さんが大揺れになる。この状況をポールは果たしてどう受け止めてるんだろうなと、冷静になったのを覚えています。

──ああ……。

ASKA:そのあと、ある時期からポールはビートルズ時代の曲をどんどんやるようになったでしょ? きっと、吹っ切れたんですよ。ビートルズ、ウィングスで自分を量らないことに。ポールは自分のアイデンティティに気がついたんだと思います。いろんなことを吹っ切ってお客さんが喜ぶことをやろうっていう風に意識を変えたんだと思ったんです。ミュージシャンとしては、お客さんが喜んでくれることが一番。それは、僕も思っていることです。そして、その後もポールは新曲を書きますが、ライブにおいてはビートルズ、ウイングス時代の今日を軸にしてる。いま僕はこうして40年活動させてもらっているけど。“新曲”を書くという意味では、そういうところと向かい合わないといけない。いつかは自分も懐かしさを共有することがアーティストの在り方だと思う時期がくるかもしれない。だけど、それはまだまだ受け入れたくなくて。だから、お客さんやリスナーにそう思わせないためには、常に“新しいものはBEST”でのぞまなきゃいけない。そういう気持ちで新曲に向かってます。やがて新曲に興味を持たれなくなる時、懐かしさだけを求められる時もくるでしょう。だけど、まだ僕はそこじゃないから新曲を書くんです。

取材・文◎東條幸恵


▲『Breath of Bless』


ASKA ニューアルバム『Breath of Bless』

2020年3月20日(金)発売
税抜価格:¥4,000
品番:DDLB-0015
レーベル:DADA label

3月6日(金)よりハイレゾ音源、通常音源先行配信中
■ハイレゾ音源&通常音源配信サイト
・e-onkyo「Weare」

■通常音源配信サイト
・iTunes(iTunesは単曲での展開のみ)
・Google Play Music
・レコチョク
・mora
・music.jp
・オリコンミュージックストア
・着信★うた♪
・MySoundフル
・GIGA MUSIC(Android)
・ototoy
その他、順次各配信サイトで通常音源配信開始予定

収録曲目:
1. 憲兵も王様も居ない城
2. 修羅を行く
3. どうしたの?
4. 未来の人よ
5. 忘れ物はあったかい
6. 百花繚乱
7. イイ天気
8. 虹の花
9. じゃんがじゃんがりん
10. 歌になりたい
11. 消えても忘れられても
12. 青い海になる
13. 星は何でも知っている
14. We Love Music
15. Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ
計15曲収録

<ASKA CONCERT TOUR 2020>

10/4(日)府中の森芸術劇場
10/11(日)相模女子大グリーンホール
10/16(金)神戸国際会館こくさいホール
10/17(土)大宮ソニックシティ
10/29(木)フェスティバルホール
10/30(金)フェスティバルホール
11/8(日)広島文化学園HBGホール
11/10(火)岡山市民会館
11/22(日)名古屋国際会議場センチュリーホール
11/23(月・祝)静岡市民文化会館大ホール
11/26(木)東京国際フォーラム ホールA
12/8(火)愛知芸術劇場 大ホール
12/11(金)郡山市民文化センター 大ホール
12/12(土)宇都宮市文化会館
12/20(日)仙台サンプラザホール
12/27(日)熊本城ホール メインホール
12/28(月)福岡サンパレス ホテル&ホール
*追加公演開催予定

■POP UP SHOP「Breath Of Bless ASKA MUSEUM」

【実施期間】3月13日(金)~3月25日(水)
【営業時間】12:00~21:00(最終入場20:30)
【開催場所】タワーレコード渋谷店8階 SpaceHACHIKAI
【入場料金】無料

今回の大型POP UP SHOPは、待望のNew Album「Breath of Bless」の発売を記念して開催する期間限定オフィシャル・ショップ。会場ではASKAの歴史を味わえる貴重なギターや曲づくりに伴う私物資料、ライブ写真などを展示し、大型スクリーンではMV「歌になりたい」の放映も行なう。加えてNew Album「Breath of Bless」のハイレゾ試聴コーナーや、POP UP SHOP限定グッズの先行販売、「billboard classics ASKA premium ensemble concert -higher ground-」ツアーグッズの販売なども実現。ASKAとして、この規模での展示会の開催は初の試みとなる。

お問合せ:タワーレコード渋谷店 ホームページ
http://towershibuya.jp/news/2019/11/08/139993

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