【インタビュー】首振りDolls、グラマラスに魅せる極彩アートワーク&MV完成

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ガレージロックなのか? ロックン・ロールなのか? ハードロックなのか? パンクなのか? はたまた、ブルースなのか? 歌謡ロックなのか?
北九州が生んだ異端児が放つサウンドは、何処にも属さぬ毒を孕み、いつの間にか聴く者を抜け出せない蟻地獄へと引きずり込む。胸を打つポップなメロディと、妖しげなファンキーさと、剥き出しの情念を乗せたオドロオドロしさこそが首振りDolls。中性的なセクシャリティとド派手でグラマラスなルックス。70年代前半のロックシーンを彩った華やかなムーヴメントは今、彼らによって呼び起こされる。
首振りDollsの新アートワークに迫ってみた。

◆首振りDolls 画像

▲ナオ

──新たなアートワークが解禁になったね。

ナオ:そう。この度イメージを一新致しました! ワタクシ、なんと、着物を脱ぎました! 新しい首振りDollsなんだけど、二度と着物を着ないとかではないし、過去を否定しているという訳でもないし、音楽性が変わってしまったとか、今までの首振りDollsらしさが無くなってしまったとかってことではなく。実は、音楽的に首振りDollsが根底に持っていた部分の一部でもあって、今までとは違う一面が表に出たって感じなので、これも首振りDollsの個性として、今後の動きに注目してもらえたらって感じです。

ジョニー:以上! ありがとうございました! 終了!

ショーン:あははは。綺麗にまとまったね(笑)。

──……あぁ……インタビュー終了しちゃったよ。

ナオ:あれ? インタビュー終わらせちゃった(笑)? ごめんなさい(笑)。いやいや、でも、本当にそうなの。全く新境地って訳ではないというか。

──そうね。たしかに、首振りDollsは、このアートワークから窺い知れるようなグラム・ロック感はもともと持ってるバンドだったもんね。ジョニーのルーツに一番近いのかな?

ジョニー:そう。グラムロックって、ずっとやりたかったことだったから。

ナオ:言ってたよね、昔から。首振りDollsを結成した当初、ジョニーから“ナオちゃんがホモっぽかったら面白いから、ホモ役やれ!”って言われたもん(笑)。

ジョニー:ホモというのは差別的な意味じゃなく、グラムロッカーってそういう印象が強いというか。女性的で華やかでグラマラスという部分でね。

ナオ:たしかにね。

──美を追求するあまり、思いっきり華やかで艶やかだからね。

ナオ:すごく魅惑的。男がお化粧をするって、本当にすごく魅惑的だと思う。きっとジョニーはデヴィッド・ボウイとかのことを言ってたのかな? って思うんだけどね。当時の自分はハードコアとかガレージロックばっか聴いてたから、そこまでグラムロックに詳しくなくて。だから、ジョニーのその言葉を聞いて、“ジョニーは突然何を言ってるんやろか?”って思ったけどね(笑)。“俺、ホモ?”みたいな(笑)。※デヴィッド・ボウイ、グラムロック=ホモという表現ではありません。

──ショーンのルーツにグラムロックは?

▲ショーン・ホラーショー

ショーン:自分は、何を持ってグラムロックと括るのかがイマイチ解ってないんですけど、昔、“カマカマカマカマ〜♪”は聴いてました。これ、なんでしたっけ? あ、カルチャー・クラブ!

──カルチャー・クラブね!

ジョニー:お〜! まさにボーイ・ジョージは一つのシンボルだよね! そこをグラムロックと言うのかニュー・ウェイヴと言うのかは、俺たち下々には断言出来ないから、そこは専門家の偉い人たちに委ねるとして、俺がロックに求めるものは、そういう煌びやかさであるのはたしかだから、そこもたしかに繋がってはいる。

ナオ:もともと今回のヴィジュアルみたいなスタイルだったもんね、ジョニー。

▲ジョニー・ダイアモンド

ジョニー:そうそう。昔、シルクハットも買ったことあったし。昔買ったシルクハットは赤だったかな。

ナオ:俺が初めて会ったときのジョニーは赤のジャンプスーツだったもんね!

ショーン:赤のジャンプスーツ!?

ジョニー:さすがにジャンプスーツではなかったよ(笑)。

ナオ:ホント!? 全身赤だったよ! 「悪魔と踊れ」を初期に出した頃。

ジョニー:あぁ〜、ジャンプスーツではなかったけど、全身赤だったときあったね! あの服どこいったんやろ? たぶん、引っ越ししたときに捨てちゃったかな(笑)。

──そんな情報いらないわぁ〜。

一同:(爆笑)

ジョニー:赤のライダースも持っとったなぁ〜。それはカビが生えて捨てた(笑)。

ナオ:赤いライダース! 俺も持ってた!

ショーン:へぇ〜!

──グラムロック自体も音楽性を意味するものではなく、表現方法であった訳で。

ナオ:そうね。音楽ジャンルを示すものではないからね。

──首振りDollsは、印象として、ドラムボーカルのナオが着物を着ているから、そのイメージがやはり強いこともあって、そことグラムロックとが直結するという感じではなかったけど。

ナオ:そうね。たしかに、私が作ってきた「鏡地獄」的な昭和歌謡感の強い演歌ロックみたいな昔の首振りDollsの曲達からはグラムロックの匂いはしないもんね。今回シングルカット的な魅せ方をする『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』に収録されている「リトルサマーベリーオレンジミルク」は、完全にグラムロックを意識したサウンド感だし、そういう魅せ方なんだけど、そこも最初に言ったみたいに、これまでの首振りDollsになかった色ではなくて、昔からあった一部分ではあったのね。けど、結成当初は私の作る曲が割合的に多かったから、着物というスタイルがしっくりきてたのもあったと思うし。でも、ショーンが加入してから、より音楽性の幅が広がったことで、いままでのドロドロとした印象のヴィジュアルに違和感が出てきたのかなって思ったりはするけどね。けど、バンドも日々成長しているし、変化も進化もしているから、その都度、今の首振りDollsに合った変化を、サウンド面でもヴィジュアル面でも提示していけてるんじゃないかな? って思ってるかな。

──首振りDollsは、対バンを決めるのが本当に難しいバンドで、ハードロックだったり、ファンクだったり、昭和歌謡だったりと、何処にも属さない幅広い音楽性を個性とするバンドであるから、一つのヴィジュアルで音楽性を表すのが難しいのかもね。

ナオ:そうなのよね〜。『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』には、「鏡地獄」みたいな昭和歌謡感の強い曲も、完全にグラムロックを意識したサウンド感を押し出した「リトルサマーベリーオレンジミルク」も一緒に入っちゃってるんだからね〜。つくずく首振りDollsって、変なバンドよねぇ〜(笑)。

ジョニー:でも、逆に何処にでもいける感じもするけどね(笑)。

ショーン:たしかに。偏ることなくね。

ナオ:そうなの。だからね、ヴィジュアル的には、そこまで着物にこだわることはないのかな? って思ったりしてはいたというか。でも、ずっと着物着てきたし、やっぱり昔の曲をやるときは着物が似合ったりもするし、この先着物を着ませんってことではないし、そこは首振りDollsを表現する上でも必要不可欠な部分だと思っているので、着物を捨てたりはしないから、これまでの首振りDollsの世界観を好きで居てくれた人たちは安心してほしいけどね。

──ナオから出てくる情念を孕んだドロドロとした演歌ロックも、今作っている新曲の中にもあったりするからね。

ナオ:そうよ〜。そこは無くならないから安心して欲しいわ!

──着物はナオのルーツでもあるサンハウスの柴山俊之さんからの影響が大きいんでしょ?

ナオ:そうそう。

ショーン:でも、自分が前のバンドで首振りDollsと対バンしていたときは、着物じゃなかったよね。

ジョニー:たしかに。最初は着物着てなかったよね。俺の私服をみんなで衣装にして着てた時期もあったからね(笑)。当時はみんなで古着屋に行って探したりしてたもんね。

ナオ:してたしてた!

ショーン:そういえば、ナオくん、花柄のパンツに柄シャツとか合わせてた! なんか、シュッとしてて、頭だけ大きかったイメージ。この木なんの木、気になる木〜♪みたいなシルエットで(笑)。

ナオ:あははは。そうそう! 柄シャツ着てベルボトムとか履いてたもん! 今と変わらず髪には逆毛いれてね! ってことは、今回の新ヴィジュアルはある意味原点回帰ってことなんかな!?

ジョニー:たしかに、そうなるね。全く無かったところへ飛び込んだって訳ではない。

──となると、衣装として着物を着始めたのは何がきっかけだったの?

ナオ:そう言われるとなんでやったんやろ(笑)? 当時、衣装についてジョイフルでめちゃくちゃ話し合ったことあったやん! あんときからかな?

ショーン:あははは。九州で話し合うとしたらジョイフルだよね!

ジョニー:東京の人ってジョイフル分かるのかな(笑)? 九州では有名なファミレスなんだけど(笑)。

ナオ:当時ジョイフルの喫煙席の一番隅っこの席で衣装会議したのめちゃくちゃ覚えとる〜。

ジョニー:マンガ倉庫(古着屋)に衣装探しに行ったね。東京にもマンガ倉庫みたいなとこあるの?

ショーン:ありますよ! みんなで一緒に衣装選びに行きたいですね!

ジョニー:行こう! 今回の衣装もツアー先の大阪でみんなで古着屋に探しに行ったりしたけど、あれ結構楽しかったしね。

ショーン:楽しかった!

ナオ:やろうやろう! でも、何きっかけだったんかなぁ? 着物着だしたの。なんでやっけ? ジョイフルで話し合ったとき、ジョニー、たしかニューヨーク・ドールズの写真持って来てたよね?

ジョニー:持ってったね〜。あんなバンドになりたかったから。

ナオ:たぶんニューヨーク・ドールズだったと思うんだけど、メンバーが着物を羽織ってる写真があって。あ〜、外国のロックンローラーが着物着るとカッコイイなぁ〜。って思いながら見とったときに、あ! 柴山さん! って、そこが繋がって。そこからかなぁ? そっから着物着ちゃおうかなぁ〜って。違ったっけ?

ジョニー:どやろ? 最初にナオちゃんが着物着たのって、首振りDollsのワンマンのときよね。

ナオ:あ〜〜〜! そうだ! 思い出した! そうや! 

ジョニー:小倉WOWや!

ナオ:そうそうそう! 小倉WOWのワンマンのとき、いろいろと演出を考えてて、そこで着物着ちゃおう! って話になったんや! 昔、「菊の変」っていう演目があって、私がドラムから離れて曲中に菊を食べる演出があったんですよ! そのときに着物を着たくて。

ジョニー:あ〜。思い出した(笑)。ワンマンだからなんかしようって、開場してから1時間くらい映像流したり、壁に銀紙貼り付けたり、ナオちゃんが着物着たり、ナオちゃんが着替えてるときずっとインストやったりしたんだよね(笑)。めちゃめちゃ間延びして、ライヴハウスの社長に叱られたもんなぁ〜(笑)。

ナオ:そうそうそう(笑)。ただ、出てきた俺が着物になってました〜! っていうだけの為に費やした時間っていう(笑)。

ジョニー:引っ張りに引っ張って、それだけ!? みたいな(笑)。爆発するくらいのデカイ特効が無いと元取れない感じだったよね、あの待ち時間は(笑)。お客さんももちろん、待ってる俺たちもめちゃくちゃ長い時間だったからね(笑)。

ショーン:たしかに(笑)。待たされる側はめちゃくちゃ長く感じただろうね。

ナオ:たしかに(笑)。当時試行錯誤しながらいろいろやったのよ! 最初の着物は、ライヴの中で衣装替えしてみんなを驚かせよう! っていう演出だったの(笑)。

ジョニー:だだ滑りしたけどね(笑)。

ナオ:そうね〜(笑)。

ショーン:くふっ(笑)。銀紙はなんで貼ったの?

ナオ:反射して照明が綺麗に見えるかな? と思って貼ったの。

ジョニー:全然綺麗にならなかったけどね(笑)。

──いろいろと試行錯誤してきたんだね。

ナオ:そうね〜、歴史だね(笑)。当時、本当にいろんなことしてきたなぁ。よくライヴハウスの人たちが許してくれたなぁって思うこととかも、全部やらせてもらってたから。その試みの一つの中に着物があったって感じだった。そのライヴは着付けに時間がかかったから賛否あったんだけど、着物でドラム叩きながら歌ってるっていうのが話題にもなって、ロックと着物の融合ってカッコイイのかもなって思うようになって、そこから着物を衣装とし始めたって感じ。

──ショーンは、着物を衣装とする前の首振りDollsにも魅力を感じていたし、着物を衣装としてからの首振りDollsにも魅力を感じていた訳だもんね。アートワークと音楽性の関係というものをどう考えている?

ショーン:自分は、アートワークと音楽性の関係って、すごく大事だと思うんです。見たままとか、当たり前とかが勿論正解だと思います。だけど裏切られたときのそこの違和感にも化学反応が起きる気もするんです。だから、ロックをやりながら着物を衣装とする前の首振りDollsもすごく好きでしたね。ナオくんが着物を着始めた頃も、昔のバンドでよく対バンしてたし。音楽性が大きく変化したのかっていったらそうでもなかったし。だから、ナオくんが着物を着ている首振りDollsもすごく好きなんです。やっぱり着物の衣装で魅せるのは、ナオくんの作った曲が一番ハマると思うんですけど、自分の作る曲を着物を衣装とする首振りDollsがやっても、その違和感がカッコイイと思うというか。そここそも首振りDollsの個性なのかなって思うんです。

ナオ:うんうん。そうだね。やっぱりどうしても何事においても“見た目”って重要で、だいたいの人は最初見た目で判断するでしょ。それって当たり前のことだと思うんですよ。

──とっかかりの判断材料としては、そこしかない訳だからね。

ナオ:そうそう。きっと、知ってくれたら、こんなにも奥が広かったんだ! って思ってくれると思うけど、間口が狭いと、奥まで知ってもらえる前に入って来てもらえないと思うから、ちょっと広げてみてもいいのかなっていうのも、正直なところかな。怖がらないで、入ってみて! 案外ポップなの! みたいな(笑)。「リトルサマーオレンジミルク」もすっごいポップだからね!

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