【連載】Vol.090「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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ストーンズ・ファンにその名を知られるカーラ・オルソンのニュー・アルバム登場!LAの名だたるミュージシャンが姉御と競演!!心打たれる。ミック・テイラーはじめ故ジーン・クラーク、故パーシー・スレッジらが参加の過去の作品4曲も特別収録。


▲@ドイツ 2019年 提供:Carla Olson<

ミック・テイラーとの競演でローリング・ストーンズ・ファンからカーラ・オルソンの名前が注目されるようになったのはもう30年くらい前のこと。


▲カーラwithミック・テイラー 提供:Carla Olson

カーラのマネージャーであり夫でもあるソウル・デイヴィスはアメリカのストーンズ研究家として名高い。1970年代から音楽業界で活動していて、ビージーズのプロモーションマンとして働いたこともある。僕は90年代初頭にソウルと知り合いカーラの日本におけるCDリリースに協力してきた。


▲ソウル・デイヴィスと筆者 @LA 2016年 Pic. by Carla Olson

93年にカーラ・オルソンのライヴ・イン・ジャパンも実現させた。六本木・ヴァレンタインという小さなスポットだったけど集まった熱心なファンはそのステージを絶賛した。


▲カーラ・オルソン初来日 withジョージ・コーリング トッド・ウルフ ルー・カストロ 手羽先パーティ@名古屋 提供:Carla Olson

彼女自身、大のストーンズ・ファンということを93年来日時に僕のインタビューで改めて確認した。最近もストーンズとの思い出をこう語ってくれた。「75年、ストーンズのコンサートがテキサス州サン・アントニオであったんだけど、その時Mikeも仲良かったストーンズ・ギター・テクニシャンの故チュッチュ・マギーがテクストーンズをサウンドチェックに入れてくれたの。コンサートの後私はキース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、イアン・スチュワートとリハーサル場でジャムッたのヨ!この時の曲はフレディ・キングの“The Stumble”」


▲提供:Carla Olson

因みにその93年のカーラ日本公演のバックを務めたトッド・ウルフやルー・カストロとは現在でも大仲良し。シェリル・クロウのバックを務めたことにあるトッドは2015年にトッド・ウルフ・バンドで来日したんだけど、その際のステージではMikeのリクエストというアナウンスまで入れてくれて「It’s All Over Now」を披露してくれた。


▲トッド・ウルフ・バンド日本公演2015セットリスト from Mike’s Collection

またルーの93年に続く2度目の来日は2016年のCOTTON CLUBでのアルバート・リー・ウィズ・スペシャル・ゲスト・クリス・ファーロウ公演だった。彼はLAでプロデューサー/ベーシスト/シンガーとして活動スラッシュ、ヴィヴィアン・キャンベル、チャック・ベリー、マンドリル、ドン・ウォズ他多くのアーティストのレコーディング/ライヴを務めていて、3年前には<OUI’3>というジャズ・プロジェクトを結成し『Occupy Your Mind』を発表している。


▲クリス・ファーロウ&アルバート・リー日本公演でバックを務めるルー・カストロ(右から2番目後方) 提供:COTTON CLUB Pic. by Yasuhisa Yoneda

そういえば2016年のデザート・トリップを楽しんで帰国前夜のLAで僕はカーラ、トッド、ルー、ソウルの5人の飲み会で盛り上がった。



▲左からトッド、カーラ、筆者、ルー。 Pic. by Saul Davis


▲CD『Hidden Hills Sessions/Carla Olson & Todd Wolfe』 from Mike’s Collection

カーラとは90年代後半にもLAを訪れる度にご飯したリ自宅に招待受けたりと交流が続いた。2001年LAエル・レイ・シアターでのミック・ジャガー『Goddess In The Doorway』発売記念シークレット・ライヴもカーラと一緒だった(場内では僕の横でメグ・ライアンが観戦していたらしい。でもメモに忙しくメグに全く気がつかなかった。終演後にミックのバックを務めたバナード・ファーラーに何故メグのサインを貰わなかったんだと叱られた 笑)。2007年にはカーラ&ソウルが所用で東京にやって来た。勿論3人で飲み会だった。ゴスペラーズ、ダイアモンド☆ユカイくん、そしてSA桑田選手も大好きなお店“HENDRIX”(ビクタースタジオ傍にあるとってもステキ&ロックなスポット、今月も行ってしまった)のカリーを鱈腹食したんだ。カーラからはいつも素敵なクリスマス・カードも頂いている。


▲カーラからのクリスマス・カード from Mike’s Collection カーラは日本語が得意なのだ!

そんなカーラ・オルソンが新作『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』(BSMF RECORDS/BSMF-8041)を発表。


▲CD『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』 提供:BSMF RECORDS

我が国では4月29日発売だ。ということで久しぶりにカーラにインタビューした。その前に改めて彼女をご紹介しよう。そのバイオ文は08年春リリースのカーラの『リング・オブ・トゥルース』(BSMF-2081)のマイ・ライナーノーツから一部引用させていただく。 


▲CD『リング・オブ・トゥルース』 提供:BSMF RECORDS

カーラ・オルソンのホットなミュージシャン・マインドは多くのアーティスたちが認めるところでミック・テイラーをはじめボブ・ディラン、パーシー・スレッジ、ジョン・フォガティ、ジーン・クラーク、ドン・ヘンリー、イアン・マクレガン、ライ・クーダー、エリック・ジョンソン、バリー・ゴールドバーグ、ジョー・ルイス・ウォーカー、スカイ・サクソンほか、関わったアーティストは枚挙にいとまがない。ストーンズのキース・リチャーズやロニー・ウッドとも顔なじみだ。


▲テクストーンズwithデル・シャノン(左から3番目)andイアン・マクレガン(左から2番目)@The Palomino Club 1986年 提供:Carla Olson

音楽の都、テキサス州オースティン生まれのカーラは、小学生だった頃にテレビ/エド・サリヴァン・ショーでビートルズを見てロックの魅力にとりつかれる。その後、ストーンズやブルースに傾向していった。12歳でアコースティック・ギターを弾き始めディランやジョーン・バエズをコピー。すぐにエレキ・ギターを購入し、B.B.キングやロバート・ジョンソンの世界に入り込む。10代の頃、オースティンで多くのブルースのステージを堪能している。14歳でアマチュア・バンドを結成、そして77年にはキャシー・ヴァレンタインとバイオレーターズを結成。しかし、バンドは1年半で解散。カーラとキャシーはロサンゼルスに移り、79年にテクストーンズをスタートさせた。80年にキャシーはゴーゴーズに移ったが、カーラはテクストーンズをその後も維持し、84年にヒット・アルバム『Midnight Mission』(ビルボード誌のアルバム・チャートにランキング)を発表した。


▲テクストーンズ日本盤シングル 提供:Carla Olson


▲21世紀テクストーンズのCD『Old Stone Gang』 from Mike’s Collection *何故か最近マイ・ヘヴィー・ローテーション!

その前年にはディランの「Sweetheart Like You」のPVにも参加している。80年代後半からはソングライターやサポート・ミュージシャンとしても活動するようになり、ソロ・アルバムも発表。90年にはミック・テイラーとの共演で『Live At the Roxy / Carla Olson & Mick Taylor』をリリース。「Sway」「Silver Train」そして「You Gotta Move」が収録された。


▲CD『トゥー・ホット・フォー・スネークス・プラス』 提供:BSMF RECORDS

92年には前年に亡くなったジーン・クラークとの『Silhouetted In Light』という名作も登場している。94年には『カーラ・オルソン with ミック・テイラー and パーシー・スレッジ』という邦題のアルバム『Reap The Whirlwind』を発表している。


▲CD『カーラ・オルソン with ミック・テイラー and パーシー・スレッジ』 from Mike’s Collection

といったところで早速カーラに登場して貰おう!!


▲Tribute The Kinks 2019 提供:Carla Olson

Mike:2013年のアルバム『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL Volume 1』(BSMF-2331)は素晴らしい出来でした。僕はデル・シャノンの「Keep Searchin’」が特に気に入りました。1964年、中学生だった僕はこの曲の日本盤シングル「太陽を探せ」を購入、今でも持ってますよ。


▲CD『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL Volume 1』 提供:BSMF RECORDS

ところで、今から7年前のこのアルバムにはVol.1と記されていたので、きっとVol.2が登場するのでは?と楽しみにしていました。
Carla:数年前にマイ・ミュージック・パル達と一緒に歌ったり演奏することがどんなにか楽しいか、素晴らしいかということを考えるようになりました。ハーモニー・トゥゲザー!特にお気に入りハーモニーのパートを歌い始めるときのことを考えるとワクワクしてしまったのです。

M:貴女はこれまでミック・テイラーやジーン・クラークはじめ多くのミュージシャンと競演し素晴らしい作品をたくさん発表してきました。 『HAVE HARMONY, WILL TRAVEL Volume 1』はどんな雰囲気の中でスタートしたんですか?
C:最初にピーター・ケイスにデル・シャノンの「Keep Searchin’」とモビー・グレープのバラード「8:05」を歌ってもらいました。この後ジェームス・イントヴェルド、バーズからジョン・ヨーク、ジュース・ニュートン。私がジーン・クラークと共演したこともある「She Don't Care About Time」ではリッチー・フューレイ。素晴らしいアーティスト達とレコーディングを続けていくうち私自身とっても励まされていったの。


▲カーラwithピーター・ケイス 提供:Carla Olson


▲カーラwithジェームス・インヴェルド 提供:Carla Olson


▲カーラwithジョン・ヨーク 提供:Carla Olson


▲カーラwithリッチー・フューレイ 提供:Carla Olson

M:ここに『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』が完成!前作以上に力作だと思います!!Vol.1とはまた違った展開になったことでしょう。いかがでしょう?
C:『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』は前作同様の企画意図で制作しました。私の大好きな楽曲を選びレコーディング。これまでには歌ったことのないハーモニーを醸し出す、そんな目的もありました。私が子供の頃に親しんだ曲があったり、比較的新しい曲も収録してみました。それらは私の“歌わなければならない(must sing)”リストにずっと記されていたものばかり。レコーディングは2019年後半に終了し今年3月USリリース。日本では4月29日、Mikeのライナーノーツ期待してるわヨ。

M:ではまず『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』①~⑦までの各楽曲についてじっくり語ってください。「Timber, I’m Falling In Love」は1989年のカントリー・ヒット・ソング、パティ・ラヴレスは僕も大好き…。
C:この楽曲は1989年以来ずっと私のお気に入りよ。ラジオで聴くたびにいつもハーモニーのパートを歌っていたものです。軽快な連続リズム音も大好き!
M:ここではスティーヴン・マッカーシーと競演。彼はザ・ロング・ライダースのメンバーと知られ、またザ・ジェイホークスにも加わったことがあるとか。スティーヴンとはいつ頃からの知り合い…、彼の素晴らしいところ。この楽曲の聴きどころを語ってください。


▲カーラwithスティーヴン・マッカーシー バッファロー・スプリングフィールド・トリビュート・ショー2018 提供:Carla Olson

C:私のバンド、ザ・テクストーンズはここロサンゼルスでよくザ・ロング・ライダースと一緒にギグをしたものです。以来良き友人同士、86年のアルバム『So Rebellious A Love/Gene Clark & Carla Olson』(BSMF-7568)でスティーヴンに参加して貰いました。


▲CD『So Rebellious A Love』 提供:BSMF RECORDS

また90年のアルバム『True Voices』では一緒に「Loving Arms」を歌いました。彼はマルチ・タレントなシンガー/ソングライター、そして才能あふれるギタリストです。このナンバーをレコーディングすることを決め二人は大いに盛り上がりました。二人がリードとハーモニーをチェンジするところに注目して!なかなかのデュエットぶりでしょう!?

M:「A Child’s Claim To Fame」はバッファロー・スプリングフィールド67年の名作アルバム『Buffalos Springfield Again』収録。良い楽曲ですよね、リッチー・フューレイ作品。
C:10代を過ごしたテキサス州オースティンでバッファロー・スプリングフィールドのライヴを何度も体験したワ。彼らの楽曲の中で特に「A Child’s Claim To Fame」が大好き。リッチーのハーモニー・パートをよく歌っていたんです。そして69年オースティンでその年に結成されたばかりのポコのステージも行ったのヨ。
M:ここではティモシー・B.シュミットと共演。彼はポコやイーグルスのメンバーとしてよく知られます。彼とはとはいつ頃からの知り合い? 
C:私と一緒に育ったとも言える音楽仲間、イーグルスのドン・ヘンリーの紹介でティモシーと出会いました(註:ドンの86年アルバム『Building The Perfect Beast』のタイトル・ソングでカーラはワディ・ワクテルと共にコーラスでジョインしている)。ティモシーと一緒にレコーディングするという発想はオリジナル・ヴァージョンでリード・ヴォーカルをとっていたリッチーには驚きだったようです。


▲CD『Building The Perfect Beast』 from Mike’s Collection

M:「A Child’s Claim To Fame」にはラスティ・ヤングも参加しています!
C:ラスティ・ヤングは2年前リリースのテクストーンズ再結成アルバム『Old Stone Gang』でスティール・ギターを演奏してくれました。今回のこのナンバーで私は彼にドブロ、ギター、そしてバンジョーをお願いしたのです。


▲カーラwithラスティ・ヤング 提供:Carla Olson

M:「Goodbye My Love」は1960年代をダイレクトに感じさせるポップなサウンドがとても素敵。65年のサーチャーズ大ヒット!
C:ハーマンズ・ハーミッツのピーター・ヌーンに一緒にレコーディンしてもらえないかと依頼したところ、あのピーターが躊躇なくOKしてくれました、嬉しかったです。ピーターは自分のお気に入りソングのこのナンバーを歌いたいと連絡してきたのです。この選曲はピーター・ヌーン!そして実は私もこの曲を大昔から歌っていたのです。そしてここでのジョナサン・リー演奏の12弦ギターがまさにブリティッシュ・インヴェイジョンの雰囲気をストレートに生み出しているのヨ。


▲左からジム・マスク ポール・マーシャル パット・ロビンソン カーラ ピーター・ヌーン マイク・クリンコウ アナ・ガゾーラ リック・へマート ティモシー・B.シュミット ジョナサン・リー 提供:BSMF RECORDS

M:ピーターとはいつ頃知り合ったんですか?
C:ピーターと私が出会ったのは1980年。当時ソウル・デイヴィスはテクストーンズと共にフィル・セイモアもマネージメントしていました。フィルはピーターの結成したトレンブラーズのアルバム『Twice Nightly』をサポート、その時ピーターと初めて会ったのです。
M:ハーマンズ・ハーミッツがサーチャーズ楽曲を演奏、僕らの青春時代です!ネッ!!(笑)
C:最近もピーターのライヴを観ます。ハーマンズ・ハーミッツの数多くの大ヒットばかりでなく当時のUKヒットをたくさん披露してくれるのです。ピーターの素晴らしい歌声はまさに永遠なの!

M:「Shackles & Chains」は元キングストン・トリオのジョン・スチュワート69年のアルバム『California Bloodlines』からの曲ですね。
C:80年代中期ジーン・クラークがジョン・スチュワートを紹介してくれました。ジョン没後、彼の妻バフィーが企画したジョン・トリビュート・ライヴに演奏して欲しいと依頼されました。その時演奏して欲しいとバフィーから手渡された譜面が「Shackles & Chains」。今回そのナンバーをビージーズのオリジナル・メンバーのヴィンス・メロニーとレコーディングしたの。


▲ヴィンス・メロニー 提供:Carla Olson

M:ヴィンスとの共演はソウルの推薦かな!?いつ頃からのつきあい。彼の魅力って?この曲の聴きどころもお願いします。
C:Mikeもよく知ってるようにソウルはビージーズのプロモーションを手掛けていました。70年代中期にヴィンスがロサンゼルスにやって来た時以来から二人は良き友人です。だから私もヴィンスとはもう長いこと仲良しです。ここでの彼のギターがまるでヴォーカルみたいでしょう!?二人のヴォーカル、デュオ・ソングに聴こえない!?(笑)

M:再びバッファロー・スプリングフィールドの登場。68年のアルバム『Last Time Around』から「Uno Mundo」、確かシングル・カットされたよね。彼らのこと大好きなんですね?
C:はい、バッファー・スプリングフィールド大好きです。15歳の時に最初のバンドを結成、ハイスクールでしたがそのバンド初演奏曲はバッファロー・スプリングフィールドの66年アルバム『Buffalo Springfield』1曲目「For What It's Worth」だったのです。その頃からリッチーとはずっと良き友人。リッチーはじめニール・ヤング、スティーヴン・スティルス、デューイ・マーティン、ジム・メッシーナが
68年にオースティンに戻ってきました。私は今でもその時貰った直筆サイン入りのバンド写真を持ってます(笑)。


▲カーラの宝物(1) 提供:Carla Olson


▲カーラの宝物(2) 提供:Carla Olson

M:この「Uno Mundo」を一緒に歌っているのがブラジル生まれのアナ・ガゾーラ。彼女との出会い、その魅力などを語ってください。そういえばアナはビージーズ・カヴァー・アルバムも発表していますね。
C:英語以外の言語も加えてのアナとのレコーディングはとっても楽しかったです。アナはここロサンゼルスでBrasil Brazilというバンドで活動しています。96年にB.B. King's Blues Clubで彼女のバンドのステージを初めて見ました。彼女は素晴らしいエンターテイナー、その時いろいろ話したのが最初。ブラジル音楽を世界中で演奏しているソニア・サントスはアナ
のバンドメイトです。アナがポルトガル語で歌っている2012年のアルバム『Musicas e Palavras dos Bee Gees』はプロデューサーとして手前味噌ながら力作だと自負しているの。


▲アナ・ガゾーラ 提供:Carla Olson

M:そしてこのナンバーではトッド・ウルフもジョインしているのです。
C:そう、彼とも長いつきあい。去年はドイツでアコースティック・ライヴしました。
M:日本公演実現できなくてごめんなさい。


▲カーラwithトッド・ウルフ@ドイツ 2019 提供:Carla Olson

M:僕はテリー・リードとは昨年インタビューしてとっても仲良くなったんですが、そのテリーと歌っている「Scarlet Ribbons(For Her Hair)」。この楽曲は1949年の作品で50年代に有名になりました。ジョー・スタッフォードがオリジナルでハリー・ベラフォンテ、キングストン・トリオ、ブラウンズなどで知られていますね。誰のヴァージョンをカヴァーしたの?


▲テリー・リード@TOKYO 2019 from Mike’s Photo Album

C:まずこの曲におけるテリーとの係わりから話しましょう。『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL Volume 1』準備段階で彼に「Scarlet Ribbons」を一緒に歌って欲しいとオファーしたのです。その当時、彼はツアーで多忙のため時間が取れなかったんです。それから数年後、去年のことです。たまたまテリーはサンタ・クルーズで私の友人と一緒にレコーディングをしていたんです。この機を逃しては…、そのスタジオに飛んで行きテリーにこの楽曲をヴォーカル&ギターでレコーディングして貰ったんです。このテープをロサンゼルスに持ち帰り私のハーモニーをオーバーダビングして完成させました。テリーも私もジミー・ロジャースのヴァージョン、そしてアイリッシュ・フォーク・ソングでもこの楽曲を聴いていました(註:33年生まれで「Oh-Oh, I’m Falling Love Again」のヒットで知られるジミー・ロジャース、彼は57年のアルバムでこの楽曲を取り上げています)。
M:テリーと知り合うきっかけは?
C:何時だったかしら、近所のスーパーで偶然テリーと会ったの、ウエイティング・ラインでね。私は彼にこう話しかけたの、68年のダラスでのクリーム公演を観ました。貴方のオープニング・アクトも印象的でしたヨ。話しているうちに、二人の共通の音楽仲間がいることを発見、そうミック・テイラー話題で大いに盛り上がったの(笑)。そして何といってもテリーは既存曲を自分のモノにするのがチョー上手くて、そこには彼流のとてもユニークなリズム感が生まれてくるんです。まるでジョン・リー・フッカーやロバート・ジョンソンみたいにね。

M:「Haunting Me」はレコーディングでコラボしているジム・マスクがソングライター・クレジットされています。新曲ですか?


▲カーラwithジム・マスク 提供:Carla Olson

C:違います。80年代にジムとパット・ロビンソンがフィル・セイモアのために共作した楽曲です。でもフィルはこの曲をレコーディングする前に他界。お蔵入りになっていたのです。とっても素晴らしい作品、レコーディングする機会をずっと狙っていたんです。
M:ジム・マスクを紹介してください。
C:ジムはミネアポリス出身、有名になる前のプリンスの友人の一人でした。その後ロスに移り、ソウルと一緒に音楽活動するようになり私とも知り合いました。ジムはパット&ソウルの3人でも曲作りもしています。この楽曲はジムの恋に破れた傷ついた気持ちを歌っています。

M:ここまでニュー・レコーディング・ナンバーについていろいろお話しいただきました。『HAVE A HARMONY, WILL TRAVEL 2』収録の旧作からのもう4曲についても簡単にご紹介ください!「After The Storm」は2000年レコーディング。2001年アルバム『Honest As Daylight:The Best Of Carla Olson 1981-2000』収録。ジーン・クラーク作品。


▲左からジーン・クラーク イアン・ウォーレス デイヴ・メイソン カーラ アル・クーパー スティーヴン・スティルス ジャクソン・ブラウン@The Roxy Theater ウエスト・ハリウッド 1987~88年頃 提供:Carla Olson

C:これはジーン・クラーク、パット・ロビンソン、ジョン・ヨークの3人でのザ・クライの80年代中期のコレクション・ナンバーとして知る人ぞ知る楽曲です。私は歌詞と12弦ギターの音色が大好き、まさにバーズのようです!私のヴァージョンでは友人の女優として有名なメア・ウィニンガムが一緒に歌ってくれています。彼女は素晴らしい歌手でもあるのヨ。

M:「Honey As Daylight」は94年レコーディングの貴女のオリジナルですよネ。素晴らしきソウル・バラード!
C:そうです、作曲が私で作詞はテクストーンズのドラマー、リック・へマート。日本盤CDではMikeがライナーノーツしてくれたソロ・アルバム『Reap The Whirlwind』収録。私が自分のアルバム用にレコーディングしていた同じスタジオでソウルとバリー・ゴールドバーグのプロデュースでパーシー・スレッジが新作に取り組んでいたのです。帰りにパーシーをホテルまで車で送る際、私は一緒に歌って欲しいとオファーしたの。


▲左からリック・へマート カーラ ミック・テイラー パーシー・スレッジ 提供:Carla Olson

このナンバーにはミック・テイラーも参加していますが、ミックはパーシーのほぼ同時期にリリースされたアルバム『Blue Night』でも1曲ギターを弾いてます。 


▲CD『Blue Night』 from Mike’s Collection

M:「When A Man Loves A Woman」で知られるパーシー・スレッジのヴァーカルがここではとても印象的です。
C:パーシーはとっても優しい人でした。彼はエキサイティングな雰囲気の中でレコーディングしてくれました。素晴らしい一時でした。彼は楽器を演奏しないので作曲方法を私にいろいろ尋ねてきました。二人でピアノの前に座って良さそうな音階をいろいろ奏でてみたもんです。ロサンゼルスばかりでなくスウェーデンでもそんな楽しい時間を過ごしました…。
M:ミックとは連絡とってる?
C:いろいろあるみたいでなかなか連絡が取れないけど、最近頑張ってコンタクトしようとしてます。


▲10年くらい前のミック・テイラーと筆者@Billboard Live TOKYO from Mike’s Photo Alubum

M:「Bossier City」はデイヴィッド・アラン・コウ
の74年アルバム『The Mysterious Rhinestone Cowboy』からの曲ですね。
C:デイヴィッド・アラン・コウ大好き!2009年にアイ・シー・ホークス・インLA(註:99年に結成されたバンド)から一緒にレコーディンしたいというオファーを受けたのです。ロブ・ウェラー、ポール・ラックス、ポール・マーシャル、ショーン・ナース、ジョン・マクダフィーと「Bossier City」と「Laissez Les Bon Temps Roulet」を完成させISHILAのアルバム『Should Been Gold 2001-2009』に収録されました。


▲CD『Should Been Gold 2001-2009』 from Mike’s Collection

今回は前者をここに登場させたの。グループのリード・ヴォーカルのロブはブルース・スプリングスティーンのような声をしているけど実はバリトン。彼と一緒に歌うのが大好き、丁度今私がプロデュースしている『The Americana Railroad Album』でロブは歌ってくれています。11月リリース予定のこのアルバムにはデイヴ・アルヴィン、ジョン・ヨーク、ジェームス・イントヴェルド、ゲーリー・マイリック、スティーヴン・マッカーシー、ロッキー・バーネット、ブライアン・レイが参加しています。

M:87年リリースのジーン・クラークと貴方のアルバム『So Rebellious A Lover』からの素晴らしい思い出の曲「Del Gato」が最後を締めくくります。
C:或時ジーン・クラークはこの「Del Gato」をソウルと私のために披露してくれたの。最初はマーティー・ロビンスのカヴァーかなと思いました。実はこの曲はジーンはが弟のリックと共作したのです。私の大好きなジーン・クラーク・ソング。彼と一緒に歌えたことはとっても素晴らしい思い出です!!


▲カーラwithジーン・クラーク 提供:Carla Olson

M:『Have A Harmony, Will Travel』シリーズ、ぜひともぜひとも続けてください!そして2021年にはLIVEも出来るといいですね、1993年以来となる日本公演も実現してください。


▲ 『Have A Harmony, Will Travel 2』リリース記念ライヴ@MaCabe’s Guitar Shop サンタモニカ 2020年2月21日 左からジョニー・インドヴィナ ロブ・ウォーラー カーラ ポール・マーシャル ジョン・ヨーク スティーヴン・マッカーシー べン・レコード 提供:Carla Olson

C:もちろん『Have A Harmony, Will Travel』シリーズ、ライフ・ワークとして頑張ります、Vol.3!そして一日も早く普通の生活が出来ることを願います。来年はぜひともライヴしたい、東京にも行きたいです。
Gambatte kudasai! Ja mata!

*2020年2月21日ライヴ映像




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