【インタビュー】植田真梨恵、新曲ダブル配信が物語る充実のアルバム制作「全てのひらめきとわくわくを一枚に」

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■“歌もの”って言っておきながら
■全体の色はオルタナティヴかも

──アルバムの主軸となる2曲が同時リリースされたという意味では、先行シングルと言い換えることができるかもしれませんね。

植田:「WHAT's」も「I JUST WANNA BE A STAR」もアルバムに向けての曲なので、やっぱりみなさんにはアルバムを楽しみにしておいてほしいです。それを伝えられる2曲だと思います。

──バラエティーに富んだアルバムになりそうですか? それとも両極に振り切ったものになりそうでしょうか?

植田:バラエティーでもあるかな……うーん。ミクスチャーって言うと違うんですけど、アコースティック楽器と打ち込みが、アナログとデジタルとして1曲の中に上手く共存しているっていうバランス感覚でつくろうと思っています。しかも、アルバム全体を聴いたときに、ゆったりした時間がないようにしたい。“ずっと忙しい”みたいな作品にしようとしているんです。たとえばバラードが入ってなかったり。

──ほー。

植田:私はやっぱり歌が好きだし、1990年代に育てられているので、退屈しない楽曲づくりみたいなところに影響を受けてきたと思うんです。その中でどうやら“オルタナティヴ”っていうものがすごく好きみたいで、そこに最近気づいたんですよ。なので、“歌もの”って言っておきながらですが、アルバム全体のカラーはオルタナティヴかもしれないですね。



──1990年代の音楽シーンはオルタナティヴ/グランジ隆盛期でしたが、植田さん自身もリアルタイムで触れたものがありました?

植田:どうなんだろう。私が好きな人たちが自分たちのことを“オルタナティヴ”って言ってたことはあったかな。だからドンズバは私の世代よりもちょっと上の人たちだと思います。私にとってのオルタナティヴは、たとえばレディオヘッドとかブラーとかベックとか。でも、安藤裕子さんのアルバムもiTunesのオルタナティヴっていうジャンルにカテゴライズされていたことがあって。

──音楽ジャンルであると同時に、アート性の高さを示す言葉でもありますよね、オルタナティヴは。それは去年デビュー5周年を迎えて、自身の歩みを振り返った上で見つけた行き先だったりもするんでしょうか?

植田:5周年を経て、頑張らなければいけないなとか、新しくなりたいなという気持ちは強くあったんです。歌ものとかポップスというものをいろいろな角度から考えたり。だけど正直、“ああ、この人は王道をやりたいんだね”とか“これって聴き心地として実はめちゃくちゃオルタナティヴだね”とかは、今、実際にアルバムの曲が少しずつ形になってきて、それを客観的に聴いたときに初めて自分自身で感じたことで。作品としてなるべくしてなってきているだけというか。“こうしよう”“ああしよう”っていう想いは、曲ができる前は漠然としていたんです。

──そのアルバムの制作進行状況については現在、ラジオトーク『植田真梨恵の朝まで生返事』で少しずつ語られていますね。今は、自身の作詞作曲ナンバーの曲づくりが終わって、作曲家の楽曲に歌詞をつけているんだけど、その作業が難航しているとか(笑)。

植田:そのとおりです(笑)。他の方がつくった曲に歌詞をつけるということは、ほぼほぼしたことがなかったんですね。イベント的に発生することはあったけど、それが植田真梨恵の作品として残るのは初めてで。

▲シングル「I JUST WANNA BE A STAR」(上段)/シングル「WHAT's」(下段)

──そういう初体験は楽しいものですよね。

植田:うん、面白いです。得意な作業ではないんですけどね。“メロディーが歌っている言葉を歌ってあげる”のか、“メロディーにわざわざその言葉を歌わせる”のか、“聴いている人が聴きたい言葉を歌わせてあげる”のか。もしくは“私が好き勝手歌う”かなんですけど、選択肢が多いんです。私は作品至上主義なので、“作品のありのままのかたちで”と思ってしまいがちなんですけど、やっぱり人さまが書いた曲だと、ありのままを、本当にありのままで汲み取ってあげることができないから。

──植田さんはトータルプロデューサー的な視点を持ってる人ですし。

植田:そういうことになるんですよね。

──作家さんの楽曲に歌詞をつけて歌う自身をプロデュースしていくという、また新たな扉を開けることになると思いますが、作曲家の方々とは直接のやり取りもあるんですよね?

植田:そうですね。作曲を依頼する一番最初に作曲家さん全員へ、とてつもなく長いメールを送ったんですけど、そのメールを読んでいただくと、実は一番、私の気合いが伝わるかもしれない(笑)。

──作曲のキーワードになるようなことですか?

植田:“退屈しない”、“こんなの聴いたことない”、“発明みたい”、“すごくメロディーがおもしろい”とか。なかにはヒットソングを書いてらっしゃる方もいらっしゃるので、“あえてヒットソングのセオリーを外す”とか。“感動する、切ない、ビックリする、そういう1曲をください、私が歌うので”って。あとは私自身の今回のアルバムに対する覚悟みたいなことも書きました。だから、アルバムの内容的には、難しいかもしれないし、覚えづらいかもしれない。だけど、昨年のライブでも言ったんですけど、アルバムツアーのテーマが<わくわく実験さんツアー>なので、“こんなアルバム作っちゃいました!”ってわくわくしながらみなさんに披露できるものになったらいいなって思いながら、つくり始めたんです。もちろん私が歌うことを前提に。

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