【ライブレポート】COUNTRY YARD、実験的スタジオライブ実施「届け方は最先端だけど、いつもと変わらない」

ツイート

COUNTRY YARDによる新しい形のライブが5月16日、Studio-Wakefieldから配信された。同場所はドラマーであり、PAであり、レコーディングエンジニアでもあるANDREW FOULDS (BBQ CHICKENS / FUCK YOU HEROS / FULLSCRATCH)のレコーディングスタジオだ。<WAKEFiELD SESSIONS>のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆COUNTRY YARD 動画

これまで行われてきた一般的なライブ配信は、ライブハウスやスタジオで演奏する姿を生中継もしくはライブをそのまま撮影したモノを配信するという形だが、今回の試みはそれらとは異なり、メンバー1人ずつが別日にレコーディングスタジオで、ライブさながら録り直しや修正は行わず一発録音していき、各セッションをMIX。最後のパートであるSit (Vo,Ba)のみ、スタジオにて生配信を行うというもの。その最終日の模様が有料パス購入者へ向けて生中継された。録った音を重ねていく、という工程だけ見れば公開レコーディングともとらえられるが、最後のピースがリアルタイムで埋まっていき、アーカイブも残さない刹那的な光景はまさしくライブそのものであった。



これは、FUCK YOU HEROESやBBQ CHICKENS、FULLSCRATCHといったバンドで活躍しながら、サウンドエンジニアとして数々のバンドのレコーディングやライブPAを担当しているアンドリュー氏が企画したものだ。新作『The Roots Evolved』がリリースされたが、コロナウイルス感染拡大とそれに伴う政府機関及び関係機関のイベント開催の自粛要請を受け、ツアーをすべてキャンセルしたCOUNTRY YARDへ声をかけて実現となった。定刻前からチャット欄は賑わい、参加者それぞれが胸の高まりをコメントしていく様はまさしくライブの始まりを待ち焦がれているいつも光景と変わらないといっていいだろう。企画発表から当日まで数日ではあったが、ライブを渇望しているファンのみならず、多くのバンドマンもこぞってアクセスする状況となった。

ライブ自体は画面が4分割した状態で、右上から時計回りにShunichi Asanuma (Dr)、Yu-ki Miyamoto (G/Cho)、Hayato Mochizuki (G/Cho)、そして最終日を担うKeisaku“Sit”Matsu-ura (Ba/Vo)が映し出された。Shunが大きくドラムをかき鳴らし、まずは新作の冒頭を飾った「Passion」からライブはスタート。始まった瞬間、まず驚かされたのはその臨場感と生々しさだ。とても別日に録ったとは思えないほどの連動性を持って、しがらみを振り切るように進んでいく。各々ひとりずつのプレイが重なり混じり合ったサウンドなわけだが、数多の現場を経験してきた彼らには、もはやメンバーの姿が見えているのであろう。アクセルの踏み出し具合もしっかり噛み合う。Sitも手を突き上げ、「歌ってくれよ!」と大きな声をあげ、奥深いグッドメロディーが秀逸な「Bad」へ。ツアーがなくなってしまった今、新作からの連投が本当に気持ちいい。


「初めての試みで、(ここには)ひとりですけど、あえて言わせてください。COUNTRY YARDです」とSitが力強く宣言し、Yu-kiが全身をしならせ、それに呼応するかのようにリズムも躍動した「I’ll Be With You」、画面越しに観るファンの声を代弁するかのようにアンドリュー氏も叫び、Hayatoのギターソロが炸裂した「In Your Room」、気持ちの高ぶりを抑えられないSitが前のめりで歌い上げた「I’m Alright,You’re Alright」と、ライブハウスで絶景を描いてきた名曲を続けていく。

「(ライブの)届け方は最先端だけど、音を出してる側はずっといつもと変わらないスタイル」とSitが今の気持ちを語ってから、MVも公開されている2曲をプレイ。メロディックパンクだけはなく、UKロックの遺伝子も持つ彼らの素養が色濃く発揮された「Tonight」、スタジオ全体が紫で照らされて適度な輝かしさが漂う「Purple Days」。どちらも新作の中核を担う存在だ。


その後もいいテンション感を保ちながら、「音楽に限らず、天井なんかないんだ。考えるほど、いろんなアイデアがあったり。恐れずにどんどんチャレンジしていきたい。オレ、そんな気持ちです」とこみ上げた感情をSitがこぼし、音の鳴り方が素晴らしく、一気に引き込まれる「Not A Stairway」を奏でた。その後、「この環境だからこそ気づけた」という気持ちを語る姿も印象的だった。

「誰かに聴いてもらうために歌ってるんじゃないっぽいです、オレ。自分が歌うことによって、自分自身にある隙間が埋まっていくんですよ。だから、(誰も)いなくても楽しいし。今、目の前に(お客さんがいる)いつもの景色が広がってないからこそ、気付けること。この状態でライブハウスへ行ってみんなの前でライブをやったら、また別のミラクルが自分の中で生まれると思います」──Sit

そして、クライマックスへ駆け出すにふさわしい「Daylight」を放ち、本編の締めくくりには絶妙な間からAsanumaのカウントが始まり、「Smiles For Miles」を投下していった。


アンコールでは「これまでの気持ちに今の気持ちを加えて歌っていきたい」とSitが宣言した「Don’t Worry, We Can Recover」と「Seven Years Made My Now」を披露。彼らの魅力を存分に味わうことができた時間となった。

終盤に差し掛かって回線のトラブルが生じ、やきもきしたファンもいたであろうが、突発的な何かが起こるのもライブならでは。観終わった後、誰かに語りたくなる体験ができたのは間違いなく、この自粛時間に何かできないかとDIYで新たなライブスタイルを模索してくれたことに称賛を送りたいと思う。

また、COUNTRY YARDは、未発表ではあったものの新作のツアーファイナルとして予定していた公演があり、そちらは何かしらの方法で開催できないか協議しているとのことだ。


■Studio-Wakefield presents<WAKEFiELD SESSIONS>

2020/05/16@Studio-Wakefield
The First Guest:COUNTRY YARD
opening time 21:00 / streaming time 21:30




■4thアルバム『The Roots Evolved』


2020年3月4日リリース
PZCA-88 / ¥2,500 (without tax)
01. Passion
02. Bad
03. Moon July
04. Tonight
05. Not A Stairway
06. Son Of The Sun
07. Purple Days
08. Turn On, Tune In
09. When I Was Young
10. Daylight
11. I Don't Want To Stay Here




この記事をツイート

この記事の関連情報