【インタビュー】THE SLUT BANKS、最新作『Rock'n'Roll to the MAX』は「免疫力の上がるアルバム」

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去る5月13日、『Rock'n'Roll to the MAX』と銘打たれたニュー・アルバムを発表したTHE SLUT BANKS。新型コロナ禍の影響により思うように身動きが取れない状況下、ライヴ活動がままならない彼ら自身のなかでも鬱憤が溜まっていたはずだが、そんな渦中の5月某日、メンバーたちが三密を避けながら都内某所に集結する機会があるというので、その場に赴き、この刺激的新作について話を聞くことになった。

◆THE SLUT BANKS 画像

ちなみにこのアルバムは発売直後にオリコンのデイリー・チャートでトップ10入り、さらにウィークリー・チャートでもトップ20入りを果たしており、多くのCDショップが休業中だった時期にもダイ・ハードなファンたちが確実にこのアルバムを手に入れていたことが裏付けられている。また、以下のやり取りのなかには、各メンバーのこのバンドでの正式呼称以外の名前がいくつか登場する。改めて説明するまでもないはずではあるが、DUCK-LEE=戸城憲夫、ACE DRIVER=坂下丈朋であることを念のためご承知おきいただきたい。そして今作は、若きニュー・ドラマー、GODを擁した編成での最初のアルバムということになる。

   ◆   ◆   ◆

■デザインがバシッと提示されたことで
■もやもやしてた気持ちが全部吹っ切れた

──ほぼ年に1枚のペースを崩さずにアルバム・リリースが続いていますが、今作『Rock'n'Roll to the MAX』の発売に際してはどんな気持ちですか?

DUCK-LEE:正直、今はライヴができなくて残念だけど、音源はこうして新曲満載ですごくいいものができたと思ってるし、ミュージシャン冥利に尽きるというか。ありがとうございます、という気持ちだね。

ACE DRIVER:同感ですね。このご時世、いろんな計画を組んでたのに思うように活動できなくて悔しかったりするのはみんな一緒だろうけど、それでもこうして音源はできたわけで。今はこれを家で聴いてもらって、いつかライヴで一緒に炸裂できる時を夢見て待っててもらえたら嬉しいな、と。

DUCK-LEE:なんか締めの言葉みたいだな、おい(笑)。

ACE DRIVER:ははは! 確かに。

──GODさんはどうですか、今作が初参加となったわけですが。

GOD:まさか自分の初参加作品が出る頃にこんなことになってるとは思ってもみなかったし、ライヴができなくなったばかりじゃなく、普段会える人とも会えなくなったわけですけど、逆に、だからこそこの音源の流通によって多少なりとも会えない人たちとの距離が縮まればいいかな、とも思うんですよね。そういう意味では、こうして音源がリリースされることのありがたみが身に染みてくるというか。

──同じ音源を聴くことで繋がりを感じていて欲しい、ということですね?

GOD:うん。そのへんはある意味、ネット社会になった時代の強味でもあると思うんですよ。

TUSK:なるほどね。今はこうして思うように動けない状況にいますけど、2020年のアルバムってことで、そもそもはオリンピックなんかもちょっと意識しながら作り始めてたわけですよ。ただ、歌詞に関しては2020年に入ってから書いたものばかりなんで、なかなかこのご時世に沿った……免疫力の上がる仕上がりになってるんじゃないか、と(笑)。

DUCK-LEE:それはいいね。免疫力の上がるアルバム、というのをキャッチ・フレーズにしたいところだな(笑)。

TUSK:ただし個人差はあります、みたいな(笑)。だけど実際、非常にいい出来だし、聴いてて気持ちの上がるものになってると思います。

▲アルバム『Rock'n'Roll to the MAX』

──実際の宣伝文句には「キワドイBABY」の歌詞にも出てくる“骨がしびれるような夢の中へ”という言葉が使われてますけど、しびれるばかりじゃなく免疫力向上にも繋がるアルバムになっている、と。今年に入ってから書いた歌詞ばかりだということですけど、当然、こういった事態については想定せずに書いていたわけですよね?

TUSK:もちろん。だけど俺的にはそんななか、「二転三転」で、“二転三転コロコロ”とか歌ってんのがなんか、象徴的というか。

DUCK-LEE:実際には二転三転、コロナコロナだったわけだけど(笑)。

TUSK:全然こうなる前に書いてあったんで、ああ良かったな、と。

──変な話、リリース予定が2ヵ月後とかに組まれていたら、歌詞にも新型コロナ禍による影響が直接的に反映され兼ねなかったわけですもんね。

TUSK:そうだね。とはいえ、そもそも我々のレコーディング作業も後半のほうはリモートワークで対応してたくらいだからね。音のチェックとか。

DUCK-LEE:それはいつものことじゃん、今回に限らず(笑)。

TUSK:でもねえ、やっぱり動揺はしてたよ。ダイヤモンドプリンセス号の騒ぎが始まったのが2月だったよね? 今回、歌入れが2月のなかばくらいまで続いてて、あれくらいの時点で録り残してたのが「2月のさよなら」とかだったんだけど、“わあ、もうちょい前に録っとけば良かった”って思ったよ。気持ち的な影響がまったくないとは言えないからね。

DUCK-LEE:同じ頃、ちょうどこのジャケット制作の時期でもあったな。“オリンピックどうすんの?”みたいなことになってきて……。

TUSK:うん。このデザインが戸城さんとデザイナーからバシッと提示されたことで全部吹っ切れた、というのはある。それまでの、もやもやしてた気持ちがね。

──ジャケット写真もそうですけど、ブックレットの中を見るとオリンピックにあやかったアートワークであることがいっそうよくわかります。

DUCK-LEE:うん。しかもそこには政治的なメッセージも含まれてるからね。……というのはもちろん嘘だけど(笑)。

GOD:バンドのロゴもオリンピック・カラーになってて(笑)。

TUSK:このジャケットは俺、世界に向けて発信すべきだものだと思うよ。Tシャツにすべきだね、これは。

DUCK-LEE:今頃デザインしてたら、ジャケットの登場人物は防毒マスクじゃなくて、顎の出た布マスク姿になってたかもしれないけど(笑)。まあでも、政治色が変に強くなりすぎるのもちょっと違うからな。


──さて、アルバム自体の話をしましょう。1曲目の「サクラハナビラ」を最初に聴いた時は驚きましたよ。まっさらな新曲のはずなのに聴きおぼえのある曲だったから。

DUCK-LEE:そうそう。ただ、前とはアレンジとかが違うからね。

──前作『NOIZ THE RIPPER』(2019年発表)の購入者特典音源だった「死に顔にサクラハナビラ」が発展したもの、ということになるわけですよね?

DUCK-LEE:うん。あの曲は、ホントはあのアルバムに入れたかったんだけど、アレンジとかプレイとか、いろいろ含めて全然自分で納得がいかなかったから一度はボツにして。ボツっていうか、本編から漏れただけのことだけど。今回だってあの感じのままだったら入れようとは思わなかったけど、転調とかもいい感じでできたし、これだったら入れたいな、と思って。

──アレンジという意味では、全体的に前作とは大きな違いがありますよね。前々作の『ダイレクトテイスト』(2017年発表)では鍵盤が導入されていたのに対して、前作では本当に4人の音だけというシンプルな音像になっていて、今回はふたたびさまざまな鍵盤の音が。前作でのアプローチからの反動みたいなものもあったんでしょうか?

DUCK-LEE:いや、前回はライヴでの再現性とかいろいろ考えてそうしたんだけど、今回はあんまりそういうことも考えずに……。そしたら結果的に、ホントにライヴのことを考えなくていい状況になっちゃったわけだけど(苦笑)。まあ今回は、自分流のポップなやつというか、そういうものにしてみたかっただけなんだけどね。ライヴでやった時に“あれ? 音源と違うじゃん”と思わせるのも面白いし。

ACE DRIVER:そういう意味では、もっと重ねるのもアリだったかも。

DUCK-LEE:うん。そういえば俺、マッスー (=筆者)に相談しようと思ってたことがあったんだよ。1曲目の「サクラハナビラ」は(HANOI ROCKSの)「Malibu Beach Nightmare」みたいにしたかったから、モーガン・フィッシャー (MOTT THE HOOPLEのキーボード奏者。同楽曲にピアノでゲスト参加している)に弾いてもらえないかな、なんて思って。

──彼はずっと東京在住ですからね。言ってくだされば紹介しましたのに。実は昨年末に取材したばかりなので連絡先も知っているので。

DUCK-LEE:そうだったんだ! でもまあ、原曲と比べると全然テンポが速すぎるし、これを頼むのはキツいかなあ、とも思ってね。あと、ギャラも高そうな気がしたし(笑)。

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