【レポート】内澤崇仁、“音声のみ”の類稀なる可能性を引き出した配信ライブ<U>Vol.2

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内澤崇仁(androp)による弾き語り配信ライブの第2回<「U」 ~Bedtime Stories Vol.2~>が、6月12日(金)23時よりStreaming+にて配信された。

◆内澤崇仁(androp) 画像

<U>は、新型コロナウイルスの影響により人々の環境が変化していく中で“きっと一番落ち着けるであろう時間・場所に音を届ける”というコンセプトをもった配信ライブだ。配信開始が23時から、そして音声のみの配信をあえて動画対応のStreaming+で行なうという特殊な性格の配信ライブでもある。この引き算により、視覚的な要素は各リスナーのもつプライベートなイメージへと委ねられる。人間の想像力の中に開拓すべき場所を見出した配信ともいえるだろう。

Vol.2の配信は、アンビエントとエレキギターの音色が調和する心地よいイントロからスタート。内澤が楽器を手にする動作音がマイクに入り、ガットギターがそっと鳴り始める。自然と耳を澄ましたところへ最初に披露された「Koi」では、一音一音丁寧に、リスナーのすぐ側で歌うような内澤のボーカルが空間を切なく彩った。

「こんばんは、内澤崇仁です。2020年6月12日、今日はあなたにとってどんな一日だったでしょうか」と語りかける内澤。最初のMCでは「どんな感じで聴いてくれているんだろう。笑ったりしてるんですかね。一人で聴いてたりするのかな。それとも大切な人と一緒だったりかな。横になって目閉じて聴いてくれてたりするんですかね」と、音を通してリスナー一人ひとりに思いを馳せる姿も語り口から浮かび上がってくる。

続いて披露されたのは、弾き語りでは初披露となる「Blanco」。ストーリー性と懐かしさを感じさせるこの一曲は深夜に聴くとアコギの音色も手伝ってあたたかい。また、今回は初回配信時にはなかったエレキギターへの持ち替えもおこない、同じく弾き語り初披露となる「HoshiDenwa」でも魅せた。シンセティックに、夜空のように華やかになったギターの音色が音景に広がりをもたせていく。

「やっぱり、バンドでやりたいな」というぽつりとした呟きから、内澤はヒトリエの「フユノ」をカバー。ハスキーな歌声から熱をこめてサビのロングトーンを歌い上げ、眠るどころではないライブ感が出てきた。さらに、ここで内澤が上白石萌音に提供した楽曲「ストーリーボード」のセルフカバーも披露された。楽曲提供した側と受けた側と、両者に共通するやさしくみずみずしい目線がありありと伝わってくる。クラップを誘うようなリズミカルなカウント音も交えながら。

「今、ギターに囲まれてて、ギター6本あります」。前回配信時の4本からギターも増えた。1曲目に使用したガットギターが1本、エレキギターが1本、12弦ギターが1本、アコースティックギターが3本。中間のMCでは内澤がandropでボーカルを担当するまでギタリストだったことにふれ「意外と11年、ボーカリストとして生きてるんだな」と所感を一言。そして、内澤がandropのCDデビュー前にボイストレーニング指導をうけ、その急逝に直面した“先生”のことも語られた。詰まる想いとともに。“先生”が現在の内澤と同い年で亡くなったことに、内澤は今年の墓参りの際に気づいたという。

「受け継いだものは今も心に生き続けていると思って、次はその当時作った歌を久しぶりにやります」と披露されたのは「Missing」。内澤がボーカリストであり続ける限りその意味合いが大きくなっていく楽曲だ。朴訥な弾き語りが逆に胸を衝くような、そしてボーカリストとして11年やってきた内澤の“いま”が現れている歌唱だった。

ライブ会場であれば間違いなく静かな拍手が沸き起こってくるであろうシーンだが、この配信ライブではそういった双方向性は配信が終わるまで発生しない。リスナーが感情を胸に留めたままでいるところへ、「最近泣いたあなたへ」というシンプルな曲紹介で「Rainbows」へつなげる。雨で湿気った空間に光が差し虹がかかるイメージだろうか。さらに、ピアノの音がする。並んでいるのはギターだけじゃなくピアノもあるのかとちょっと嬉しい驚きから届けられたのは、ピアノ弾き語りでの「Songs」。真夜中の視聴にふさわしい穏やかな鍵盤のタッチと、エモーショナルな内澤の歌声が大きな盛り上がりを生み出した。

配信ライブ本編ラスト1曲を披露する前に、内澤からはandropの今の状況についても語られた。本来、この配信が行われた6月12日はandropが全国ツアー初日公演を開催する予定の日だったが、新型コロナウイルスの影響でツアー公演はその多くが1年後の開催へと延期された。

「今からもうそんな発表をして大丈夫なのかと思う人も、少なからずいるかと思います。中止という判断をすることもできるけど、むしろそちらの方が簡単かもしれないけど、でも、あえて未来の希望を提示したいと思っています。もしまた大切な場所で音楽を心から楽しめる日が来たら、一緒に楽しみましょう。場所は、僕たちが提示していきます」と内澤。同時にこの配信についても「配信ライブならではの音楽の提示もできるかと思います。そういった意味ではこの<U>という場所も忘れられない大切な場所です」と言葉を残した。

Vol.2本編のラストナンバーは「Home」。andropというバンドは、その初期においてメンバービジュアルを一切公表せず「音だけで判断してほしい」とメッセージを打ち出していたバンドだった。デビューから11年目を迎えた今、そのルーツが芯はそのままに形を変えて現れてきたことに「Home」を聴きながら唸らされる。

アンコールでは、映画『サヨナラまでの30分』の劇中バンド・ECHOLLへと内澤が提供した楽曲「風と星」のセルフカバーを披露。貴重な弾き語りで配信ライブを締めくくった。「おやすみなさい。いい夢を」という挨拶で、あとには配信の終わりを告げるアウトロのメロディからリスナーが自分の生活音へ戻る。この余韻まで含め、<U>ならではの音楽体験かもしれない。

今回配信された<「U」 ~Bedtime Stories Vol.2~>は6月19日までアーカイブされており、チケットを購入することでアーカイブ視聴が可能だ。収益の一部は前回に引き続き内澤崇仁の故郷・青森のライブハウス「八戸ROXX」の支援に充てられる。




■配信概要

『Takahito Uchisawa 「U」 ~Bedtime Stories Vol.2~』
配信日時:2020年6月12日(金)23:00~
チケット代金:¥1,500(税込)
チケット購入URL: https://eplus.jp/takahitouchisawa-st+/
チケット販売期間:2020年6月4日(木)12:00~6月19日(金)21:00
※6月19日までアーカイブ配信あり

■『androp×Creepy Nuts「SOS! 2020」』

2020年6月25日(木)20:00配信スタート
※アーカイブ配信:2020年6月28日(日)まで
出演:androp / Creepy Nuts
チケット代:2,800円(別途応援チケットの販売あり)
申し込みURL:https://eplus.jp/androp-creepynuts-st/
申し込み期間:2020年6月13日(土)12:00〜6月28日(日)21:00

■「SOS! 2020」オリジナル(とんだ林蘭デザイン)Tシャツ
2020年6月25日(木)より「e+Shop」にて販売開始

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