【メールインタビュー】小柳ゆき、13年ぶりオリジナルAL完成「とても感慨深いです」

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オリジナルアルバムとしては実に13年ぶりとなる、小柳ゆきの新作『SPHERE〜球宇宙〜』。リリースに先駆けて配信されていた「SPHERE -feat.デーモン閣下-」の世界観に圧倒されたリスナーも多かったはずだが、その楽曲を含む今作は、彼女自身の美意識や思想、哲学などが美しく具現化された非常にコンセプチュアルなアルバムに仕上がっている。小柳ゆきの新たな幕開けを告げると言っても過言ではないこの作品について、今回はメールでインタビューを実施。制作の過程や楽曲のテーマ、音楽に対する思いなどを聞いた。

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■とにかくワクワクする事がやりたかった

──オリジナルアルバムとしては13年ぶり。まずは、発売を前にした今の率直なお気持ちを聞かせてください(※インタビューは2020年6月末に実施)。

小柳ゆき:コロナ禍でレコーディングも中断しリリースできるか心配でしたが、無事リリースまでたどり着きホッとしています。そして13年ぶりという事もあり、とても感慨深いです。アルバム制作にあたり、事務所独立をした私をバックアップしようと本当に沢山の方々が力を貸してくださいました。本当に感謝です。

──デビュー20周年を迎え、独立や4年ぶりの新曲「Prelude」のリリースなど、音楽活動がますます活発になって来たところでのアルバム。今作にも収録されていますが、あの「Prelude」はすでにアルバムの構想が出来上がった上での配信だったのでしょうか。また、配信後のリスナーの皆さんからの反応をどのように受け止めていらっしゃいますか?

小柳:あの時点でのアルバム構想は1割程度でした。「Prelude」の皆さんの反応は『これぞ小柳ゆき』『再出発の決意を感じた』など、私の気持ちを感じ取ってくださっていて、とても嬉しかったです。

──それでは、アルバムについて具体的にお伺いします。制作自体はどのようにスタートしたのでしょうか。

小柳:環境を整えるところから始まったので、実際にアルバム制作に着手できたのは去年の12月頃でした。途中、コロナでの制作中断でやきもきしたりもしましたが、自粛期間中にここまで走り続けてきたペースがゆったりとなり、音楽や自分自身とじっくり向き合う時間が持てたようにも思います。制作はもともとあった姉HIROMIの曲「サイドウェイ-並行世界-」から始め、次がデーモン閣下との曲「SPHERE」。その後沢山のデモの中から作家のLantanさんに出会い、楽曲制作を依頼しました。歌詞は、元々なんとなくイメージがあった「サイドウェイ」と「SPHERE」から書き始めました。最後に仕上がったのは「ハジロホシ」で、レコーディングギリギリでした(笑)。

▲小柳ゆき/『SPHERE〜球宇宙〜』

──『SPHERE〜球宇宙〜』。とてもインパクトのあるアルバムタイトルだと思いました。<始まりから終わり。また始まる。>という言葉にも通じていくと思いますが、なぜ今作のテーマが宇宙にたどり着いたのか、このタイトルにはどんな想いが込められているのかなど、ぜひ詳しく聞かせてください。

小柳:宇宙は丸く繰り返しているなら、今こうして存在しているものは宇宙の1つの細胞で、生命で、時に強かったり儚く愚かだったり…でも懸命に生きる姿は美しくて。日々生活している、なんてことのないこの瞬間もそのサークルの1つなんだなぁと。そんな想いを、球宇宙で表現しました。

──小柳さんはそもそも宇宙というものに魅力を感じていたのですか?

小柳:子供の頃、宇宙の写真を見て綺麗だな〜とワクワクしていました。大人になるにつれてその美しさ、神秘さ、そして怖さに魅かれていきました。5年くらい前から宇宙のものを書きたいな〜と思っていたのですが、今回は久々のアルバム制作だし、とにかくワクワクする事がやりたかったので、必然的に宇宙がキーワードになりました。

──アルバムのリリースに先駆けミュージックビデオも公開されましたが、「SPHERE -feat.デーモン閣下-」は非常に美しく、迫力のある仕上がりでした。撮影の時のエピソードを伺いたいです。

小柳:コロナで延期になっていたのですが、自粛解除になってから万全を期して撮影に臨みました。ソーシャルディスタンスをとる為、当初のストーリーを変更し、CGを使ったり、ストリングスの方が装着するVRで時勢を反映させた仮想世界というもので繋がっているというストーリーを加えたりしました。衣装は『平和の賛歌』を探し続ける旅人のイメージで、ドレスではありますが、ベージュで麻の素材にしたことで旅人感が出たかなと思います。閣下の撮影では、閣下がフレームインするだけで空気が変わり、一瞬で世界観が深まっていきました。1つ1つの動きや表情が本当に素晴らしく、私を含めスタッフ一同、感嘆のため息を漏らしていました。そして重要なキーパーソンの「潤ちゃん」が天使のようにめちゃくちゃ可愛くて、悪魔と天使と魔女のコラボという感じになりました(笑)。



──デーモン閣下とは昨年行われた<20th Anniversary Live “DON $ YOKU”>での共演も記憶に新しいところですが、今回の共演に至ったきっかけを聞かせてください。

小柳:閣下の「A STORY OF THE AGES-神話溶融-」に、私がゲストボーカルとして参加させて頂いたのが最初の出会いです。<“DON $ YOKU”>で久々にご一緒しましたが、その時も全てをぶつけさせて頂きました。とにかく楽しかったです。実は<“DON $ YOKU”>に出演して頂く前から、今度は私の作品にゲストとして参加していただけないでしょうかというお話をさせて頂いていました。「SPHERE -feat.デーモン閣下-」は、閣下とのコラボをイメージして作った曲です。

──レコーディングはいかがでしたか?

小柳:別々の歌RECでしたが、閣下のレコーディングには同席させて頂きました。歌詞を書く時、「バクテリア」や「喰らいつくし」「絶望さえもすぐそばに」など閣下に歌ってもらいたいと思うワードで書いたところがあるのですが、想像以上の表現をしてくださり、とても嬉しかったです。歌声は繊細で、叫びで、最高です。

──小柳さんご自身が手掛けた歌詞の中にある、「宇宙(せかい)は何度も巡るの」というフレーズがとても印象的でした。これはデーモン閣下の「A STORY OF THE AGES-神話溶融- Feat.小柳ゆき」で歌われていた「世界は回り続ける」にも通じる部分なのかなと解釈しましたが、歌詞を書くにあたって前回の共演を意識された部分などはありましたか?

小柳:そこはあまり意識していませんでした。

──「SPHERE -feat.デーモン閣下-」の歌詞の中には「破壊して行くバクテリアの様に 喰い尽くし蝕み蔓延る」といった部分もあり、奇しくも現在の地球を歌ったもののようにも捉えられました。「目覚め始めてる虚飾にまみれた世界」「傷つけ合うのはどうして」なども今の社会情勢とも切り離せない言葉のように響いて来ますが、そもそも何か危機感のようなところからこの歌詞は生まれたのでしょうか?

小柳:真実を知ることって、苦痛を伴う事が多いですよね。しかし謎好きな私は、なんでだろうと知りたくなってしまう性質なもので(笑)。のぞいてみて、何を自分は選択するのかなぁと。間違いない正解の答えはないと思うのですが、考え続けていきたいですね。そんな事をちっさな自分が勝手に考えていても、宇宙は変わらず回り続けていくんでしょうけど(笑)。

──この「SPHERE -feat.デーモン閣下-」は、曲を矢野まきさんと松岡モトキさんが手掛けていらっしゃいます。お二人との作業はいかがでしたか?

小柳:テーマ自体も巡る宇宙、そして閣下とのコラボ曲という事もあり、壮大で美しく鬼気迫るような世界観をという事で、何度かデモを作って頂き打ち合わせを重ねました。メロも、閣下と私のぶつかり合いが存分に発揮できるようなものにして頂きました。お二人は、私の意向を汲んでくれようと親身になって相談に乗ってくださいました。素晴らしい楽曲に出会わせてくださり、お二人には本当に感謝です。

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