【インタビュー】アルスマグナ、11人+1匹からの応援ソング

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■僕らはどういう応援ができるんだろう?

──楽曲制作は今回のコロナ禍の中で進められたんでしょうか?

アキラ:いえ、実はその前に作ってました。3月に新メンバーの加入を発表して、本来は6月頃にリリースしようとしていたのが、こういう事態になって8月に延びたというのが正直なところですね。

──では、メッセージ性の強い一種の応援ソングになったのは、ただの偶然?

アキラ:偶然というか、アルスマグナは異次元なので、日常からの逃げ道を提供したい、僕らのライブに来たときくらいは、非現実な世界を楽しんでほしいって、常日頃から思っているんです。特に何かを始めるときとか新しくなるとき、例えば新学期が始まるときや新しく会社に勤めるときって、絶対に恐怖もあるじゃないですか。じゃあ、メンバーが11人になって初めての作品で、僕らはどういう応援ができるんだろう?と考えたときに……僕らはスーパースターでもないし、僕らのおかげで地球環境が良くなるとか戦争が無くなるってことも絶対に無いんですよ。だけど身近にいる人、例えば親だったり兄弟だったり友達、もしかしたらテレビに映ってるアイドルが、自分の中でのヒーローになってることってありませんか?って。そういった日常の些細なところにだって光ってるものがあるよ……っていうことを、この曲では伝えたかったんです。

──だから“Little”という謙虚な表現になってるんですね。身近な人がヒーローになりうるんだから、君だって誰かのヒーローかもしれないよと。

アキラ:はい。

リンネ:僕はサビ終わりの“君ができないこと 僕がするから”に、すごく共感できたんです。実際ダンス部に入ってから周りの皆さんにいろんなことを助けてもらったので、今度は僕らからメイト(※アルスメイト=ファンの愛称)の皆さんに、同じことをしていきたいなと。

ダイチ:その直後に来る“君はとなりのMy Little HERO”が、もう僕の中では刺さるというか。まるで喋りかけてる風に聴こえて、歌っていても一番自分の感情が入りやすいんですよ。振り付けもココでバーン!と締めるんで、すごく気持ちよくて。ライブでやれたら、観た人に何か持って帰ってもらえるんじゃないかなぁって、その日が待ち遠しいです。

タケル:アルスマグナに加入したばかりだったので、僕もこの曲の歌詞には本当に励まされましたね。なので、大事に踊りたいな、伝えたいなと思ってます。

▲小日向タケル

タツキ:僕は1Bの“君が抱えたそのコンプレックスは 誰かへ憧れる 夢のキッカケになる”っていうところが、特に刺さりました。コンプレックスって何を言われても解消できないものだけれど、こんな言葉をかけてもらえたら綺麗に救ってもらえるというか。コンプレックスって誰もが持ってるものだから、いろんな人に聴いていただいて、少しでも救えたらいいですね。

アキラ:コンプレックスって見方を変えるとチャームポイントになるし、そんなあなただから一緒にいるんだよっていう、力強いメッセージソングなんです。だからコンプレックスをさらけ出したとき、否定しないで聞いてくれた人は自分にとってのヒーローになるわけで、そんな人生の中での小さなキッカケが、この曲にあったら嬉しいなって思います。とはいえ、どんな風に受け取ってもらっても構わないんですよ。“すごく良い曲だな!”でもいいし、“サマーソングだなぁ”でもいいし。

──確かに、夏のムード満点ですよね。サンバ感だったりレゲエ感もある。

タケル:最初はゆっくり始まって、途中からワーッ!と勢いのある感じになったかと思いきや、リズムが変わって落ち着いて。そこから、また上がるっていう流れなので、いろんな音楽の面白さを見せられる曲じゃないかと思います。

アキラ:メジャーデビューしたとき、“アルスマグナの楽曲って、国で表したらどこが一番合うんだろう?”っていう話が出たんですよ。で、1stシングルの「ミロク乃ハナ」は和物だったり、2ndの「夏にキスしていいですか?」ではインドに行ってみたり。じゃ、アニソン的なものは?ってことで3rdの「ひみつをちょーだい」があったりと、いろんな形でやらせてもらった結果、アルスマグナって国を決めちゃダメなんだねってことになったんです。むしろ1曲の中で世界旅行ができるくらいでもいいんじゃない?って、作曲の方ともお話させてもらったから、この曲もジャンル不明な感じだけど、そこにこだわらず幅広く取り入れられるのが自分たちの強みかなっていうのはありますね。

──そんな楽曲をただのシングルではなく、映像ありきのDVDシングルという形にしたのは、何故だったんでしょう?

アキラ:僕ら見た感じ、うるさいじゃないですか。なので、どうにかして視覚でも楽しんでもらいたいんですよね。カップリングなんて音だけ聴いたら“こいつら何者? 何人いるの?”って感じなんで、できることならわかった上で聴いてもらった方が、より楽しいんじゃないかと。それでケント先生の別荘で、MVの撮影をしたんです。

──しかし、今の時勢をバッチリ反映して、フェイスシールドをつけたまま踊っているのには驚きました。

ダイチ:ああいうことができるのも、僕たちの強みだと思うんです。普通のアーティストだったら、どうしてもカッコよさを追求しがちなところ、むしろ、ああいうことをしてこそアルスマグナというか。ピンチをチャンスに変えられたんじゃないかなぁと。

▲津田ダイチ

リンネ:フェイスシールドをつけて踊ることが初めてで、しかも撮影の日すごく暑かったから、すごく……苦しかったです! でも、楽しくはできました。

タツキ:苦しかったよね(笑)。やっぱり熱はこもるし、汗拭けないし。でも、このご時世しょうがないじゃないですか。フェイスシールドでも踊れるっていう証明もできたし、いろんな提示の仕方ができたんじゃないかな。

──特にリンネさんとタツキさんは、他メンバーよりダンスシーンが多くて大変でしたよね。

タケル:それ聞いて、やっと腑に落ちた! 撮影中にリンネのフェイスシールドがすごく汚れてたのは、そのせいか。すごく頑張ってたんだね。

リンネ:そんなむっちゃ汚いみたいな……。

ダイチ:指紋ベトベトだったよね(笑)。

タケル:フェイスシールドをつけてることを忘れちゃうから、つい触っちゃうんですよね。ちなみにカブトムシを食べさせられたときも、フェイスシールドつけてたんで、吐いた虫の残骸が30分くらいずっとくっついてました。それが臭くて!

タツキ:あ、羽根ついてたわ!

アキラ:ただ、気になったのが……僕、11人になっても未だにセンターでボーカルやらせてもらってるんですね。で、どんなときでも見学する姿勢って大事だと思ってるんですよ。特に新メンバー6人にとっては初めてのMV撮影なわけで、なのに、僕のリップシンクの撮影のとき、みんな飯食ってて誰も見てくれなかった!

ダイチ:お弁当頂いてました! 楽しく(笑)。

タツキ:リップシンク撮ってたこと自体知らなかったからね。

タケル:僕、気にはなってたんですよ!

アキラ:あと、ソーシャルディスタンスで筋トレとか、面白いシーンもいっぱい撮ったのに、全部カットされてて! まぁ、たくさんお蔵になったってことは、そのぶん撮れ高があったってことなんで、自分をほめてあげたいです。

タツキ:たしかに!

──ちなみにレコーディングには、他のメンバーはどの程度参加したんですか?

アキラ:「My Little HERO」に関しては、コーラスとガヤでリンネとタケルに入ってもらいました。もともとダンス部のイベントを1、2月にやったとき、「何かやりたいことないの?」って聞いたら、リンネは「歌をやってみたい」って言ってたんです。で、タケルも三線を趣味でやってるから、じゃあ、歌もやってみればって。

リンネ:実際レコーディングに行ってみたら、同じフレーズや一言だけでも何十回も録るんですよね。1曲作るのに、こんなに時間をかけてるんだ!っていうのを実感できて良かったです。

▲宇迦野リンネ

タケル:僕はレコーディングのブースに入るのも、レコーディング用のマイクの前で歌うのも初めてで、良い経験させてもらったなぁと。ガヤだったんで歌というより、ワーッ!と騒いでる感じだけど、なんとか僕の声を聴き分けてもらえたら……。

アキラ:僕とタケルの声がどうやら似てるみたいで、実際に音源を聴いてみたら“本当に俺、歌ってたっけ?”って不安になっちゃったんですって。

タケル:そうなんですよ! 聴いても聴いても“アキラの声じゃね?”っていうのが結構ありました。

──声まで似てるとは、さすが同郷(笑)。ところで歌詞の中では“ワンチャンあるかも?”というフレーズが繰り返されてますが、これって何のワンチャンなんでしょう?

アキラ:解釈は自由なんですけど、歌っている僕の見解としては“人間、変わる瞬間なんて絶対どこにでもあるよ”っていうことですね。自分が変われば周りも、見ている景色も変わる。だから生き方を変えて、何かを一つ認めて大きくなれたら、あの子も振り向いてくれるかもしれないよ……っていう、ちょっとやらしい意味でのワンチャンも、もちろんあります。

──自分が変われば欲しかったものも手に入るかもしれないと。カップリングのタイトルが「断固反対□にゃんソング」ということで、もしや表題は犬、カップリングは猫という対比もあったりします?(※□:白抜きハート/以下同一)

アキラ:それ、よく聞かれるけど無いんですよ! 過去に「先生の言うコト、ぜーったいっ□」っていう曲があって、これがタイトルの通り“先生の命令は絶対ですよ”っていう歌なんですね。でも、メンバーが増えたら先生に文句を言いたいときだってあるだろうってことで、作ったアンサーソングが「断固反対□にゃんソング」なんです。“にゃん”っていうのも「先生の言うコト〜」に出てきてるワードなんで、だから、完全なる偶然ですね! 僕らの曲は九瓏ノ主学園が主な舞台になっているので、初めて聴く方には“?”が浮かぶ曲が多いのは事実なんです。ただ、そこで“なんだコイツら?”って興味を持ってもらえたら勝ちじゃないですか。「断固反対〜」も僕とケント先生と新メンバーの6人で歌ってるんで、かなりカオスで情報量が多い(笑)。

ダイチ:僕も初めてレコーディングブースに入らせてもらったんですけど、あの空間マジで最高だった! あれをキッカケに俺もなんかやってみたいなぁと思うようになって、朴のバースデーイベントに次回は歌で飛び入り参戦しようかなと。

──別に、アキラさん以外が歌ってはいけないなんて決まりも無いですしね。

アキラ:僕は勝手に決めてます! 歌わせないです!

ダイチ:え、今、初めて聴いた!

アキラ:いや、そんなことないですよ(笑)。できる人がたくさんいるのは全然いい。そのために人数増やしたんで。

──良かったです(笑)。現状、生ライブやイベントは難しい状況ですが、9月にはリリースイベントの生配信があるとか。

アキラ:はい。普段は各地に出向いてキャンペーンイベントをしているので、それを配信でやろうかと。

タケル:3月の正式加入から、まだ一度もメイトさんの前でライブをすることができていないので、生でライブをしたいっていうのは新メンバーみんな望んでることですね。配信はたくさんやらせてもらってますけど、直接メイトさんと楽しめる時間を共有したいです。

ダイチ:僕は11人全員がまだやったことのない、本当に真新しいものをやってみたいですね。それこそリンネ君がメインの企画とか。

──秘めたる企画とかあるんですか?

リンネ:いえいえ! でも、カラオケ大会はしたいです。

タツキ:今一番やっちゃダメよ!

アキラ:一人でサックス吹いてろよ! 吹けるんだから、アルスマグナから生まれた武田真治さんみたいになれば面白い。

リンネ:頑張ります!

取材・文◎清水素子

▲「My Little HERO」初回限定盤A

▲「My Little HERO」初回限定盤B

▲「My Little HERO」通常盤

DVDシングル「My Little HERO」

2020年8月12日(水)発売
■初回限定盤A(DVD+CD)
UPBH-9564 ¥1,800+税
[DVD]
「My Little HERO」Music Video
[CD]
M1.My Little HERO
M2.断固反対□にゃんソング

■初回限定盤B(DVD)
UPBH-9565 ¥1,800+税
[DVD]
・「My Little HERO」Music Video
・【実録】半熟スタッフが2020年のアルスマグナを追ってみた

■通常盤(DVD)
UPBH-1494 ¥1,000+税
[DVD]
「My Little HERO」Music Video

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