【ライブレポート】SiriuS、オペラから「銀河鉄道999」まで歌うデビューコンサート

SiriuSのデビューコンサートが、7月7日（火）に東京・サントリーホール ブルーローズで開催された。

◆ライブ写真

SiriuSは、共に東京藝術大学声楽科卒の大田翔（テノール）と田中俊太郎（バリトン）によるヴォーカル・デュオ。公演は彼らのデビューアルバム『MY FAVORITE THINGS』のリリースとデビューを記念して4月に行われる予定だったものだが、新型コロナウイルスの影響で、7月まで延期となっていた。

主催側は安全面を考え、再度の延期も想定していたが、SiriuSの歌声をファンに何とか届けたいという思いから、この状況下で公演を行う方法を検討。当日は客席数を会場の50％以下に絞り間隔を確保しつつ、スタッフはフェイスシールドを着用するなど最大限の配慮を行いながら、ライブ配信も取り入れ、全国のファンに視聴可能な環境でパフォーマンスが実施された。

開演の拍手の中、この日のために用意されたネイビーのタキシードを着たふたりが登場。待ちわびていたファンの歓声の中、まずはふたりのルーツであるクラシックから、ヴェルディの歌劇『ドン・カルロ』の二重唱「われらの胸に友情を」や、大田のソロによるプッチーニの名アリア「星は光りぬ」、田中ソロによるワーグナーの「夕星の歌」などをマイクを持たずに披露した。


その後、このコロナ禍の最中にコンサートが実施できたことへの感謝を述べ、坂本九の「上を向いて歩こう」を歌唱。不安が続く世の中にあって、この名曲の歌詞はなによりもポジティヴなメッセージとして響く。第1部の最後には、圧巻のオペラメドレーが披露された。

第2部は、デビューアルバム『MY FAVORITE THINGS』に収録されている「ビー・マイ・ラヴ」で幕を開けた。この曲はSiriuSが結成当初から歌唱している思い入れの強い楽曲であり、ふたりのハーモニーはことのほか有機的に絡み合い、観る者を魅了した。


そして、「魅惑の宵」「私のお気に入り」などデビューアルバムの収録曲が続いた後、医療従事者応援ソングとしても注目されている「一人きりじゃない（You'll Never Walk Alone）」を彼らのメッセージを込め歌唱した。

また、今回SiriuSは「チキ・チキ・バン・バン」で振り付けにも挑戦。同曲はコンサート当日に来場者と一緒に披露することを目標として、事前にSNSなどで振り付け動画が公開されていた。曲が始まると、観客もSiriuSと一緒に手を動かし、会場はこの日最高の一体感と温かな空気に包まれた。


続くミュージカルの名ナンバー「雨に唄えば」では実際に傘を使ってダンスを披露するなど、クラシック発のエンターテインメントを追求する彼らのこれからを示すマイルストーン的なステージングを見せつけた。

最後は、「ア・ミリオン・ドリームズ」を重厚に歌い上げ、2部は終了。会場の鳴りやまない拍手に応えたアンコールでは、なんとゴダイゴの名曲「銀河鉄道999」が披露され、会場からどよめきと大きな拍手が沸き起こった。

「銀河鉄道999」は、SiriuSがYouTubeライブを行った際、自身のユニット名にちなんで“星にまつわる曲”を募集したときにリクエストされた作品のひとつだ。オペラティックな歌声に絶妙に合うアレンジが効いた同曲は、もしかしたら彼らの新たな代表曲となるかもしれない親和性をみせていた。



大きな拍手の中、SiriuSは最後の楽曲「天国への階段」を歌唱。観客への感謝とコンサートを実施できた喜びを噛みしめ、公演は幕を閉じた。