ザ・サーフコースターズ、デビュー25周年記念のコンピレーションAL『エクストラズ』リリース

日本が世界に誇るサーフ・バンド、ザ・サーフコースターズが、デビュー25周年を記念したこのコンピレーションアルバム『エクストラズ』を7月22日にリリースする。

現在、この時期のアルバムは全て入手困難である上に、さらに中 シゲヲのソロやレアな音源も収録。ハード、メロウ、サイケなサウンドを組み合わせてデフォルメすることにより、今まで気がつかなかったほど煌びやかなサーフコースターズの魅力を引き出すことに成功している。

●監修者／音楽ライター：近藤正義
デビュー25周年を記念して企画したこのコンピレーションは2000年～2012年という、サーフコースターズが最もハードなサウンドでロックしていた時代の音源で構成した。ギタリスト/リーダーである中 シゲヲは、もともとこのバンドで“オールディーズ”としてではない、“現代のサーフ・ミュージック”を追求してきた。しかし、その彼の思いがしっかりミュージック・シーンに伝わっていたかどうかは疑問だ。そのコンセプトを今一度ぶつけてみたいという思いは、じつは僕の心の中に長年くすぶっていた。何としても本来のコアなサーフ・ミュージック・ファンと、一般的なロックギター・ファンの間にある溝を埋めたかったのだ。
だからこのアルバムはロック度の高いギターをフィーチャーした飛び切りハードな曲、甘すぎるくらいメロウな曲、そしてキーボード奏者が加わった時期のサイケ感あふれる曲、そんなふうにハード、メロウ、サイケなサウンドを極端に組み合わせてデフォルメしてある。そこが、我がFree Ride Editionならではの企てというわけだ。これによって、今まで気がつかなかったほど煌びやかなサーフコースターズの魅力を引き出すことが出来たのではないだろうか。
良き友人である中 シゲヲ氏と、このコンピレーションを制作できたことは、たいへん嬉しく誇りに思う。あとは、より多くの音楽ファンがこのサウンドに共感してくださることを願っている。

●ザ・サーフコースターズ　中シゲヲ
そもそもサーフコースターズは「サーフ・インストを日本でやっているバンドがほとんどいないから」という理由ではじめたバンドであり、ほとんど遊びというか、もっと云ってしまえば、たまたま手に入れたギター・アンプのスプリング・リヴァーブのピチャピチャ音が楽しくて、「これってベンチャーズのあの音じゃん！　でもベンチャーズが上手いオジさんたちはいっぱいいるから、そいつらが手をつけてないディック・デイルみたいなサーフ・インストをやっちゃお」と云う軽い動機でした。まさかそこから26年、メジャー・デビューしてから25年もこの音楽をやり続けるとは人生はわからないもの…。
でも長くて短い年月の間にはいろいろと葛藤もありました。日本の音楽シーンの中にあってエレキ・インスト界とも、ロック界とも微妙に雰囲気が違っていてイマイチ居場所が無い。また私自身、メジャー・デビューしたからには売れる音楽を作らなければいけないんじゃないか？　いや、だからこそマイノリティなこの音楽を守っていかなければいけないのでは？　どなど妙な強迫観念にとらわれてしまっていました。その思いはある意味今でも変わっていないものの、04年を初とする数回のアメリカ・ツアーで出会った現地のサーフ・バンド達の自由な解釈は、葛藤克服に少々のヒントを与えてくれました。そしてそれは自分が考えていたバンド像とどこか通づるものがあり、正解では無いが、間違ってもいないと感じて救われました。
サーフコースターズは伝統的なサーフ・インストをベースに、例えばハード・ロック、パンク、ニュー・ウェイヴ、サイケ、フォーク、ガレージ、グループ・サウンズなど“様々な要素”を無意識に、また時には意図的に取り入れてきました。それは特に2000年以降顕著になり、実験を重ねていく事となります。本盤はその様々な要素に焦点を当てた画期的なコンピレーションです。企画監修の近藤正義氏による選曲は、当事者の私達とは全く違う視点でこのバンドを捉えており、自分達では気づかなかった（もはや忘れていた）サーフコースターズの魅力を引き出して頂いたと感じています。