【インタビュー】the paddles、本音で鳴らす1stシングル

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今だからこそ感じたことを、感じたままに思い切り歌う。当たり前のようで実は難しい、同調や忖度の時代を突き抜けてthe paddlesは突っ走る。ダブルリード曲を含む3曲入り1stシングル「スノウノイズ / 22」は、バンドのスピリットの中心にある「エールを送る」姿勢を忘れずに、演奏力や楽曲の構成力をワンランクアップさせた自信作だ。喜怒哀楽のすべてをぶちまけた歌詞も、これまで以上に生々しい力を持って迫ってくる。新たな扉を開いた22歳のバンドの現在地について、ボーカル&ギター柄須賀皇司に語ってもらおう。

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■「これやん!」と思ったんです

──今回のシングルって、いつ作ってたんだろう。

柄須賀:これのレコーディングは、ちょうど外出自粛期間が始まる頃ですね。今までの自分たちよりもうワンランク上の「これがパドルズや」みたいなものが、前に出した『EVERGREEN』というアルバムだったんですけど、「シングル作ろっか」ってなった時に、それをもうワンランク上げたいと思いました。

──今回3曲とも、かなり曲調に変化があるし、言ってることもそれぞれ違ってる。

柄須賀:アルバムやったらアルバムタイトルがあって、それに向かって一個の作品を作るみたいなイメージが僕にはあるんですけど、シングルは全員がバラバラの方向を向いていてもひとまとまりになれるというか、攻撃力が高いというか、そういうイメージがありますね。今回「スノウノイズ」と「22」がダブルリードになっていて、最初は「スノウノイズ」を一番新しいパドルズとして見せたいなというのがあったんですけど、あとからできた「22」が良すぎて、「これやん!」と思ったんです。今までとにかく等身大の自分を目指して作ってきたんですけど、今の自分にぴったりハマる曲やし、なおかつワンランク上のレベルの曲ができたんで、年齢をタイトルにしようと思って「22」にしたんですよ。

──「スノウノイズ」はエモい曲。「22」はあったかい曲。どっちもリードで聴かせたいと。

柄須賀:そうですね。「どっちもええな」ってなりましたね。

──まず「スノウノイズ」から行くと、これはどんなふうに?

柄須賀:今回は3曲とも、オケをがっつり作ってからメロディを乗せて、最後に歌詞を載せて作ったんですけど、「スノウノイズ」は強めのリフができたんで、歌詞も強めになったと思います。僕、あんまり怒った思い出がなくて、喜怒哀楽で言うと「悲しい」「怒る」「むなしい」とかを歌わないようにしてたんですけど、初めてのシングルということで、そういう気持ちも一回自分の中で消化してみたいなという気持ちになって作った曲ですね。

──そういう感情を歌にしたいと思ったのはなぜ?

柄須賀:歌詞を考えたのが、コロナウイルスが流行りだした頃で、3月末に全部作ったんですよ。みんな気が立ってる時期やったんで、僕もいろんなこと考えてる中で、それを歌にしてみるのも有りなんじゃないか?という選択肢が生まれたんです。けっこう怒ってますね。

──街頭演説とか、TVの芸人とか。具体的なワードが出てくるのも、現実とリンクしているからかな。

柄須賀:そうですね。テレビが終わったあとのザーッていう砂嵐、あれを「スノウノイズ」って言うんですよ。この歌詞は、頭の中にその「ザーッ」を思い浮かべながら作ったんで、そこから結び付けていきました。

──あれって気持ちいい映像じゃないでしょう。ざわざわする。

柄須賀:「え、何?」みたいな、ぐちゃぐちゃになってる気持ちの象徴というか。それと、自分の今までの経験や怒りを全部結び付けて書きましたね。

──男女の別れの歌っぽくも聴こえるし、いろんな解釈ができる曲。

柄須賀:僕、あんまり自分の経験を具体的なまんま出すのは好きじゃなくて。できるだけデフォルメして、平たい経験にまで持っていきたいんですけど、今回もそうですね。みんなにも当てはまるような言葉に直して作りました。


── パドルズは歌でみんなにエールを送るバンドとずっと言われてたけど。これはちょっと違うでしょう。

柄須賀:「スノウノイズ」はそうですね。自分の体験をできるだけ平たくって言ったんですけど、とは言いつつ、今まで作ってきた曲の中では一番パーソナルなものになりました。僕は確かにいつもエールを送るという気持ちがあって、常に誰かを思い浮かべてるというか、誰かに伝わるようにという気持ちで曲を作ってたんで、こんなにも自分にすがってる感じの曲はなかったですね。

──どうだろう、一回書いてこれで気が済んだのか、今後も書くことになるのか。

柄須賀:書くことになる気もします。その時の一瞬、気持ちがぐちゃぐちゃってなった時に、それをぶつける感じで、これからもできそうな気がしますね。意図的には生まれないと思います。

──「パドルズ、こういう歌も歌うんだ」って、新たなきっかけになりそう。で、もう1曲が「22」。



柄須賀:これは、今までの自分らしさが残ってる曲だと思います。曲の全体像ができあがったのが3月の末ぐらいで、僕がお世話になってるバイト先の先輩がちょうど就職する時期で、今まで通り会えなくなるというのが急に迫ってきて。その先輩たちと旅行に行ってたんですよ、コロナが流行る寸前ぐらいに。その夜に、みんながトランプしてるところで一人で歌詞を書いたんです。今思うとめっちゃキモイ奴なんですけど(笑)。でも「今や!」と思う瞬間があって、ぐわーっと書いて、その時にほとんどできましたね。これから就職するみんなに「頑張って」という気持ちがすごくあふれてたんで、そういう曲になりましたね。「その代わり僕も地元で頑張るから」という気持ちもありました。

──なるほど。

柄須賀:今まで自分が書いた歌詞で、めっちゃ好きな歌詞とかあんまりなかったんですよ。それはいい悪いじゃなくて、自分の言葉やけど「こんなん言うてんねや」みたいな感覚になる曲が多かったんですけど、「22」は自分で何回も歌詞を読み返して、今の自分にもハマるし、ほかのみんなにも聴いてほしいし、そういう歌詞が初めて書けたなと思いました。

──僕が感じたのは、子供の感性を卒業して、大人になっていく姿を歌ってるというか。22というのはちょうど、大学を卒業して就職する時期だし。

柄須賀:そうですね。2ndデモ音源の『OMOIDE』に「ナインティーン」という曲が入ってて、年齢のことを歌うのはその時以来なんです。あの時は19歳の自分を歌うので精一杯やったんですけど、「22」は、自分のことも相手のことも同じぐらい大切に歌えたというか、ちょっとは大人になったんかなって自分でも思いましたね。

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