【インタビュー】the paddles、本音で鳴らす1stシングル

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■大きく出ていいんちゃう?って

──そして、真ん中にはさまれた「ジパングカウンター」。これは?

柄須賀:これだけ強い2曲があれば、もう1曲間にはさもうとなった時に、何歌ってもいいんちゃう?という話になったんです。これは僕の主観なんですけど、「みんな、ほんまに言いたいことを言ってる?」という思いが自分の中であって。このコロナの空気の中で、Twitterとかを見てたら「この文章は誰かに気を使ってるのかな」って感じて、じゃあ自分はどうか?と振り返ったら、自分も言いたいことを形にできてないとすごく思ったんです。でも自分には歌があるから、歌を道具だと思って、今の日本に思ってることをそのまま歌った感じですね。曲はけっこう前からあったんですけど、歌詞を書いたのがたまたまコロナの期間で。

──かなりきついことも言ってるでしょう。ほろびのうたにしか聴こえません、とか、夢や希望ありません、とか。

柄須賀:政治と音楽はもっと距離が近いものやったはずなのに、どんどん遠くなってるし、「言ったらあかんことなんかないはずやで」と思ったんです。今の自分やから言えることもあるんちゃうか?と思ったんで、何の距離感も考えずに歌詞を書きましたね。もう、読んでもらったまんまです。それ以上でもそれ以下でもないというか。

──それで「ホントにやりたいことを唄おう」とズバリと言い切るメッセージが生きてくる。

柄須賀:今回は3曲とも、歌ってる内容も対象もバラバラなんですけど、それをあえて3曲入りのCDにしたいなとすごく思ったんですね。バラバラの方向を向いてるからこそ歌えた3曲かなと思います。

──そしてこのジャケット、何かいいよね。すごく惹かれるものがある。

柄須賀:僕も好きなんですよ。

▲the paddles/「スノウノイズ / 22」

──アーティスト写真の3人がこれを見てるみたい。

柄須賀:これ、同じ場所なんですよ。アー写も、前作の『EVERGREEN』の時から変えなかったんですけど、僕の中では地続きなイメージがすごくあって。このジャケットの風景を決めたのは、「22」の歌詞を書き上げた時で、今までの自分をいったんここで卒業するみたいな意味も込めて、ですね。ほんで、このモデルになってもらったのが、一緒に旅行に行った先輩なんですよ。

──へえ〜。

柄須賀:「22」の歌詞でここまで正直なことを歌えたんやったら、その先輩も作品に入ってもらったほうがいいなと思ったんで。そこまでで一個の作品やなっていう感覚がありました。で、いろんな先輩にうしろ姿を見せてもらって、一番普遍的なうしろ姿を選んだんですよ(笑)。特徴的すぎたらその人に寄っちゃうんですけど、前田さんが一番良かったんです(笑)。

──前田さん、グッジョブ(笑)。このシングルで新しいリスナーが広がる気がする。広がってほしい。

柄須賀:そうですね。等身大やねんけど、幅は広がった感じは自分の中でありますね。


──で、実はもう一つビッグニュースがあって。2ndミニアルバムのリリースが決まりましたね。

柄須賀:はい。10月21日リリースで、タイトルは『THE ERA』です。時代という意味です。

──でかいタイトル。

柄須賀:自分らの中でだいぶ納得して作った作品なので、それぐらい大きく出ていいんちゃう?って。

──詳しくはまたインタビューさせてもらうことになると思うけれど。どんな作品に仕上がってるんだろう。今回のシングル「スノウノイズ / 22」の世界観の、さらに向こうにある感じ?

柄須賀:延長線上には乗りましたね。これが布石になって、「みんなこれが聴きたいんじゃない?」というものを作ったつもりです。ここ(シングル)から助走をつけたぶん、そのまま走ったらどうなる?って考えた時に、歌いたいこと、歌ってる対象は今までとそんなに変わらないですけど、曲の作り方とか構成とか、ワンランク上げたイメージがありますね。シングルもそうですけど、どっちも早く聴いてもらいたいです。

──そしてツアーは、今のところ8月末からスタート予定。ガイドラインが厳しそうだけど、どんな感じになるんだろう。

柄須賀:この間、7月10日に(寝屋川)VINTAGEでライブをやった時には、お客さんの立ち位置を決めて、ステージの前にビニールシートを貼って演奏したんです。その日出てた演者とも話したんですけど、真っ二つでしたね。「案外いいやん」という人もいれば、「やっぱりちゃうな」という人もいて、難しいですよね。

──皇司くんは?

柄須賀:僕は案外いいんちゃう?と思いましたね。そういうルールを守りながらでも、演者の見てる感じ、お客さんの見てる感じとか、案外変わってないというか。見た目は全然違うんですけど、個人個人がライブに対して思ってることは変わってないなってすごく思いました。やりにくいとかもなかったですし、何ならちょっとワクワクしました。いい意味でステージが遠いものになるというか、ちっちゃいライブハウスでも、でかい会場のライブみたいな感覚に僕はなりましたね。

──なるほど。

柄須賀:外出自粛期間も含めて、この時期やからこそわかることがいっぱいあったと思うんですけど、悪くなかったと僕は思いましたね。CDもできましたし。

──いいね。基本超ポジティブ。

柄須賀:何も考えてないだけかもしれない(笑)。こうなっちゃった、じゃあどうしよう、次にこうしたらええんちゃう?って、悩む選択肢を作られへん性格というか。「次はあれやな」って思い浮かんだまんまですね。CDを作るということは、ツアーもできたらええなとか、メンバーとかライブハウスの人とも、明るい話をする理由にもなるじゃないですか。次にツアーをする約束をみんなとできるというところとも自分の中で結びついてたんで、早くライブがしたいですね。普通にやれるようになるのが一番ですけど、ガイドラインを守りながらでも、やると決めたライブハウスがあるのなら、できるだけ行きたいです。

取材・文◎宮本英夫

1st Single「スノウノイズ / 22」

2020年8月5日(水)発売
PADF-017 ¥1,000+tax
1.スノウノイズ
2.ジパングカウンター
3.22

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