【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.74「ぼうっ」

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コロナによるライブ活動の停止で思いっきり暇になったので、バイクであちこちに出かけようと思っていたのに、ひたすら降る雨。家の中でじっと過ごす日々が続いて、頭も身体もおかしくなりそうです。運動不足が祟ったのか、昨年の9月以来、鳴りを潜めていたお腹の石のニューフェイスが突如デビューを飾り、小規模ながら精力的な活動を始めました。ローリングストーンズの再来日決定です。前回とは異なり、原因が分かっているのであまり動揺せず粛々と対応していますが、筋弛緩剤と痛み止めを飲んで頭がぼうっとしながら日々をやり過ごしています。梅雨が終わる頃には前線とともに石も綺麗さっぱり消え去り、晴れやかな日常が戻って来ることでしょう。

このような、ぼうっとした状態でできることといったら、携帯のゲームくらいのものです。せっかくスマホを買ったので無料ゲームで遊んでいます。「どうぶつの森」のスマホ版の「ポケットキャンプ」です。収穫した果物や魚を動物にプレゼントして、お礼にもらった材料で自分のキャンプ場を作るというだけの、ゆるいゲームなのですが、ぼうっとした頭で遊ぶにはぴったりです。作れる物の中にギターやベースがあったので、どうぶつに弾いてもらおうとキャンプ場に置いたのですが、ピーンとかボーンとか、つまはじくだけだったので、思わず笑ってしまいました。マイクを置いてみたら変な歌を歌ってくれたのですが、これが妙に耳に残る旋律で、すっかり気に入ってしまいました。今はロックステージなるオブジェを製作中なのですが、えらく時間がかかりそうなので完成が待ち遠しいです。今度こそロックを演奏してくれるだろうと、かなり期待しています。何となく始めたゲームだったのですが、気がつけばすっかりはまっています。自分のゲームに他のプレイヤーの分身が遊びに来ているところをみると、自分の分身も他のプレイヤーのゲームにお邪魔していることでしょう。もしこのゲームで遊んでいて、それっぽい小僧を見つけたら可愛がってやって下さい。


この森には、じじむさいウサギとか、筋トレ好きのアヒルとか、いろいろな性格の、ありとあらゆるどうぶつが暮らしているのですが、中でも気に入っているのが包帯でぐるぐる巻きになって片目だけが覗いている犬です。ホラーな見かけとは裏腹に人懐っこい性格で、「ラッキー」という名前です。小心者で病弱なのに白塗りして演奏する自分と重なって、感情移入してしまいます。彼も自分もシアトリカルな演出が好きなのです。シアトリカルな演奏で真っ先に思い浮かぶのはAlice Cooperですが、それ以前からの先駆者にLord Sutchがいます。詳しくはよく分からないのですが、赤いマントのドラキュラのような格好をしたり、棺桶を使ったりして、切り裂きジャックの歌などを歌っていたようです。簡単に入手できる音源はスタジオ盤の「Lord Sutch And Heavy Friends」とライブ盤(定かではない)の「Hands Of Jack The Ripper」です。前者では曲の半分をLED ZEPPELINのJimmy Pageが共作しており、その演奏もギターがJimmy Page、ドラムを John Bonhamが担当していて、ファンとしてはたまらないアイテムです。曲の出来も素晴らしく、Jimmy Page節全開です。この二人の個性の強さと演奏の素晴らしさを再認識することになるアルバムです。後者はあのRitchie Blackmoreがギターで参加しているのが売りのライブ盤です。やたらとエコーのかかった歌が大き過ぎるのが難点ですが、すぐにRitchieだと分かるギターソロについ笑ってしまいます。こんなロックンロールナンバーでそこまで速弾きしなくてもと思ったりもしますが、それがRitchie Blackmoreです。どちらのアルバムもゲストが凄すぎて主役がすっかり霞んでしまっていますが、貴重な演奏なので是非聴いてみて下さい。

自分もライブでシアトリカルな演出をしてみたいと思うことがよくあります。今思いついたのは、プロレスラーのグレートカブキやグレートムタのように毒霧を吐くことです。ローディーの川端くんや山ちゃんが近づいてきたところに吹きかけて、仕事を出来なくするという演出です。あぁ、だめだ。頭がぼうっとするとろくな事を考えない。ごめんなさい。

今回のマイベストテープ~自分がレスラーだったら入場テーマに使いたい曲

A1.Black Sabbath / BLACK SABBATH
A2.Polar Nights / SCORPIONS
A3.Assault & Battery / HAWKWIND
A4.The War Drags Ever On / TANK
A5.Tarkus / EMERSON LAKE & PALMER
B1.The Great Deceiver / KING CRIMSON
B2.Stargazer / RAINBOW
B3.Killers / IRON MAIDEN
B4.No More Tears / OZZY OSBOURNE
B5.Seasons In The Abyss / SLAYER



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