【インタビュー】林青空、「ハイヒールシンデレラ」で描く強い女性像

■楽しく歌い続ける

──カップリングの話もしましょうか。3曲目「秋風」は、生まれて初めて作った曲だとか。

林：そうです。初めてのオリジナルソングです。大学1年生の時に組んだバンドの時に作って、バンドでやりました。

──19歳？　シンガーソングライターとしては、ちょっと遅めかも。

林：高校は軽音楽部やったんですけど、コピーバンドしかやってなくて。作ってみたいなとは思ってたけど、なかなかきっかけがなく過ぎていって。「秋風」もよくわからんまま作った曲ではあるんですけど。

──めちゃめちゃせつないラブソング。歌もエモいし。

林：いやー、でもちょっと照れくさいですね。今じゃ書けないやろなと思います。部屋にいる時にふわっと風が入ってきて、なんかせつない気持ちになるなーというところから書いた曲で、「秋風」を辞書で調べたら、失恋を連想させる意味があるらしいんですけど、書いた時は全然知らなくて、言葉ってすごいと思いました。秋風に「恋を冷ます」という意味があるんだというのをあとから知った時に、自分があの時感じた気持ちが正しかったというか、本当にそういう風やったんやと思いましたね。ずっと歌い続けてるからどんどん思い入れが強くなっていってるし、秋の時期には「「秋風」歌ってください」という人がどんどん増えてきてるから、こういう曲が書けて良かったと思います。

──しかもアコースティックギター弾き語りの、ステイホームバージョン。

林：弾き語りで録音して、会場限定版CDとして販売してたんですけど、今はなくて。大事な曲やし、どうしても1stシングルにこの曲を入れたいとお願いして、家で録った音源を入れてもらいました。

──2曲目「白いワンピースを着て」も、ちょっと前の曲ですよね。

林：これもライブでずっとやっている曲で、弾き語りで音源になっていて、今はもう販売してないやつです。初めてアレンジをつけてもらって、このバージョンになりました。その当時の自分の気持ちをそのまま書いた曲で、お気に入りなんですけど、アレンジがついたことによって曲の世界観が広がったし、想像しやすくなったなと思っていて。どんどん壮大になっていくんですけど、最後はやっぱり一人に戻ってくるところが気に入ってます。女の子が歌っていて、いろんな孤独とか心の揺れとかも感じてるけど、どんどん輪が広がってみんなで歌って、でもステージでは一人というところに戻ってくるのがアレンジで表現できてるので、面白くなったなと思います。

──サビのコーラスで耳に残る、男性コーラス隊はバンドのみなさん？

林：あれは、スタッフみんなです（笑）。オーディエンス感が出したくて、みんなで録りました。

──いいですね。ワンチーム。

林：この曲を書いた時はあんまり意識してなかったけど、みんなで歌うところを録ってる時に、聴いてくれる人もそうやけど、バンドメンバーやスタッフもどんどん増えて行って、輪が広がってるなというのを実感したから、そういうことも含めた曲に進化したなという感じがします。


──カップリング2曲は恋愛ソングで、「ハイヒールシンデレラ」も恋愛要素が入ってる。恋愛ソングのほうが得意ですかね。

林：半々ぐらいですね。アルバムに入ってた「出航日和」とか「光」とか、自分を奮い立たせるみたいに書いた曲も多いんで。でも自分のことが多いから、必然的に恋愛と、音楽と、人生、夢とか、そういうテーマが多くなると思います。

──自分成分表の、半分が恋愛で、半分が夢みたいな。

林：そうなっちゃうと思います（笑）。

──夢は何ですか。

林：大阪城ホールで歌いたいというのが、ちっちゃい時からある夢です。そして、ずっと歌っていたいなと思います。楽しく歌い続けるのが、一番の目標かな。こんな状況になって、歌い続けていくことは難しいんやなとより思うし、そのためにやりたいことはいっぱいあるけど、ずっと歌っていたいなあというのが一番です。こういう音楽をやりたい、というので始めたというよりは、どうやったらみんなに届くだろう？ということで始めてるから、それはずっと持ってるかもしれない。

──じゃあ、恋はどうでしょう。

林：恋は、ぼちぼち（笑）。でも常に恋してる人間なんで、そこはずーっと変わらないです。自分のやりたいこともやるし、恋もするし、家族も大事にしたいし、「やりたいことは全部やる！」というのは決めてて、後悔したくないと思うんで、全部大事にしたいな。「大事にしたいものは大事にする」ことは忘れないようにします。会いたい人もいっぱいおるし、時間が足りない、身体が足りないです。

──生ライブ、いつか見られることを楽しみにしてます。

林：いつになるかわかんないですが、やりたいです。見てもらいたい。4月にやる予定だったツアーに向けて、バンドでも準備していたし、これからライブをどうしていこうという話し合いもずっと続けてやってるから。いざライブできるぞとなった時に、準備万端にしておこうという感じで、今もやってます。

取材・文◎宮本英夫