前野健太、初期三部作『ロマンスカー』『さみしいだけ』『ファックミー』サブスク解禁

ツイート


前野健太の初期三部作『ロマンスカー』(2007年発売)、『さみしいだけ』(2009年発売)、『ファックミー』(2011年発売)が、本日8月14日に各種音楽サブスクリプションサービスで配信開始された。

また、サブスク解禁を記念して、長編アニメーション映画『音楽』の岩井澤健治監督による手描きアニメーションビデオ「ヒマだから」(『ファックミー』収録)をYouTubeにて公開。2011年5月のレコ発ライブで上映されたきり眠っていた作品である。



  ◆  ◆  ◆

<前野健太 コメント>

初期三部作サブスク解禁に寄せて

13年前に勝手にCDを出してデビューということにしました。
今では「シンガーソングライター」という肩書きをつけていますが、
すべてはこの最初の作品群からはじまった、単なる「でっち上げ」にすぎません。
誰もCDを出そうなどと誘ってくれはしませんでしたが、燃え盛っていました。
一撃をくらわしてやる、とよく言っていましたが、それはたわごとで、
でもそれがなければ走り出さなかった車もあったのでしょう。

今聴くと、たとえばセカンドアルバムの『さみしいだけ』なんかは、
一音一音に明確な意思を感じます。指が見えます。演奏している手、その指が。
たとえば誰かの気持ちを振り切って、この一音を録らなきゃいけないんだ、という気持ち。
不思議なのは、愛情から逃げるように選んだ一音が、結果的に何かに手を伸ばしているということ。

一人の女性の顔を思い出します。
一音一音を聴きながら、影のプロデューサーはこの人だったんじゃないだろうかと、
思いました。男はいつだって女にはかなわない。ただ風を見て、歌を紡ぐだけ。
そんな時代遅れな歌がたくさん詰まったアルバムたちです。

街の中で気軽に聴いていただけたら幸いです。
猫が、マンションが、空が、夏草が、静かに揺れると、
少しだけ明日が見えてくる。

特別じゃない夏なんてあっただろうか。

2020年8月14日

── 前野健太

  ◆  ◆  ◆

なお、『ロマンスカー』収録の「友達じゃがまんできない」が主題歌および挿入歌として使われている又吉直樹による恋愛エッセイが原作の映画『僕の好きな女の子』が、本日公開されている。渡辺大知(黒猫チェルシー)演じる主人公の加藤が、つかみどころのない性格のヒロイン・美帆に翻弄される様子が描かれた作品だ。



この記事をツイート

この記事の関連情報